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食品ロスによる経済損失は年間4兆円で一人あたり3万円超の負担、温室効果ガス排出は1,050万トン超 消費者庁報告

消費者庁は、令和7年度「食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量報告書」を公表した。それによると、日本国内で発生している食品ロスによる経済的な損失は年間約4.0兆円にのぼり、国民一人あたりに換算すると31,814円を余分に負担している計算になる。

また、食品ロスに伴って排出される温室効果ガスは年間1,050万トン(CO2換算)で、一人あたり約84kgにあたる。これは家庭で使用される冷房による排出量よりも多く、日常生活に直結するインパクトの大きさが浮き彫りになった。

食品ロスによる経済損失は年間4兆円、国民負担は一人3.18万円、温室効果ガス排出は1,050万トン超 消費者庁報告

食品ロスの現状

令和5年度の日本の食品ロス量は年間464万トン。このうち、家庭からの食品ロスは233万トンと約半分を占める。その他、食品製造業:108万トン、食品小売業:48万トン、外食産業:66万トンなど、あらゆる分野で食品が無駄になっている。

政府は、食品ロス削減の基本方針の中で「国民各層がこの問題を『他人事』ではなく『我が事』として捉え、『理解』するだけにとどまらず『行動』に移すことが必要」と強調している。食品ロスの削減に向けた消費者一人ひとりの行動変容が求められている。

今回の報告書では「経済損失」や「温室効果ガス排出量」といった、生活者により身近に感じられる指標を用いることで、意識と行動の変化を促す狙いがある。

経済損失と環境負荷の意味

本調査で推計する「経済損失」および「温室効果ガス排出量」は、以下のような定義・評価範囲を想定する。

経済損失

食品の生産・流通等に伴って発生する経済的価値全体に対して、食品ロスの発生割合を乗じたもの。経済的価値は、「食品自体の価格」に加え、流通過程で発生する「商業マージン」「貨物運賃」を加えたもの。つまり、廃棄されてしまう食品の入手のために、家庭等の各部門が余分に負担してしまっている金額を指す。

食品ロスによる経済損失の推計結果

食品ロスによる経済損失の合計は4.0兆円、国民一人あたりでは3万1,814円となった(図1)。

図1 食品ロスによる経済損失の推計値の記載イメージ

食品ロスによる経済損失の推計値の記載イメージ

4.0兆円の経済損失は、令和5年の農業・食料関連産業の市場規模と比較すると、農林漁業の13.3兆円の3分の1弱の規模となる。
経済損失は世帯あたりでは年間6.5万円となり、世帯当たりの年間家計支出と比較すると、水道代の4.9万円よりも大きな金額である。
(出典:消費者庁)

温室効果ガス排出量(GHG排出量)

食品の生産・流通等に伴って発生するGHG排出量全体に対して、食品ロスの発生割合を乗じたもの。GHG排出量の評価範囲は、食品の一連の生産プロセスにおける排出量である。つまり、廃棄されてしまう食品のために、生産・流通する過程で余分に生じてしまっているGHG排出量を指す(家庭系食品ロスが廃棄・処分される際に直接排出されるGHG排出量は含まれない)。

食品ロスによる温室効果ガス排出量の推計結果

食品ロスによる温室効果ガス排出量の合計は1,050万t-CO2、国民一人あたりでは84kg-CO2となった(図2)。

図2 食品ロスによる温室効果ガス排出量の推計値の記載イメージ

食品ロスによる温室効果ガス排出量の推計値の記載イメージ

1,050万トンの温室効果ガス排出は、令和5年の家庭の用途別CO2排出量と比較すると、暖房用の2,870万トンに次いで大きな規模である
(出典:消費者庁)

一人ひとりにできること

報告書は、食品ロス削減に向けて消費者の「行動変容」が不可欠だと指摘している。たとえば、買いすぎを避ける、食材を使い切る、外食で食べきれない分を持ち帰るといった日常の工夫が、家計の節約だけでなく、地球温暖化防止にもつながる。

食品ロス問題は、家計と環境の両面に影響を及ぼす大きな課題である。消費者庁は、今回の報告書を活用して普及啓発を進めていく方針である。

関連資料ダウンロード

消費者庁「令和7年度 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量に関する調査業務調査報告書」
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