スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

パラ水泳の金メダリスト鈴木孝幸選手をゲストにパワー回復を学ぶ料理教室を開催! 東京都「TEAM BEYOND」プロジェクト

2025年8月23日(土)・24日(日)の2日間、東京・中央区立築地社会教育会館を会場に、小学校3~6年生とその保護者を対象にした、スポーツ栄養学&料理教室ワークショップ「パラアスリートと料理教室 おいしく食べて強くなろう!」が開催されました。

パラ水泳の金メダリスト鈴木孝幸選手をゲストにパワー回復を学ぶ料理教室! 東京都「TEAM BEYOND」プロジェクト

本イベントは、パラスポーツを応援する東京都のプロジェクト「TEAM BEYOND」が主催、神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の鈴木志保子研究科長が監修、味の素株式会社が協力。世界で活躍するパラ水泳の鈴木孝幸選手とブラインドサッカーの鳥居健人選手をゲストに、それぞれの選手の栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・鈴木志保子先生と秋葉美佳先生とともに、座学と料理教室で「パワー回復」や「強い身体作り」の秘訣を学びました。

参加したのは抽選で選ばれた約100名の親子で、1日目午前の回も夏休みの思い出や自由研究にと15組の親子が集いました。初日はパラ水泳の鈴木孝幸選手(以下、タカ選手)と公認スポーツ栄養士・鈴木志保子先生(以下、志保子先生)のコンビが登壇。冒頭、ずっしりと大きな金・銀・銅メダルを見せてもらってから講義がスタートです。

鈴木孝幸選手が勝ち取った金・銀・銅メダルを披露

食事と休養で、日々の回復を丁寧に行う

タカ選手は、6大会連続でパラリンピックに出場し、パリ2024パラリンピックでは4つのメダルを獲得しました。通算メダル獲得数は「14」。先天性四肢欠損症で、右腕の肘から先がなく、左手は指が二本と短い指が1本、右足は根本付近からなく、左足は膝下からありません。38歳となる現在も、さらなる肉体進化のために科学的なトレーニングと栄養学が欠かせないと言います。

「僕は1回の練習で約4km泳いでいます。こうした練習を継続するためには、栄養をしっかりとって、十分に睡眠を確保することが欠かせません。僕の場合は身体を大きくしたいというよりも、できるだけ疲労の少ない状態でトレーニングに取り組めるよう、日々の回復を丁寧に行う。疲れを癒し、食事と休養で体を整えることを意識しています」(タカ選手)

疲れた時、何を食べる?

日本パラリンピック委員会強化本部委員であり、車いすバスケットボールなど多くのパラアスリートの栄養サポートを長年行っている公認スポーツ栄養士・鈴木志保子先生(SNDJ理事長)から、「疲れた時に何を食べる?」という問いが投げかけられ、パワー回復メニューを子どもたちに発表してもらいました。

「まず給食を思い出して!身体のエネルギーとなるご飯やパン、麺類を“主食”と言います。次はおかず!肉や魚、卵、豆・豆製品を使ったおかずを“主菜”と言います。そして“副菜”と言われる野菜のおかず。それに果物や牛乳、ヨーグルトをつける。献立は、この5つのグループの食品をまんべんなくとるように考えます。では、カレーライスはどのグループ? ご飯があって、カレーには肉と野菜が入ってるから、1皿で主食・主菜・副菜がとれる。これにサラダと牛乳と果物をつけると栄養バランスのよい食事になります」(志保子先生)

食材シールを使って、パワー回復できる最強ごはんプレートを子どもたちに考えてもらいました
食材シールを使って、パワー回復できる最強ごはんプレートを子どもたちに考えてもらいました

「疲れている時には何を食べるか? すごく疲れているときは胃腸も疲れているので、消化の負担になるようなメニューをなるべく避けること。脂っこくなくて消化吸収が早いものを選び、脂っぽいものは練習がない日に食べて消化吸収を促します。ふつうは、練習をしてない日は動いてないから脂っぽいものは食べないようにしようと思うものですが、トップアスリートになると、その日の運動量と自分の身体と相談して、消化吸収の状態を見ながらメニューを考えます。

でも、一番大切なのは“おいしく食べること!”。では、なんで“おいしく食べる”のがいいかわかる? おいしく食べると胃腸の消化吸収がよくなるんです。お母さんとかに怒られながら食べると消化吸収が悪くなるから気をつけて(笑)」と志保子先生。

器用にトマトを切るタカ選手!

器用にトマトを切るタカ選手

後半は、「パワー回復レシピ」として、タカ選手が大好きな麻婆豆腐をつくります。まず、タカ選手が作り方をレクチャー。みんなが見守る中、車いすに立ったまま慣れた手つきで豆腐を切り、フライパンでひき肉を炒め、豆腐やネギ、調味液を絡めて仕上げていきます。会場に漂うおいしそうな香り!そしてもう一品、トマトとブロッコリーのサラダを作ります。どうやって片手でトマトを切るの? とみんなが見守ります。タカ選手はここでも器用にトマトをスライスして盛り付けました。できあがあったら、参加者も料理スタート。親子で仲良く麻婆豆腐をつくり、試食タイムへ。

楽しそうに麻婆豆腐をつくる参加者の皆さん

成長期はしっかり食べよう!

食後は質問タイム。あるお母さんから、子どもでも太らないように意識したほうがよいのか、という問いかけに志保子先生は答えます。

「文部科学省のデータでは、女子は小学校5~6年生の時期に身長が最も伸びやすいとされ、個人差はあるものの早い子は4年生ごろから、遅い子は6年生から中学1年生ごろにかけて成長のスパートが始まります。一方、男子は中学でスパートがかかることが多い。この重要な時期には、過度に運動量を増やすのではなく、まず「しっかり食べる」ことが不可欠です。身長が伸びれば体重が増えるのは自然なことで、身長だけが伸びて体重が増えないのは、いわば中身の伴わない成長と同じ。成長に必要なエネルギーが不足すると、身長の伸びが抑えられてしまう可能性もあります。したがって、「少し太ってしまうかも」と感じる程度であっても、成長期には十分な量を食べることが望ましいのです。特に主食(ご飯)を中心に、どれくらい食べるかの目安を決めてとってください。成長曲線をつけて成長スパートを把握することも大切です」

なにを食べるかで自分の一生が変わる

最後に、志保子先生とタカ選手からのメッセージです。

志保子先生「みんな、自分は何kgで生まれたかお母さんに聞いてみてください。いま何倍になっていますか? どうやって大きくなった? そう、栄養のあるものを食べたから。食べないと大きくならないんですよ。その食べ物を自分のためにどれだけ入れるか入れないかで自分の一生が変わってくる。身体は自分が食べたものでできているんです。美味しく食べて、しっかり大きくなって、自分のやりたいことを思い切りやってください!」

タカ選手「みなさんと2時間楽しく過ごすことができました。今日得た栄養の学びをぜひ、日々の生活に生かしてもらいたいと思います。僕もこれから、9月は世界選手権(シンガポール)がありますし、来年は日本(名古屋)でアジアパラ競技大会も開催されるので、がんばります!みんな応援よろしくお願いします!」

世界で活躍するパラアスリートとスポーツ栄養士から、最新のスポーツ栄養学に基づいた食や栄養摂取の考え方を学び、一緒に料理を作れて楽しかったと参加者たちは嬉しそうに帰っていきました。

鈴木孝幸選手と鈴木志保子先生

「TEAM BEYOND」とは

「TEAM BEYOND」はパラスポーツへの感心を高め、応援する人を増やす東京都のプロジェクトで、2016年からスタートし今年で10年を迎えます。東京オリンピックが終わっても、ダイバーシティ実現を目標に様々な活動が展開されています。「TEAM BEYOND」を通じたパラスポーツへの理解を広める活動は今後も続きますので、機会があれば皆さんもご参加を!

関連情報

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2025後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ