スピルリナのサプリ摂取で体重・BMI・体脂肪率が有意に低下 17件のRCTメタ解析
藍藻類に属し光合成を行う微生物であり、豊富な栄養素を含むスピルリナが、体重や体脂肪率を低下させることが、これまでに行われた17件のRCTのメタ解析の結果として示された。イランの研究者らの報告。
スピルリナの体重や体組成に対する有用性をメタ解析で検討
スピルリナはシアノバクテリアの一種で抗酸化作用などの健康効果が報告されている。また予備的研究では脂質改善、抗炎症、肥満改善などにも有効な可能性が示されている。ただし肥満に対する影響については結果に一貫性がないため、この論文の著者らは、過去の研究報告のデータを統合して解析する用量反応メタアナリシスによる検討を行った。
文献検索にはPubMed、Scopus、Web of Scienceを用いて、各データベースのスタートから2024年12月までに収載された論文を対象とし、システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠して検索を実施した。検索キーワードはスピルリナ、体脂肪、体組成、体重、BMI、ウエスト周囲長などを用いた。
一次検索で1,458報がヒットし、重複削除後の1,127報を2名の研究者が独立して、タイトルと要約に基づきスクリーニングを実施。包括基準は、成人を対象に無作為化された並行群間試験またはクロスオーバー試験であり、スピルリナ以外の追加投与なしで4週間以上の介入を行った研究とした。研究参加者の性別、年齢、基礎疾患の有無は制限しなかった。除外条件は、基礎研究、観察研究、横断研究、コホート研究、症例対照研究、対照群のない介入研究、非無作為化研究、未成年者対象の研究、レビュー論文、メタ解析、レターなど。
抽出された研究の特徴
スクリーニング後に27報が残され、全文精査のうえ17件の研究の報告を適格と判断した。
17件の研究は、イラン、ポーランド、メキシコ、インドから報告されていた。サンプルサイズは20~80人、介入期間は4~12週間、スピルリナの摂取量は1.5~6g/日であり、4件は疾患有病者を対象に実施されていて、また運動介入を並行して行った研究が4件含まれていた。
合計参加者数は888人で、介入群が447人、対照群が441人だった。
ウエスト周囲長以外の指標に好ましい影響
体重への影響
体重への影響は、649人(介入群327人、対照群322人)を対象とした11件の試験(16の効果サイズ)で検討されていた。メタ解析により、スピルリナは体重を有意に低下させることが示された(加重平均差〈WMD〉=-1.07kg〈95%CI;-1.94~-0.21〉、p=0.004)。研究間の異質性は高くなかった(I2=39.5%)。
サブグループ解析では、年齢40歳以上、介入前BMIが30以上、介入期間が12週間以上、投与量2g/日以上の場合に、有意な減量が認められた。
BMIへの影響
BMIへの影響は、748人(介入群377人、対照群371人)を対象とし、16の効果サイズで検討されていた。メタ解析により、スピルリナはBMIを有意に低下させることが示された(WMD=-0.40〈-0.76~-0.05〉、p=0.025)。研究間の異質性は中程度だった(I2=54.0%)。
サブグループ解析では、年齢40歳以上、介入前BMIが30以上の場合に、有意なBMI低下が認められた。
体脂肪率への影響
8件の研究報告のメタ解析により、スピルリナは体脂肪率を有意に低下させることが示された(WMD=-0.84%〈-1.38~-0.31〉、p=0.002)。研究間の異質性は認めなかった(I2=0.0%)。
サブグループ解析では、男性、介入期間が12週間未満、投与量2g/日未満の場合に、有意な体脂肪率低下が認められた。
ウエスト周囲長への影響
6件の研究、計312人対象の研究報告のメタ解析により、スピルリナはウエスト周囲長に有意な影響を及ぼしていなかった(WMD=-0.46cm〈-1.30~0.37〉、p=0.280)。研究間の異質性は認めなかった(I2=0.0%)。
ただし、サブグループ解析では、年齢40歳以上、介入前BMIが30以上、介入期間が12週間以上、投与量2g/日以上の場合にはウエスト周囲長の有意な減少が認められた。
肥満管理に有用なサプリメントとなる可能性
以上一連の結果を基に論文は、「本メタ解析はスピルリナサプリメントが体組成改善のための実践的なアプローチとなる可能性を示唆している。スピルリナは体重、BMI、体脂肪率を有意に減少させ、とくに肥満または高齢者において、高用量(2g/日以上)かつ長期(12週間以上)投与した場合に、最も顕著な影響が認められた。ウエスト周囲長には有意な変化は認められなかったが、サブグループ解析では特定のグループにおいて減少していた。これらの知見は、適切な用量、期間、および人口統計学的要因を考慮した場合、スピルリナが肥満管理のための有益なサプリメントとなる可能性を示唆している」と総括されている。
ただし、「スピルリナがウエスト周囲長に及ぼす影響を明らかにし、サプリメントの摂取プロトコルの最適化のため、さらなる研究が必要」と付け加えられている。
文献情報
原題のタイトルは、「Effects of spirulina supplementation on body composition in adults: a GRADE-assessed and dose–response meta-analysis of RCTs」。〔Nutr Metab (Lond). 2025 Jun 17;22(1):61〕
原文はこちら(Springer Nature)