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カフェインの筋力に及ぼす急性効果を検証 男性、下半身運動、日常摂取量が少ない人で効果が大きい可能性

カフェイン摂取の急性効果に関するシステマティックレビューとメタ解析の結果が報告された。さまざまなサブグループ解析により効果の一貫性が認められたが、男性、高用量摂取時、日常のカフェイン摂取量が少ない人、下半身の筋力において、より顕著な効果が観察される傾向があるという。

カフェインの筋力に及ぼす急性効果を検証 男性、下半身運動、日常摂取量が少ない人で効果が大きい可能性

レジスタンス運動時のカフェインの急性効果に関する最新のメタ解析

カフェインの急性効果として、筋力をわずかに向上させることを示した研究は少なくない。それらの研究の多くは、1RM(repetition maximum. 1回だけ施行可能な最大負荷)で把握されるような最大筋力への影響を評価している。ただ、多くのスポーツにおいて最大筋力の発揮を求められるシーンはそれほど多くはなく、むしろレジスタンス運動中において加重を持ち上げる速度やパワーのほうが重要なケースが多い。しかし、今回取り上げる論文によると、レジスタンス運動中のパワーに対するカフェイン摂取の影響に関するメタ解析はこれまで、2020年に報告された1報のみだという。また、その報告ではサブグループ解析が十分されておらず、カフェインがより有効と考えられる集団の特徴が明らかにされていないとしている。

これを背景として本論文の研究では、2020年以降の報告も含めてシステマティックレビューを行い、性別やカフェイン摂取量、習慣的な摂取量の多寡の影響、効果測定部位などの違いを考慮したサブグループ解析が行われている。

文献検索について

PRISMA(システマティックレビューとメタ解析のガイドライン)に準拠し、PubMed、Web of Science、EMBASE、CNKI(中国国家知識基盤)に2025年6月10日までに掲載された論文を検索。また、関連文献についてはGoogle Scholarでのハンドサーチも行った。

包括基準は、健康な成人を対象に、エナジードリンクやチョコレートなどの他のエルゴジェニック物質の併用なしにカフェインを単独摂取し、レジスタンス運動における平均速度および平均パワー(mean power output)を含むアウトカムへの影響を、プラセボ対照で評価した盲検化されている研究であり、査読システムのあるジャーナルに掲載されている報告。プレプリントや未発表研究は除外した。

一次検索で2,739報がヒットし、重複削除後の2,034報を2名の研究者が独立してタイトルと要約に基づきスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は3人目の研究者が解決した。56報を全文精査し最終的に12件の研究報告を適格と判定した。

抽出された研究報告の特徴

12件の研究は、筋力トレーニングまたはレクリエーションレベルの活動を行っている20~29歳の230人が含まれており、介入に用いられたカフェインの摂取量は3~12mg/kgの範囲で、1件を除きテストの60分前に摂取し、1件は15分前に摂取していた。日常的なカフェイン摂取量は1件のみ632mg/日と高用量だったが、その他は0~6mg/kg/日の範囲だった。

カフェインの急性効果は対象者の特性にかかわらず有効

メタ解析はレジスタンス運動中の平均速度と平均パワーについて実施され、それぞれ、性別、テスト前のカフェイン摂取量、日常的なカフェイン摂取量、計測部位、負荷強度別のサブグループ解析が行われている。

平均速度

平均速度に関しては、12件中7件がカフェイン摂取による有意な向上を報告し、5件は非有意だった。メタ解析の結果、レジスタンス運動中の平均速度はカフェイン摂取により有意に向上することが示された(標準化平均差〈SMD〉=0.42〈95%CI;0.19~0.65〉。ただし、研究間の異質性が高かった(I2=85%)。

サブグループ解析では、性別については女性より男性(SMDが男性は0.56、女性は0.22〈p<0.01〉)、テスト前のカフェイン摂取量については高用量(3mg/kg以下では0.43、3~6mg/kgでは0.31、6mg/kg超では0.78〈p=0.02〉)、日常的なカフェイン摂取量が少ない人(3mg/kg/日未満では0.87、3mg/kg/日以上では0.21〈p<0.01〉)でより顕著な影響が認められた。

計測部位に関しては、上半身より下半身(左記の順にSMDが0.32、0.54)でより影響が強い傾向があったが、有意水準未満だった(p=0.06)。負荷強度は影響の程度に関連していなかった(p=0.67)。

平均パワー

平均パワーに関しては8件の研究報告があり、そのうち2件がカフェイン摂取による有意な向上を報告し、6件は非有意だった。メタ解析の結果、レジスタンス運動中の平均パワーはカフェイン摂取により有意に向上することが示された(SMD=0.21〈0.12~0.30〉)。研究間の異質性は低かった(I2=13.7%)。

サブグループ解析では、日常的なカフェイン摂取量の多寡での解析のみ、有意水準未満ながら、摂取量が少ない人において影響が強いことが示された(SMDが3mg/kg/日未満では0.35、3mg/kg/日以上では0.16〈p=0.06〉)。その他、性別(p=0.29)やテスト前のカフェイン摂取量(p=0.14)、計測部位(p=0.87)、負荷強度(p=0.88)に関しては、影響の程度に関連していなかった。

カスタマイズされたカフェイン摂取戦略につながる知見

論文の結論には、「本メタ解析により、カフェインがあらゆる負荷でのレジスタンス運動中の平均速度と平均パワーを有意に向上させることが確認された。サブグループ解析では、男性、および習慣的なカフェイン摂取量が少ない人で、より大きなエルゴジェニック効果が観察された。これらの知見は、レジスタンス運動中の筋力向上を最大化するために、カフェイン補給戦略をカスタマイズすることの重要性を強調している」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of acute caffeine intake on muscular power during resistance exercise: a systematic review and meta-analysis」。〔Front Nutr. 2025 Oct 7:12:1686283〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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