スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

週末にまとめて運動しても体力向上に有効 香港の5千人規模の横断研究の報告

身体活動を土曜や日曜などにまとめて行う、いわゆる“週末戦士”であっても、健康のための体力の維持・向上につながっていることを示唆する研究論文を紹介する。著者らは、将来の公衆衛生ガイドラインの改訂にも影響し得る知見だとしている。

週末にまとめて運動しても体力向上に有効 香港の5千人規模の横断研究の報告

ガイドラインの推奨「週に150分の中~高強度運動」を、まとめてやってもいいのか?

世界保健機関(WHO)は成人の身体活動に関して、「中等度から高強度の運動を週に150分以上行う」ことを推奨している。ただし、その目標の達成に際して、小分けにして積み重ねて達成すべきなのか、1回や2回などにまとめて達成してもよいのかという点については触れられていない。一方、米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine;ACSM)は、この身体活動を5日以上に分けて達成することを提案している。

とはいえ、現実的な問題として、現役世代の多くは平日を中心として週に5日は労働しており、身体活動にあてる時間を確保することが困難だ。そのため、週末などに集中して身体活動を行う人が少なくない。このような身体活動パターンは、“weekend warrior”(週末戦士)と呼ばれている。

このような週末戦士型の身体活動パターンも、健康関連指標を良好に保つうえで有用であることを示唆する研究結果が既に報告されている。しかし、それらの報告はサンプルサイズが小さい、または評価項目が限定的であるといった限界点があり、健康の維持・増進に役立つ体力と週末戦士型の身体活動パターンとの関連はよくわかっていない。

これを背景として今回取り上げる論文の研究では、香港の約5千人の一般成人を対象に実施された調査のデータを用いた解析が行われた。

香港の人口構成にあわせて抽出された5千人の住民を対象に横断的検討

この研究では、香港全域の体力調査に参加した、17~59歳の成人5,091人(主要データに欠落のない対象は4,930人)のデータを用いて横断的に解析された。参加者は、香港の人口の年齢と性別の分布に基づいて抽出されている。

身体活動習慣に関する質問の回答を基に、回答者全体を以下のように分類した。

身体活動パターンによる分類

基本の4パターンの分類

  • 非活動群(17.5%):中等度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行っていない群。
  • 身体活動不足群(47.3%):MVPAを行っているものの、ガイドラインの推奨(週に150分以上)を満たしていない群。
  • 週末戦士群(7.8%):ガイドラインの推奨を満たすMVPAを行っており、身体活動の頻度が週に2回以下の群。
  • 継続的運動群(27.4%):ガイドラインの推奨を満たすMVPAを行っており、身体活動の頻度が週に3回以上の群。

追加解析に用いた分類

上記の4パターンを基本として解析したほかに、以下のパターンでの解析も追加した。

身体活動不足群を、身体活動の頻度が週に2回以下の群と、週に3回以上の群の細分化しての解析。および、高強度運動を週に75分以上行っているか否か(かつ、それを達成するための身体活動の頻度)で分類した4パターンでの解析。身体活動の頻度を問わず、週あたりのMVPAの時間を、なし(10分未満)、10~75分未満、75~150分未満、150~300分未満、300分以上で分類した解析。

健康関連の体力としての評価項目

健康関連の体力として、YMCA 3分間ステップテストにより心肺機能を評価しVO2maxを推定した。また、握力を筋力の指標として測定したほか、プランクテストにより筋持久力、シットアンドリーチテストにより柔軟性を評価。さらに、生体電気インピーダンス法により体組成を評価し、脂肪量/除脂肪量を解析に用いた。

そのほかに共変量として、年齢、教育歴、世帯収入、喫煙状況、睡眠の質、血圧、肥満の状態を把握した。

身体活動を毎日続ける時間がなければ、週に1~2回にまとめても構わない可能性

それでは結果をみていこう。解析はすべて、前述の非活動群を基準として比較されている。なお、論文では、交絡因子未調整モデル、人口統計学的因子を調整したモデル、さらに喫煙状況や肥満・高血圧についても調整したモデルでの解析結果が記されているが、ここではすべての因子を調整したモデルの結果を紹介する。

週末戦士でも心肺機能以外の評価指標は非活動群より有意に良好

継続的運動群は非活動群に比べて、評価したすべての健康関連体力(VO2max、握力、筋持久力、柔軟性、脂肪量/除脂肪量)が良好だった(脂肪量/除脂肪量のβ値はマイナス、その他のβ値はプラスであり、すべて有意)。一方、週末戦士群はVO2maxに関しては非活動群と有意差がなかったが、その他の評価指標は有意差が認められた。

身体活動不足群も週末戦士群と同様に、VO2maxに関しては非活動群と有意差がなかったが、その他の評価指標は有意差が認められた。ただし身体活動の頻度で二分すると、週に3日以上の場合は継続的運動群と同様に、評価したすべての健康関連体力が良好であり、一方で週に2日以下の場合、非活動群と有意差のある項目は柔軟性のみであった。

高強度運動の推奨を満たす場合、週末戦士群と継続的運動群はともに有意に良好

次に、高強度運動を週に75分以上行っているか否かでの解析結果をみてみると、週末戦士群と継続的運動群はともに、すべての評価指標について非活動群より有意に良好であった。それに対して身体活動不足群は、柔軟性のみが非活動群より有意に優れていた。

このほかに、身体活動の頻度を問わず、週あたりのMVPAの実施時間との関連を検討した結果からは、週に150分以上ではなく、75~150分の人たちでも、非活動群よりすべての評価指標が有意に優れていることが示された。

著者らは本研究が横断的解析であるために因果関係は不明であること、身体活動パターンを自己申告に基づき評価していること、中等度と高強度の身体活動を評価していて、有用性のエビデンスが近年蓄積されてきている軽強度身体活動を把握していないこと、心血管代謝マーカーとの関連を調査していないことなどの限界点を挙げたうえで、得られた結果を、

  1. 週末にまとめてMVPAを行う人の健康関連体力指標は良好である、
  2. ガイドラインのMVPA推奨量を満たしていなくても、週3回以上実施している、または推奨量の半分を達成している場合、MVPAを実施していない人との比較において、健康関連体力指標が良好である、
  3. 週末に高強度の運動を行う人は、すべての健康関連体力指標が良好

という三つにまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of “weekend warrior” and leisure time physical activity patterns with health-related physical fitness: a cross-sectional study」。〔BMC Public Health. 2025 Oct 3;25(1):3316〕
原文はこちら(Springer Nature)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2025後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ