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男子は身体的でチームメイトから、女子は心理的で指導者から スポーツにおける子ども虐待を性差で検証 システマティックレビュー

スポーツに関連して子どもに対して行われる虐待行為のタイプが、男子と女子で異なるのかをシステマティックレビューで検討した報告を紹介する。男子には身体的虐待が多く、女子には心理的虐待が多いことや、男子は仲間から、女子はコーチから虐待を受けやすく、虐待を受けた場合、男子はコーチに、女子は親に報告することが多いという。

男子は身体的でチームメイトから、女子は心理的で指導者から スポーツにおける子ども虐待を性差で検証 システマティックレビュー

スポーツへの参加の負の側面として、虐待が世界的な問題に

スポーツへの参加は精神的、身体的、社会的な多くのメリットがあり、とくに未成年においては教育の一環としても重要な役割を担っている。その一方でスポーツに関連する暴力などの虐待が、世界的に深刻な問題として指摘されてきている。

スポーツ以外の場面で発生する子どもへの虐待については、子どもの性別により行われる虐待のタイプなどが異なることが報告されている。例えば北米からは、成人から子どもへの虐待として、対象者が女子である場合、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトが多いこと、身体的虐待については男子と女子とで同程度であるとの報告がある。また、虐待を受けた子どもの影響にも性差があることが報告されていて、男子は外在化行動をとりやすく、犯罪につながる可能性が指摘され、女子は内在化して抑うつや不安症のリスクが高まることが指摘されている。

このように、子どもの性別によって受けることの多い虐待のタイプやその反応は異なることが知られているが、そのような性別による差異がスポーツに関連して発生する虐待にも存在するのかどうかは明らかでない。これを背景に、今回取り上げる論文の著者らは、システマティックレビューによる検討を行った。

22件の研究報告を特定し傾向を解析

システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠して、PsycInfo、MedLine、Scopusという3種類の文献データベースを用い、それぞれのスタートから2024年5月7日までに収載された論文を対象とする検索が行われた。包括条件は、組織化されたスポーツに参加している18歳以下の幼児や小児、青年の虐待の実態を調査し、性別に定量化されたデータを英語で報告している、査読システムのあるジャーナルに掲載された論文とした。男子または女子のみを対象とした研究、レビュー、学会発表、書籍などは除外した。

3種類の文献データベースの検索で610報がヒットし、重複削除後の509報を3名の研究者が独立してタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。抽出された57報を2名の研究者が全文精査して、21件の研究報告を適格と判定。このほかに、2024年に報告された新たな論文1報を加え、最終的に22件の研究を解析対象として特定した。

これら22件のうち5件はカナダ、3件が英国、2件はオーストラリアで実施され、そのほか、米国や日本などの単一の国で行われた研究が7件で、残り5件は複数の国の回答者が含まれていた。

男子に対しては身体的虐待、女子に対しては精神的虐待が多く行われている

子どもの性別による身体的虐待の頻度の差を検討している研究において、男子のほうが身体的虐待を受けやすいとする報告が4件みられた。一方、女子のほうが身体的虐待を受けやすいとする報告はなかった。1件は、身体的虐待の受けやすさに性差はないと報告していた。

精神的虐待については、男子のほうが受けやすいとする報告が1件、女子のほうが受けやすいとする報告が4件、性差なしとする報告が2件だった。ネグレクトについては同順に、1件、3件、1件だった。性的虐待は、1件、4件、2件だった。

身体的虐待の内容としては、男子ではコーチの指導によるオーバートレーニング、怪我をしている状態でのトレーニング、身体的暴力(突きとばす、揺さぶる、平手打ち、拳で殴る)などが報告され、女子では疲労困憊または怪我をしている状態でのトレーニングの強制などが挙げられていた。

精神的虐待の内容としては、男子ではパフォーマンスに関する罵倒、女子では体重に関する批判が多かった。

性的虐待の内容としては、女子に対しては攻撃性が低く、好意の告白やキスなどが多かった。一方、男子に対しては攻撃性が高く、ソドミー(肛門性向など)やポルノの提供などが多かった。また、性的虐待の加害者が16歳未満の場合の被害者は、男子が多かった。

男子は仲間から、女子はコーチからの虐待が多く、男子はコーチに、女子は親に報告

虐待を受けた子どもにおいて、男子はスポーツ上の仲間から受けることが多く、女子はコーチから受けることが多い傾向が認められた。また、虐待を受けたことを報告する相手として、男子はコーチ、女子は親が多い傾向にあった。

研究の加速とサーベイランスの強化などを提言

論文の考察には、本研究から導き出されたスポーツにおける子どもへの虐待を減らす施策の提案が掲げられている。

その提案では、スポーツに関連した子どもへの虐待の定義と評価手法の確立、および虐待を受けた子どもが報告する際の障壁を明らかにする研究の必要性に言及するとともに、虐待のサーベイランスの強化、および、性別に配慮した教育リソースの開発などが、課題として挙げられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Gender Differences in Sports-Related Child Maltreatment: A Systematic Review」。〔Trauma Violence Abuse. 2025 Sep 27:15248380251372157.〕
原文はこちら(SAGE Publications)

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