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夜中に目が覚める原因は栄養不足? 高齢者の睡眠の質の低下に栄養不良とフレイルが関連

高齢者の睡眠の質の低下に、栄養不良とフレイルが関与していて、それらが相乗的に作用していることを示唆する研究結果を紹介する。著者らは、適切なタンパク質とエネルギー摂取により栄養状態を改善することが、フレイルの抑止と睡眠の改善につながるのではないかと述べている。

夜中に目が覚める原因は栄養不足? 高齢者の睡眠の質の低下に栄養不良とフレイルが関連

高齢者の「夜中に目が覚めてしまう」という訴えの一因に栄養不良?

高齢者は、「夜中に目が覚めてしまい、朝になるまでうとうとするだけ。眠った気がしない」など、不眠症症状を訴えることが少なくない。このような睡眠の質の低下は心身の健康に負の影響を及ぼし、QOLを低下させてしまう。

これまでの研究で、高齢者の睡眠の質の低下に、栄養状態とフレイルの存在が関連していることが示唆されている。ただし、それら両者が相乗的に睡眠の質を低下させているのかどうかという点は、あまり研究されていない。

この点について、中国の高齢者対象横断研究が実施された。

中国の高齢者対象の横断研究による検討

この研究の参加者は、中国国内の複数の医療機関、介護施設、および地域コミュニティーから募集された1万4,021人。なお、事前の統計学的検討によると、このトピックの検討に必要なサンプルサイズは8,596だった。

研究参加の適格基準は、年齢が60歳以上であり、コミュニケーション能力が保たれていることとされ、除外基準として、精神疾患や認知機能障害および急性疾患などが設定されていた。

睡眠の質は、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh sleep quality index;PSQI)で評価。PSQIは0~21点のスコアで評価され、スコアの高さは睡眠の質の低下を意味する。本研究では5点を上回った場合を、睡眠の質が不良として解析した。

栄養状態は、簡易栄養状態評価表(mini nutritional assessment-short form;MNA-SF)で評価。MNA-SFは0~14点のスコアで評価され、スコアの高さは栄養状態が良好であることを意味する。本研究では12~14点を良好、8~11点を栄養不良のリスク状態、7点以下を栄養不良として解析した。

フレイルは、国際栄養・加齢学会(International Association of Nutrition and Aging;IANA)のフレイル指数(FRAIL Scale)で評価。このフレイル指数は0~5点のスコアで評価され、スコアの高さはよりフレイルらしい状態であることを意味し、本研究では3点以上をフレイル、1~2点をプレフレイル、0点を非フレイルとして解析した。

これらのほかに、年齢、性別、教育歴、居住環境、世帯収入、喫煙・飲酒・運動習慣、健康診断参加状況、社会活動参加状況などを把握した。

高齢者の睡眠改善には栄養介入も重要

解析対象1万4,021人の主な特徴は、年齢71(四分位範囲66~76)歳、男性50.64%で居住地域は都市部が47.94%、農村部が52.06%であり、大半(92.09%)が家族と同居しており、5.61%が独居、2.30%が施設入居中だった。

全体の24.38%が、睡眠の質が不良と判定された。栄養状態については、34.04%が良好、55.74%が低栄養リスクのある状態、10.21%が低栄養と判定された。また、13.96%がフレイル、27.06%がプレフレイル、58.98%が非フレイルと判定された。

睡眠の質が良くない高齢者には栄養不良やフレイルが多い

睡眠の質が不良の群はそうでない群に比べて、高齢で女性が多く、教育歴が短い、都市部居住者が多い、世帯収入が少ない、喫煙者・習慣的飲酒者が多い、社会活動参加者が少ない、運動習慣のある割合が低い、健診受診者が多い、社会的支援が少ないといった有意差が認められた。また、以下のように、栄養状態やフレイルの有無についても有意差が認められた。

栄養状態と睡眠の質

睡眠の質が良好な群では、栄養状態良好が34.07%、栄養不良リスク状態が55.34%、栄養不良が10.59%だった。それに対して睡眠の質が不良の群は、同順に33.97%、56.99%、9.04%であり栄養不良リスク状態が多く、分布に有意差がみられた(p=0.025)。

フレイルと睡眠の質

睡眠の質が良好な群では、非フレイルが67.27%、プレフレイルが23.06%、フレイルが9.67%だった。それに対して睡眠の質が不良の群は、同順に33.24%、39.47%、27.30%であり、フレイルやプレフレイルが多く分布に有意差がみられた(p<0.01)。

栄養不良とフレイル/プレフレイルは睡眠の質低下と関連

次に、睡眠の質が不良であることを従属変数、栄養状態とフレイルの有無を独立変数として、交絡因子を調整した解析を実施。その結果、栄養不良(OR1.193〈95%CI;1.033~1.379〉)、プレフレイル(OR3.472〈3.158~3.817〉)、フレイル(OR6.050〈5.384~6.799〉)は睡眠の質が不良であることと独立した関連が認められた。ただし、栄養不良がリスク状態にとどまっている場合は、睡眠の質低下との関連が非有意だった。

一般化線形モデルにおいて、栄養状態(B=0.007〈-0.133~-0.147〉)およびフレイル(B=1.145〈0.983~1.306〉)はいずれも睡眠の質が不良であることと有意に関連し、かつ、それら両者の有意な相互作用(B=0.214〈0.011~0.417〉)も認められた。

高齢者の睡眠改善には、栄養状態とフレイルのスクリーニングを

これらの結果について論文では、以下のような考察がなされている。

まず、高齢者の睡眠の質と栄養状態に有意な関連が認められたが、フレイルの有無を関連因子として同時に評価すると、栄養状態は予想外に弱い関連となったことについて、フレイルと栄養状態不良の共分散が大きいためとしている。つまり、フレイルによる睡眠への影響によって、栄養不良への睡眠への影響の多くがマスクされているという。

しかし、それにもかかわらず両者の相互作用は有意であったことから、栄養不良はフレイルの進行と睡眠の質の低下に影響を及ぼすことが示唆されると述べられている。

以上の結果および考察に基づき、論文の結論には、「これらの知見は、高齢者の睡眠改善を目的とした介入において、栄養サポートとフレイルのスクリーニングや管理を優先することの重要性を強調するものだ」と記されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of the interaction between nutritional status and frailty level with sleep quality in older adults」。〔Front Public Health. 2025 Sep 23:13:1615643〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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