マスク着用は熱中症のリスク! 新型コロナ予防と熱中症予防を両立するには?
厚生労働省と環境省は、このほど「令和2年度に必要な熱中症予防行動」というリーフレットを作成・公開した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防と、熱中症の予防を両立させることを主眼とし、現在の特殊な状況を反映した令和2年度バージョンの熱中症対策。新型コロナウイルス対策をとった上で、熱中症を防ぐためにマスクをはずすことを推奨している。
熱中症予防×コロナ感染防止
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」では、一人ひとりが感染防止の三つの基本である、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや「3密(密集、密接、密閉)」を避けることが求められている。一方でこれから本格的な夏を迎えるにあたり、熱中症予防も欠かせない。
今回作成されたリーフレットの内容は、厚労省が既に発表しているポイントである、マスクの着用、エアコンの使用、涼しい場所への移動、日ごろの健康管理――という4項目を踏襲しつつ、マスクをはずすことにより重点を置いた表現になっている。
マスクをしていると熱中症のリスクが上がる
リーフレットの上段には、「注意:マスク着用により、熱中症のリスクが高まります」と大きく表示されている。それに続いて、「マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調節がしづらくなってしまいます。暑さを避け、水分を摂るなどの『熱中症予防』と、マスク、換気などの『新しい生活様式』を両立させましょう。」とのメッセージが書かれている。
このメッセージに続き、屋外で人と2m以上(十分な距離)離れているときはマスクをはずすことをイラストと文字で示している。
マスクをはずせるかどうかで行動を変える
一方、マスク着用時には、激しい運動は避ける、喉が渇いていなくても水分を補給する、気温・湿度が高いときはとくに注意する、という三つのポイントをイラストと文字で強調。マスクをはずせる状況か否かで、行動を変えることを促している。
暑くなり始める時期から、身体を慣らしていく
リーフレットの裏面は、エアコンの使用や健康管理のアドバイス、熱中症の発生状況に関するデータの解説にあてられている。それによると、熱中症の死亡者数は気温が30℃を超える真夏日から増加し、気温が35℃を超える日はとくに注意が必要で、運動は原則禁止で外出はなるべく避けるとしている。
また、暑さに備えて、暑くなり始めの時期から無理のない範囲で適度な運動をすることを推奨。適度な運動とは、「やや暑い環境で、ややきついと感じる強度で毎日30分程度」の運動としている。
このほか、大量に汗をかいたときには塩分も忘れずに補給するなどの一般的な注意のほかに、エアコン使用中もこまめに換気をすること、毎日定時に体温を測定することなど、コロナ対策との両立のための留意事項が記載されている。
関連情報
「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント(厚生労働省)
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