環境省が2020年の熱中症予防情報サイトを公開、「熱中症対策ガイドライン」も改訂
屋外・屋内を問わず、高温・高湿度環境での身体活動は熱中症のリスクが高まる。とくに近年、気候の温暖化に加え都市部ではヒートアイランド現象もあり、熱中症のリスクが年々深刻化している。
熱中症で救急搬送された人の約半数は高齢者であり、発生場所の4割は住居だが、逆に言えば残り半数は一般成人や小児であり、住居以外で発生しているということだ。実際、屋外の競技場などの公衆スペースでの発生が12.8%、教育現場での発生が6.7%と報告されている※1。
熱中症による救急搬送人員数と初診時死亡数の年別推移(6月〜9月)
このような状況に対し、環境省は平成18年度から「環境省熱中症予防情報サイト」を開設し、全国約840地点の「暑さ指数(WBGT)」※2の予測値と実況値など、熱中症予防関連情報を提供してきており、2019年度(令和元年度)は約3,000万件のアクセスがあったという。
そして環境省では、今年度は4月17日から同サイトを開始することを発表した。URLや提供期間、提供情報などは以下のとおり。
環境省熱中症予防情報サイトのURL
- パソコン https://www.wbgt.env.go.jp/
- スマートフォン https://www.wbgt.env.go.jp/sp/
- 携帯電話 https://www.wbgt.env.go.jp/kt/
期 間
2020年4月17日(金)〜同年10月30日(金)
提供情報
- 840 地点の暑さ指数(WBGT)の予測値と実況値
- 予測値は当日、翌日、翌々日について3時間ごと。実況値は実測地(以下の全国11 地点)は実測値、その他は推定値。
- 実測地点は、札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、広島、高知、福岡、鹿児島、那覇。
なお、「環境省熱中症予防情報サイト」は令和元年度からカラーバリアフリーに配慮し文字色と背景色の組合せやコントラストにより配慮する改善を行ったが、令和2年度には英語に加えて、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語も追加する。
熱中症警戒アラートや個人向けメール配信サービスも
さらに、同省と気象庁とで計画している「熱中症警戒アラート(仮称)」を、令和2年7月以降、関東甲信地方で先行実施することを予定している。
また、「環境省熱中症予防情報サイト」からのアドレス登録者に対する暑さ指数(WBGT)の予測値と実況値を個人にメール配信したり、企業・個人等へはWBGT予測値・実況値のCSV 形式での提供なども行う。
「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン」2020 年版を発行
同省ではまた、「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン」を改訂し、2020年版として発行、Web上にPDFを公開した。
このガイドラインは、夏季にイベントを開催する主催者や施設管理者向けに平成27年度に暫定版を作成、平成30年度に正式版を発行したもの。2020年版では、内容を理解しやすいように構成を変更したほか、暑熱観測の結果や障害者への配慮に関する内容を追加した。
アトランタ五輪では観客の救急処置の2割以上が熱中症
それによると、2018年の熱中症による救急搬送者数は9万5,137人で過去最多、2019年も7万1,317人で過去2番目だったという。
また、1996年のアトランタオリンピックにおいて、救急処置を受けた観客の21.6%は熱中症によるもの(選手では5.3%、ボランティアでは5.7%)といった情報も紹介している。
関連情報
環境省熱中症予防情報サイトにおける暑さ指数等の情報提供について(環境省)
夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン 2020
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