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国際大会に参加中のアスリートは何を基準に食べる物を選んでいるのか?

国際大会の選手村でアスリートたちは、自分が食べる物をどのように選択しているのだろうか。69か国からの385人のアスリートを対象とする横断研究の結果が報告された。選択基準として、パフォーマンスへの影響、感覚的な判断、健康への配慮、体重管理などが多くみられた。一方で、感情的な影響、他のアスリートからの影響などは少なかった。

国際大会に参加中のアスリートは何を基準に食べる物を選んでいるのか?

2大会、29種目のアスリート参加者を対象に調査

この研究は、ユニバーシアードとコモンウェルスゲームズの参加アスリートを対象に行われた。前者は国際大学スポーツ連盟が主催する17~28歳の学生対象国際総合競技大会で、本研究では2017年の第29回夏季大会(参加国134か国、競技種目22種目、アスリート1万600人)で実施、後者はイギリス連邦に属する国・地域が参加し4年ごとに開催される総合競技大会で、2018年の第21回大会(71か国、18種のスポーツと7種のパラスポーツ、6,600人)で実施された。

ユニバーシアードからは153人、コモンウェルスゲームズからは232人、計385人のアスリートがこの調査に協力した(18歳未満、アンケートの回答率が半分以下、両大会重複の回答は除外)。協力者の出身国数は69か国、競技種目は29種、アスリートの母国語は58種に及び、年齢は18~71歳で平均は25±7歳だった。

食品選択に与える因子を5点満点で評価

アスリートの食事選択に影響を与える因子は、近年開発された評価指標である「Athlete Food Choice Questionnaire;AFCQ(アスリートの食事選択質問票)」を用いた。回答は1~5の5段階として、常にその因子を意識している場合は5点と回答してもらった。  なお、ユニバーシアードとコモンウェルスゲームズでは、会期中、アスリートと大会役員に対し大型ダイニングホールにて食事を無料で提供している。

パワー/スプリント競技アスリートは、とくにパフォーマンス重視で食事を選択

二つの大会の調査協力者を比較すると、年齢はコモンウェルスゲームズのほうが有意に高く(中央値25歳 vs 22歳,p<0.001)、オリンピック出場経験者の割合が有意に高かった(95% vs 5%,p<0.001)。ユニバーシアードはチームスポーツ選手が多かった(60% vs 39%,p<0.001)。

食品の選択に影響を与える因子として、最も多く選択されたのは「パフォーマンス」だった(平均4.33点)。次は「感覚的な魅力」(3.75点)であり、以下、「食と健康への意識」、「ウエイトコントロール」、「いつもの食習慣」、「食品の栄養特性」、「感情的な影響」、「他人からの影響」、「価値観・信念」と続いた。

ユニバーシアードとコモンウェルスゲームズでの比較

この結果をユニバーシアードとコモンウェルスゲームズで比較すると、「パフォーマンス」、「食と健康への意識」、「いつもの食習慣」は、コモンウェルスゲームズでより強く意識される因子であり、群間に有意差があった。

一方、「感情的な影響」、「他人からの影響」はユニバーシアードでより強い因子であり、やはり群間差が有意だった。  「感覚的な魅力」、「ウエイトコントロール」、「食品の栄養特性」、「価値観・信念」については群間差が有意でなかった。

競技種目での比較

競技種目で比較すると、どの競技のアスリートも基本的に、前述のように「パフォーマンス」を重視して食事を選択していたが、とくにパワー/スプリント競技アスリートの回答は「パフォーマンス」の点数が4.83点と、他の競技のアスリートに比較し高かった。またパワー/スプリント競技アスリートは、「ウエイトコントロール」も3.88点と高く、他の種目のアスリートよりも重視していた。

一方、アーチェリー、フェンシング、ゴルフ、射撃などの技能系の競技では、最も重視する因子として「パフォーマンス」とともに「いつもの食習慣」がともに4.00点であり1位だった。

これらの結果について、著者らは「アスリートやチームが食品の選択に影響を与える要因への理解を深め、パフォーマンスの向上や競技の回復、全般的な健康の維持・改善のための栄養戦略に役立つものだ」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Key Factors Influencing the Food Choices of Athletes at two Distinct Major International Competitions」。〔Nutrients,12(4) 2020 Mar 27〕
原文はこちら(MDPI)

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