7月の熱中症による救急搬送人員は全国で8,388人 昨年から半減も、8月以降は急増
消防庁は8月26日、今年7月の熱中症による救急搬送状況の確定値を公表した。それによると7月の全国の熱中症による救急搬送人員は8,388人だった。これは、昨年7月の1万6,431人に比べ8,043人少なく、ほぼ半減している(資料1)。

年齢区分別では高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順。重症度では、軽症が最も多く、次いで中等症、重症の順。発生場所別では住居が最も多く、次いで道路、仕事場、公衆(屋外)の順(資料2)。都道府県別の人口10万人あたり救急搬送人員は沖縄が最も多く、次いで宮崎、鹿児島、熊本、愛媛の順であり、九州と四国の県が上位に集中している(資料3)。
8月以降は急増。都内での死者数が過去最多
今回発表されたデータは7月の確定値。7月の熱中症救急搬送人員が昨年よりも少ない理由の一つとして、全国的に梅雨明が遅かったことが幸いした可能性もある。ちなみに東京の梅雨明けは8月1日で、2007年以来13年ぶりに8月に入ってからの梅雨明けだった。
そこで、8月上旬のデータまで公表されている速報値をみてみよう。すると8月の3~9日の1週間だけで6,664人が熱中症により救急搬送されている(資料4)。梅雨明けとともに救急搬送人員が急増していることがわかる。また、都内では、8月に入ってからの熱中症による死亡者数が、24日時点で既に過去最高となったことが報道されている。
熱中症による救急搬送状況(令和2年7月)
「都道府県別救急搬送人員昨年比」

熱中症による救急搬送状況(令和2年7月)
「年齢区分別(構成比)、初診時における傷病程度別(構成比)、発生場所別(構成比)」

熱中症による救急搬送状況(令和2年7月)
「都道府県別人口10万人当たりの救急搬送人員」

熱中症による救急搬送状況(令和2年7月)
「調査開始から各週の比較」

新型コロナ禍での熱中症対策
消防庁では、本データの公表に合わせて「注意事項」として、以下の情報をアナウンスしている。
熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能。また、今年は従前からの予防に加え、新型コロナウイルス感染症に留意した対応が必要であり、「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントとして、以下の項目に注意する。
- 屋外で人と2m以上離れている時はマスクを外す
- 涼しい服装、日傘や帽子で暑さを避ける
- 喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給する
- 部屋の温度に注意し、エアコンや扇風機を上手に使う。また、こまめに換気をする
このような情報提供に加え、消防庁は熱中症予防啓発のコンテンツとして、「予防啓発動画」「予防啓発ポスター」「予防啓発車両用シート」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」「熱中症対策リーフレット」「予防啓発取組事例集」を同庁のホームページに掲載しており、関係機関での活用を促している。
関連情報
令和2年7月の熱中症による救急搬送状況(消防庁)
熱中症情報(消防庁)
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