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脱水レベルは体重変化と尿の色の組み合わせで判断すべき 女性アメフト選手での検討結果から

ある時点の脱水レベルを簡便に評価しようとする際、尿の色の濃さを指標に用いることが多い。また、一定期間に失われた水分量を把握する手段として、その期間での体重減少幅が有力な情報となる。これに対し、脱水の有無やその程度を正しく見積もるためには、それら双方を組み合わせて評価する必要があるとする米国での研究結果が報告された。

脱水レベルは体重変化と尿の色の組み合わせで判断すべき 女性アメフト選手での検討結果から

トレーニング前、既に脱水に近づいていれば、体重は減らずに増加することもある

体重の2%を超える体重減少は熱中症のリスクを高めるとされといる。一方で熱中症やそのリスク因子である脱水の回避のために水分を過剰に摂取することは、低ナトリウム血症のリスクを高める。

脱水や熱中症と低ナトリウム血症のリスクの抑制には、適切な水分補給がポイントとなる。そのための脱水レベルの評価方法として、尿量の計測やヘマトクリットの測定など、いくつかの方法があるが、アスリートのトレーニングの現場で頻繁に実施するのは現実的な方法でない。それに対して尿の色の評価や体重変化は、比較的簡便に頻回に測定可能。ただし、運動前後での体重変化と、尿の色の変化との関連性については、まだ十分に研究されていない。そこで著者らは、この点を明らかにするために、以下の検討を行った。

この検討に先立ち著者らは、以下の仮説を立てていた。すなわち、トレーニング開始時点で身体の水分量が十分に満たされていれば、トレーニング中の水分摂取量は少なくなり、かつトレーニング後には大きく体重が減っており、尿の色は薄い色から濃い色へと変化する。一方、トレーニング開始時点で身体の水分量が十分に満たされていなければ、トレーニング中の水分摂取量が多く、かつトレーニングによる体重変化は少なく、尿の色はトレーニング開始前の時点で既に濃いのではないか、というもの。

プロの女子アメフト選手26名で、計104回データを収集

研究参加者は、22~48歳の女子アメリカンフットボールのプロ選手26名(29.9±7.3歳、BMI30.8±9.4)。米国南東部において、2シーズンにわたって5月の夕方(湿球黒球温度は22.0±1.8℃)、以下の検討が4~8回実施された。なお、全参加者がすべてのデータ収集日のトレーニングに参加したわけではない。

データ収集日にはトレーニング開始前に採尿と体重を計測、トレーニング中は自由に水分摂取可とし、トレーニング終了後に体重計測、採尿を行った。尿の色は2名の研究者が共同で、比色表により判定した。

トレーニング前後での体重変化で3群に分類

計104件のデータが収集された。全体でトレーニング前後に-0.3±0.5%の体重変化が認められた。

104件中71件(68.2%)は、トレーニング後に体重が減少していた(-0.6±0.3%)。一方、21件(20.2%)は、トレーニング後の体重がトレーニング前より増加していた(0.5±0.4%)。12件(11.5%)は不変だった(0.0±0.0%)。

トレーニング中の水分摂取量は、全体平均が781.8±445.0mLであり、トレーニング後の体重が減少していた群は620.0±302.4mL、トレーニング後の体重が増加していた群は1256.6±536.0mL、体重不変群は908.1±445.0mLだった。体重増加群の水分摂取量は、体重減少群(p<0.01)や不変群(p<0.05)に比べて有意に多く、体重不変群の水分摂取量は、体重減少群に比べて有意に多かった(p<0.01)。

トレーニング前の3群の尿の色に有意差

上記の3群で尿の色の変化を比較すると、トレーニングにより体重が増加した群はトレーニング前の尿の色が、平均すると比色表の5に該当。一方、トレーニングにより体重が減少した群は平均3と薄く、群間に有意差があった(p<0.01)。また、トレーニング前後の体重が変化しなかった群との間にも、有意差がみられた(p<0.05)。

トレーニング後の尿の色は全群ともに5~6のレベルに濃く変化しており、有意な群間差はなかった。

複数のポイントで複数のツールによる脱水リスクの評価が有効

トレーニング中の脱水の予防は重要ではあるが、体重が増加するほどの水分を摂取することは、低ナトリウム血症のリスクがあるため、避けるべきとする報告が多い。しかし、本研究から、トレーニング中の水分摂取量が多いことは、トレーニング開始前の時点の尿色が濃いことと有意に関連していることが示された。つまり、トレーニング開始前に脱水リスクがある程度高まっているアスリートほど、トレーニング中の水分摂取量が多くなると考えられた。

この結果を基に著者らは、「トレーニング中の脱水リスクを1時点の1つの指標のみで判断しようとすると、誤った判断を招く可能性がある」と指摘している。そして、トレーニングの現場で簡便に用いることのできる指標として、尿色と体重変化を組み合わせて用いることを提案している。

文献情報

原題のタイトルは、「Relationship Between Pre- and Post-exercise Body Mass Changes and Pre-exercise Urine Color in Female Athletes」。〔Front Sports Act Living. 2022 Mar 22;4:791699.〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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