ヤングアスリートの熱中症予防システム 長崎大などが開発 部活動の自己管理を支援
長崎大学は、同大学大学院の学生と野球アカデミー「オンデック長崎」が共同で、ヤングアスリートのための熱中症予防システムを開発したと発表した。
IoT(Internet of Things)とAIを活用し、練習メニューや各生徒の水分補給量および暑さ指数から、生徒ごとの熱中症危険レベルをアバターで表示し、生徒自身に熱中症の危険度をわかりやすく表示するというもの。また危険度が設定されたレベルを超過した場合、アラームで各生徒に通知したり、SNS(LINE)で教員に通知したりすることができる(図1)。
図1 熱中症予防システム概要
グラウンドなどの屋外の練習場に設置したタブレットPCによって練習メニューを登録すると、生徒ごとの飲水量を計測するデバイスからの情報と、環境省が発表する暑さ指数から熱中症危険度を算出し、その結果を生徒のアバターでタブレットPC上に"見える化"する。そして、あるレベルを超えると音アラームやSNSによる通知などで、生徒自身や教員に知らせる(図2)。これにより、生徒自身が声を掛け合い給水や休憩をとることで、熱中症のリスクを自己管理できるようになったり、教員の負担を軽減することが可能。
図2 熱中症予防システム表示イメージ
同大学のニュースリリースによると、これまでにも屋外での作業などにおいて、暑さ指数に基づき熱中症の警告を発出するシステムが実用化されているが、高価な暑さ指数測定器を準備する必要があったり、作業現場単位での警告発出しかできないといった使いずらさがあったという。
今回開発されたシステムは、環境省が公表する広域の暑さ指数を利用する。そして人工知能により練習場所の暑さ指数を推定することで、高価な暑さ指数測定器を不要とした。また、生徒が飲水に利用するペットボトルをIoT化して、生徒ごとの飲水量を計測する。さらに、登録された練習メニューの運動強度を勘案し、生徒ごとに熱中症の危険度を予測して、通知することを可能とした。
地球温暖化の影響もあり、熱中症のリスクは年々高まっている。特に、中高生などの部活動においては、活動に熱中するあまり水分補給が十分でなかったり、適切な休憩をとらなかったりすることで、より熱中症のリスクが増大する傾向がある。この状況を背景に、野球アカデミー「オンデック長崎」と、長崎大学大学院工学研究科、小林透研究室の学生および工学部情報工学コース1年の女子学生からなるプロジェクトチームが今回のシステムを開発した。
関連情報
ヤングアスリートのための熱中症予防システムを開発 ~部活等時の自己管理強化による熱中症予防に向けて~(長崎大学)
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