総合格闘技試合前の減量 格闘家は誰のアドバイスを受け、いかに減量しているのか?
総合格闘技も体重階級制スポーツであり、多くの選手(格闘家)は試合を優位にするため、計量前に急激な減量を行っている。急な減量のため、しばしば極端な食事制限、サウナやスウェットスーツによる発汗などが行われているようであるが、これらの行為がパフォーマンス低下を招く可能性もある。
柔道や空手、テコンドーなどの格闘技アスリートを対象とする過去の研究からは、減量にあたり登録栄養士(管理栄養士)の助言を得た割合は26.1%と少なかったことが報告されている。しかし総合格闘技選手がどのような情報を参照し、どのよう減量しているかについての報告は少ない。
本研究は、92名の男性総合格闘技選手を対象に減量のペースや手段、参考情報の入手法等を調査したもの。対象者の体重階級は、47.6~120.0kgの範囲にあった。
減量にあてた期間
減量にあてた期間は平均4.66±2.32週だった。減量の幅が最も大きかった期間の記載を求めたところ、30%が計量前の1週間と回答し、うち27.8%は計量前の48時間、さらに22.2%は計量前24時間と回答した。
減量の方法
よく実践されていた減量方法として、食事制限(82.6%)、水分摂取量の調整(72.8%)、トレーニングまたはエネルギー消費の増加(69.6%)、サウナの使用(69.6%)、スウェットスーツの使用(59.8%)が挙がった。減量にあてた期間が短い(1〜4週間)選手と長い(5〜8週間)先週を比較すると、後者の減量手段はトレーニングやエネルギー消費の増加をより多く活用しており、有意差があった。
アドバイスのソース
83.7%はチームメートからのアドバイスを参考にしていた。その他、ソーシャルメディアの情報を参考にしていたのが30.4%で、管理栄養士から助言を受けていたのは20.7%だった。
実践した減量法の数
ソーシャルメディアの情報を参考に減量したと回答した選手が、実際に行った減量法の種類は4.86±1.27種類で、チームメートのアドバイスを参考にした選手は4.36±1.41種類だった。これに対して管理栄養士からの助言を参考にした選手は3.84±1.68であり、実践した減量法の種類がやや少なかった。
以上の結果の総括として著者らは、「管理栄養士のアドバイスが総合格闘技選手の減量の安全性の確保につながり、かつ効果的な方法であるかどうかはまだ不明。今後は管理栄養士が介入することで、総合格闘技選手の体重管理やパフォーマンス向上の成功率が上昇するかどうかを調査する必要がある」と述べている。
文献情報
原題のタイトルは、「Self-reported methods of weight cutting in professional mixed-martial artists:how much are they losing and who is advising them?」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2019 Nov 12;16(1):52〕