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エネルギー代謝の評価法「二重標識水法」国際データベース 23カ国6,621件のデータを集積

今日の栄養学において消費エネルギー量に関する研究は依然、重要なポジションを占めている。現在、自由生活下のエネルギー消費量を計測する最も信頼できる方法は二重標識水法だ。この二重標識水法を利用した研究のデータベース化が、国際原子力機関(IAEA)が主体となり進められている。そのデータベースの目的と現状を紹介する論説が「Karger International」に掲載された。

エネルギー代謝の評価法「二重標識水法」国際データベース 23カ国6,621件のデータを集積

二重標識水法は1950年代に開発され、当初はマウスに使用され始め、以後も小型哺乳類や鳥類に使用されてきた。その後、ヒトを対象とした研究にも用いられるようになり、近年は専らヒトの研究に使われている。2000年以降は毎年、94〜142件の論文が報告されてきており、年平均120論文が発表されている。

IAEAのデータベースは、2014年に東京で開催されたエネルギー代謝とその測定法に関する国際ミーティングに続いて行われた、二重標識水法トレーニングワークショップからスタートした。そのワークショップにおいて、ヒトを対象に行われた二重標識水法による測定値を網羅的に統合するというアイデアが提案されたことに端を発する。

そのようなデータベースを作成することの利点として、まず第1に、二重標識水法は依然として高コストだという難点を補完することが考えられる。二重標識水法を利用したほとんどの研究のサンプルサイズは30未満であり、そのレベルのサンプル数では栄養学の大きな課題に取り組むことができない。例えば、総エネルギー消費量の時代的変遷は?、総エネルギー消費量はライフスタイルの影響をどの程度受けるのか? など、このような研究上の疑問に答えるには、データベースを構築しそれを解析することではじめて可能になる。

また、これまで報告されてきた研究において総エネルギー消費量の算出方法が必ずしも一致していないが、算出の根拠となった元データが一カ所に開示されていれば、単一の共通式を使用しすべてのデータの再検討が可能になる。

このような経緯を背景に、IAEAがデータベースを管理することになり、まず初めに世界23カ国から6,621件の測定値がWebサイトにアップロードされた。このデータベース化は、2018年12月11日にIAEAがオーストリアのウィーンにおいて世界保健機関(WHO)およびユニセフと協力し開催された、栄養失調の二重負担(低栄養と過栄養)への効果的な栄養介入に関する国際シンポジウムで正式に発表された。

1980年代初期から既に2,500を超えるヒトを対象とした二重標識水法の論文が公開されており、全ての有効なデータ件数は2万〜2万5,000程度と推定される。しかし現在までにその約20%しか収載できていない。

 IAEAデータベースの目的は、可能な限り多くの測定値を収載することだ。よって研究者に、特に2000年以前のデータの提供を求めている。データの送信者は、データベースを使用する著者として認められる。データ送信に関する詳細は、IAEAデータベースWebサイトで入手可能。また、データベース内のデータ分析の方法も、同サイト内に示されている。

なお、これまでのデータ解析の成果の一例として、成人女性(n=3,220)と成人男性(n=1,810)の二重標識水法で測定した1日の総エネルギー消費量と体重の相関を検討したところ、女性・男性ともに体重が大きい人ほどより多くのエネルギーを消費していることが確認された。しかしその一方で、非常に大きな個人差(R2が女性は0.2602、男性は0.1706)が存在することも同時に明確に示された。

IAEA二重標識水法データベース

DLW -Doubly labelled water database-(IAEA)

文献情報

原題のタイトルは、「The International Atomic Energy Agency International Doubly Labelled Water Database: Aims, Scope and Procedures」。〔Ann Nutr Metab. 2019;75(2):114-118〕

原文はこちら(Karger International)

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