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スポーツ活動への新型コロナウイルスの影響を競技、性別、年齢別に比較 団体競技や男性に影響大

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックのスポーツ活動への影響を、アスリーとの参加競技、性別などの属性別に比較検討した結果がオーストラリアから報告された。個人競技より団体競技、女性より男性で、パンデミックの影響がより大きかったことが明らかになったという。

スポーツ活動への新型コロナウイルスの影響を競技、性別、年齢別に比較 団体競技や男性に影響大

さまざまな背景をもつ5千人以上のアスリートの回答を分析

COVID-19パンデミックにより、世界的にスポーツ活動全般が一時期ほぼ停止した。その影響を調査した報告は少なくないが、特定の競技や集団で調査した研究が多く、アスリートの属性別の比較が難しい。それに対して今回紹介する論文は、さまざまなタイプの競技や性別、年齢のアスリートを調査対象としている点が特徴。

この調査は、2020年5~6月にオーストラリアで実施された。この時期は同国でのパンデミック第一波にあたり、都市のロックダウンを含む厳重な感染対策がとられていた。

同国内のスポーツ関連団体を通じて所属しているアスリートへ調査への協力が呼びかけられた。回答者の適格基準は、2019~20年の競技シーズンに選手登録されていた13歳以上のアスリートであること。このほか、ソーシャルメディアにより回答協力依頼を拡散した。

1人平均3.6種類のスポーツまたは身体活動を報告

6,140人の回答があり、スポーツや身体活動に関する質問に回答していた有効回答者数は5,371人だった。年齢は13~17歳が560人、18歳以上が4,724人。

行っている競技・身体活動は88種類におよび、延べ1万9,205であって、1人平均3.6種類のスポーツまたは身体活動を行っていた。

女性よりも男性アスリートにパンデミックの影響が大きい

パンデミック前のスポーツおよび身体活動(以下ではスポーツと省略)の実施頻度は、男性アスリートが2週間あたり4.5回、女性アスリートは同4.3回で、男性のほうがわずかに高かった。パンデミック以降は男性2.9回、女性3.3回と、双方の頻度が低下し、かつ、男性のほうが女性よりも低くなっていた。頻度の減少率は、女性が24%であるのに対して男性は35%だった。

スポーツの活動時間で比較すると、パンデミック前は1回あたり97分、女性は86分で男性のほうが長く、パンデミック以降は同順に39分、36分と大きく減少していた。減少率は、男性60%、女性58%でほぼ同等。

18歳未満の未成年と18歳以上の成人に層別化して検討した場合、成人では、男性の実施頻度と時間の減少率(おのおの37%、61%)は、女性の減少率(21%、59%)よりも大きかった。一方、未成年ではこの関係が逆転し、男子の減少率(21%、45%)よりも女子の減少率(33%、53%)のほうが大きかった。

個人競技より団体競技でパンデミックの影響が大きい

次に、全年齢で実施率の高かった18種類のスポーツ競技について検討した。大半の競技がパンデミックによる実施頻度が低下していた。

実施頻度の減少率が高い競技は、ボウルズ(ローンボーリング。92%減)、クリケット(81%減)、水泳(80%減)、ネットボール(77%減)などだった。ただし、この結果にはオーストラリアにおける競技シーズンが関係している可能性があるという。活動時間で比較すると、水泳(80%減)、ネットボール(77%減)、ボウルズ(77%減)、クリケット(76%減)の活動時間減少が目立った。

水泳を除きこれらはすべてチームスポーツだった。また、競技人口に占める男性が優位のスポーツが、パンデミックの影響が大きい傾向にあった。

一方、実施頻度が増加したスポーツや身体活動もあった。例えばランニング/ジョギング(36%増)、ウォーキング(27%増)、ヨガ(21%増)、ブッシュウォーキング(トレッキング。20%増)、サイクリング(20%増)など。活動時間でみても、サイクリングとランニング/ジョギングは増加していた。これらは主として女性・女子の活動増加によるものだった。

都市部と非都市部では影響の生じた競技が異なる

続いて、地域性の違いが検討された。

都市部居住者はパンデミック以前は2週間あたり4.4回、1回91分のスポーツをしていたのに対して、非都市部居住者は4.5回、96分で、わずかに高値だった。パンデミックに伴う減少率は、都市部は回数が30%減、時間が59%減、非都市部は同順に31%減、60%減と、ほぼ同様のインパクトだった。

バスケットボール、陸上競技、テニスは地域差が最も大きく、都市部ではテニスの実施率が大幅に減少したのに対して(実施頻度が都市部は65%減、非都市部は49%減)、非都市部ではバスケットボール(同順に20%減、52%減)と陸上競技(22%減、54%減)が大きく減少していた。

以上より論文では、「COVID-19パンデミックによるスポーツ実施率の最大の減少はチームスポーツで認められ、男性の方が影響が大きかった。男性を試合に復帰させ、女性を在宅のヨガやピラティスから元の競技に戻す対策が必要とされる」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「The impact of COVID-19 restrictions on Australians' frequency and duration of participation in different types of sport and physical activity」。〔BMC Sports Sci Med Rehabil. 2022 Mar 21;14(1):42〕
原文はこちら(Springer Nature)

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