文科省が学校での新型コロナ感染を調査 中学生以下はクラス内、高校以上は部活での感染が多い
初等中等教育の現場での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実情が明らかになった。中学以下はクラス内、高校以上は部活での感染が多いという。変異株がオミクロン株主体となって以降、子どもの感染者数が急増し、部活動での対策の徹底が求められている。文部科学省が発表した「学校における新型コロナウイルス感染症対策について」から、一部を抜粋して紹介する。
オミクロン株に移行後に児童・生徒の感染が急増
児童(幼稚園児)や生徒(小学校~高校、特別支援学校の生徒)のCOVID-19感染者数は、パンデミックが始まった2020年から2021年いっぱいはわずかな数値で推移していた。例えば昨年12月は542人だった。しかし、変異株がデルタ株からオミクロン株へ移行した時期と一致して急増し、今年1月には13万人を超え、2月には24万人を超えた。
感染経路をみると、当初は家庭内感染が主体(7~8割)だったが、経時的に感染経路不明が増えた。ただし高校生に関しては、当初から家庭内感染が3割程度で、学校内感染も3割、不明が3割であった。
学校内感染における感染経路
学校内感染における感染経路をより細かくみると、年齢が上がるほど、部活動での感染の割合が増えていることが明らかになった。詳細は下図のとおり。
家庭・学校以外の感染における感染経路
次に、家庭・学校以外の感染における感染経路をより細かくみると、年齢が上がるほど、友人関係での感染の割合が増えていることが明らかになった。詳細は下図のとおり。
職員の学校内感染の4分の1は部活動
また、教職員の学校内感染の経路は、38%が同一クラス、9%が同一学年、17%が職員室であり、同一部活動が26%と4分の1強を占めていた。
オミクロン株に対応した感染予防対策
文科省では、オミクロン株の感染が10代以下に急拡大するなか、本年2月に、学校における新型コロナ対策の強化・徹底を依頼している。とくに感染リスクの高い教育活動は、まん延防止等重点措置の適用対象か否かなど、地域の感染レベルにとらわれず、基本的に実施を控え、感染が拡大していない地域では実施を慎重に検討するよう求めた。
感染リスクの高い教育活動とは、具体的には以下のとおり。
各教科等
- 各教科共通
- 長時間、近距離で対面形式となるグループワーク等、近距離で一斉に大きな声で話す活動。
- 音楽
- 室内で近距離で行う合唱、リコーダーや鍵盤ハーモニカ等の管楽器演奏。
- 家庭
- 近距離で活動する調理実習。
- 体育
- 密集する運動、近距離で組み合ったり接触したりする運動(運動を行っていない際は可能な限りマスクを着用)。
部活動等
- 密集する活動や近距離で組み合ったり接触したりする運動。
- 大きな発声や激しい呼気を伴う活動。
- 学校が独自に行う他校との練習試合や合宿等。
- 部活動前後の集団飲食や部室等の共有エリアの一斉利用を控えるなど、部活動に付随する場面での対策も徹底。
関連情報
文部科学省「学校における新型コロナウイルス感染症対策について」