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新型コロナ禍、大学生アスリートの64%が睡眠の質が低下 仏国のアンケート調査より

大学生アスリートを対象とする調査の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で、63.7%が睡眠の質の乱れを示したとする調査結果がフランスから報告された。睡眠の質の悪さは、女性の性別、高学年、カフェイン摂取などと有意に関連していたとのことだ。

新型コロナ禍、大学生アスリートの64%が睡眠の質が低下 仏国のアンケート調査より

パンデミック下で大学生アスリートの睡眠は変化したのか?

COVID-19パンデミックは生活の多くの側面に影響を及ぼしたことが、多数の研究報告から明らかになっている。アスリートの場合は、トレーニング量の減少やモチベーションの低下などの懸念があり、特に学生アスリートの場合は学業との兼ね合い、不適切な睡眠衛生、例えばカフェインの多用や夜間の光曝露などの問題がより大きい可能性がある。そこで本研究の著者らは、COVID-19パンデミック中の大学生アスリートの睡眠の質と、それに関連する因子を特定するための横断研究を実施した。

調査手法について

この調査は2021年4~6月に、フランスのルーアン大学の学生に対してオンラインアンケートとして実施された。2020年秋に同大学のスポーツ運動科学科に在籍していた学生のうち、18歳以上であり何らかのスポーツに参加していることを適格条件とした。

調査項目は、人口特性(性別、年齢など)、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)、クロノタイプ(朝型か夜型か)、睡眠困難スコア(Sleep Difficulty Score;SDS)、COVID-19パンデミックのトレーニング量や睡眠への影響の自己評価、および行っているスポーツについて(個人競技か団体競技か、トレーニング歴、トレーニング量など)。

なお、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)は0~21点で評価され、スコアが高いほど睡眠の質が低いと判定される。睡眠困難スコア(SDS)は0~17点で評価され、スコアが高いほど睡眠困難の程度が高いと判定される。

大学生アスリートの多くが睡眠の質の低下を実感している

電子メールなどにより964人に調査回答協力を依頼し、339人から有効回答を得た(回答率36.5%)。

年齢は中央値20(四分位範囲19~21)歳で、48.5%が女性だった。行っている競技は、サッカー15%、バスケットボール10%、ハンドボール9.7%、水泳7%、バレーボール5.6%などで、個人競技が47%、団体競技が53%。

競技レベルは国際レベルが1%、フランス国内レベルが19%、地域レベルが46%で、34%はそれ以下。1日あたりのトレーニング時間は、5時間以上が4%、4~5時間10%、2~3時間30%、2時間未満55%。

自己評価では約半数が「睡眠の質が低下」と回答

まず、COVID-19パンデミックの影響の自己評価についてみると、睡眠の質については47%とほぼ半数が「低下した」と回答。35%は「影響なし」で、18%は「改善した」と回答した。

トレーニングへの影響については、「影響なし」が10%、「3割程度減少」が24%、「6割程度減少」が37%、「9割程度減少」が20%で、「増加した」が9%存在した。

3人に2人がPSQI8点以上、3人に1人がSDS8点以上

次に、睡眠の質のより客観的な評価である、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)で8点以上を「睡眠の質の低下」と定義すると、63.7%と3人に2人近くが該当した。中央値は9(四分位範囲7~11)だった。また、5人に1人(20%)は1日の睡眠時間が6.5時間未満だった。

睡眠困難スコア(SDS)も8点以上を「睡眠困難」と定義すると、37.5%と3人に1人以上が該当した。中央値は6(四分位範囲4~9)だった。

個人競技アスリートはパンデミックの負荷が強い可能性

個人競技アスリートと団体競技アスリートとで比較すると、PSQIやSDSのスコア、主観的な睡眠の質、入眠潜時(就床から入眠までに要する時間)には有意差はなく、モチベーションの低下を訴える割合も有意差はなかった。

ただし、睡眠薬を使用しない割合は、有意水準にわずかに至らないものの(p=0.06)、個人競技アスリートのほうが低かった。また、パンデミックにより社会的活動が阻害されたと回答した割合は、個人競技アスリートのほうが有意に高かった(p=0.01)。

ポストCOVID-19に至るまでは、アスリートへの睡眠衛生の教育が重要

続いて、単変量解析でPSQIスコアとの有意な関連が認められた因子を独立変数、PSQIスコアを従属変数とする多変量解析を実施。その結果、睡眠の質の低下を表すPSQIスコアの上昇と独立して関連する因子として、女性(OR1.1)、クロノタイプが夜型であること(OR1.36)、カフェイン摂取習慣(OR1.09)などが抽出された。

反対に、学年については、1年生は3年生に比較しオッズ比が有意に低かった。逆に言うと、高学年のほうが睡眠の質が低下していた。

結論において著者は、「睡眠の質は、アスリートのパフォーマンス、回復、および幸福の基礎である。COVID-19パンデミックは、ライフスタイル、睡眠パターン、トレーニングの変化、および心理的苦痛の増加をもたらした。これらはすべて、大学生アスリートの睡眠の質と量に対して相互に影響を及ぼす。よって、ポストCOVID-19の正常な状態に戻るまでの間は、睡眠衛生をアスリート指導の主要なテーマとして取り上げるべきだろう」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Prevalence and Risk Factors of Poor Sleep Quality in Collegiate Athletes during COVID-19 Pandemic: A Cross-Sectional Study」。〔Int J Environ Res Public Health. 2022 Mar 6;19(5):3098〕
原文はこちら(MDPI)

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