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唾液が新型コロナを防ぐ? 唾液IgAを増やすことで病原性微生物の感染リスク低下の可能性

2022年06月13日

唾液中には、さまざまな病原性微生物に結合する免疫グロブリンA(IgA)※1が存在しており、唾液IgAが感染症との戦いの最前線で機能していることがわかった。本人が過去に感染した可能性が低いウイルス、例えばエボラウイルスや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に結合するIgAも存在していた。大塚製薬株式会社の研究グループの研究成果であり、腸内細菌学会、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会の3学会合同機関誌である「Bioscience of Microbiota, Food and Health」に論文が受理され、J-STAGEに早期公開された。著者らは、「唾液中のIgAを増やすことは感染予防のために重要であることが示唆される」と述べている。

※1 免疫グロブリンA(IgA):抗体の一つ。抗体にはIgAのほか、IgG、IgM、IgEなどがあり、粘膜ではIgAが主役となって異物の侵入を防ぐ役割をしている。

唾液が新型コロナを防ぐ? 唾液IgAを増やすことで病原性微生物の感染リスク低下の可能性

唾液IgAはウイルスなどの侵入門戸の最前線で戦っている

感染症からからだを守るシステムは、二つの過程に大別される。一つは体内にウイルスや細菌などを侵入させないためのバリア機能を発揮する局所の免疫であり、もう一つはバリアを突破して侵入したウイルスや細菌を排除する全身性の免疫だ。

口腔内や鼻腔内などの粘膜の表面は、皮膚とは異なり破壊されやすいため、ウイルスや細菌の侵入門戸となりやすい。その粘膜で働く粘膜免疫では、分泌型免疫グロブリンA(分泌型IgA)が重要な役割を果たしている。唾液IgAは、加齢や精神的・身体的ストレスによって減少し、それが感染症罹患リスクを高めるという関連が報告されている。また、乳酸菌などの食事性因子で唾液IgAが上昇することも知られている。

IgAは過去に感染したことのあるウイルスや細菌だけでなく、類似した構造領域を持つ抗原にも反応する「交差反応性」がある。ただし唾液IgAの交差反応性はこれまで主としてインフルエンザウイルスを用いて研究が行われてきており、その他のウイルスや細菌などの抗原との結合は不明な点が残されていた。

今回の研究では、微生物タンパク質マイクロアレイ※2を用いて、唾液IgAが結合する抗原の包括的な検討が行われた。

※2 微生物タンパク質マイクロアレイ:分析の対象物を多数固定化し、一斉に解析するための器具または技術の総称。タンパク質の他にDNA、細胞、組織、化合物などのマイクロアレイがある。

唾液中の分泌型IgAを増やすことが感染症リスク低下につながる可能性

検討対象者は、平均年齢50.2±4.6歳で、全員が非喫煙者または禁煙から1年以上経過している12名であり、半数の6名はSARS-CoV-2に対するワクチンを接種済だった。ワクチン接種者は2回目の接種から30日以上経過していることを適格条件とし、6名の平均経過日数は61.2±6.1日だった。

唾液IgAが結合するウイルス

解析の結果、56種類のウイルスが唾液IgAに結合することがわかった。それらの中には、SARS-CoV-2、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、その他のヒトコロナウイルス(HCoV)、インフルエンザウイルス、ロタウイルス、ヒトパピロマウイルス、デングウイルス、ジカウイルス、エボラウイルスなどの病原性ウイルスが含まれていた。

なお、SARS-CoV-2ワクチン接種者と未ワクチン接種者との抗体結合能に有意差はなかった。

唾液IgAが結合する細菌・真菌

唾液IgAに結合する細菌は208種類、真菌は58種類だった。それらの中には、胃粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリや、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌など、食中毒などに関連することのある多くの腸内細菌も含まれていた。

過去に感染したことがない病原性微生物にも結合する

この結果をもとに研究グループでは、「唾液中には、呼吸器・消化器などの粘膜組織に感染する病原性微生物に結合するさまざまなIgAが存在することが明らかになった。その一部は、その人が過去に感染した可能性が低いと考えられる病原性微生物だった」と結論付けている。

研究グループによると、分泌型IgAは免疫グロブリンの他のサブクラスよりも高い交差反応性を示し、そのことが多くの病原体に結合する理由の一つと考えられるとのことだ。そして、「そのような幅広い交差反応性を備えた分泌型IgAは、感染防御の最前線にある粘膜免疫に欠かせず、以前に遭遇した病原体だけでなく、変異株などの新規病原体からの感染に対する保護機能を発揮する。したがって、唾液IgAなどの分泌型IgAを増やすことが、感染を防ぐために重要ではないか」との考察を加えている。

プレスリリース

大塚製薬 唾液IgAが結合する病原性微生物についての論文を発表

文献情報

原題のタイトルは、「Identification of antigens recognized by salivary IgA using microbial protein microarrays」。〔Biosci Microbiota Food Health. Advance online publication〕
原文はこちら(J-STAGE)

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