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植物性食品中心の食習慣がCOVID-19重症化リスクを抑制する可能性が示される

植物性食品を中心とする食習慣の人、あるいはベジタリアンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した際の重症化リスクが低いという関連が、欧米6カ国の医療従事者を対象とするWeb調査から明らかになった。ただし、食習慣とCOVID-19への罹患や罹患時の罹病期間との間には、有意な関連は見つからなかったとのことだ。

植物性食品中心の食習慣がCOVID-19重症化リスクを抑制する可能性が示される

COVID-19医療の最前線のスタッフに絞り込んだ調査

COVID-19のパンデミック以降、健康的な食生活がCOVID-19の罹患や罹患した場合の重症化リスクの低さ、または罹病期間が短いことと関連があるのではないかとの仮説が主張されてきた。ただしこれまでのところ十分には検証されずにいる。今回紹介する論文は、それを医療従事者対象のWeb調査で検証した研究。

調査が行われたのは、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの6カ国。期間は2020年7月17日~9月25日。ヘルスケア領域の市場調査目的に用いられているネットワークを利用し、COVID-19治療の現場で働いている医師と看護師から回答を得た。具体的には、COVID-19の患者から6フィート(約2m)以内で10分以上対面する機会がしばしばあり、患者との対面時間が通常の勤務シフト時間の5%未満の場合は除外した。また、回答者本人のCOVID-19罹患状況が明確でない場合も除外した。

7,344人の回答者のうち4,460人は適格と判断されず、COVID-19患者への曝露頻度が高い2,884人が適格とされた。なお、研究開始時点での目標は、罹患者500人、対照群(非罹患者)2,500人だった。

罹患の判定について

Webアンケートは約100項目から成り、人口統計学的因子のほか、既往歴、ライフスタイル、およびCOVID-19症状に関する情報が収集された。

COVID-19の診断と一致する症状(発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害)を経験した場合、および無症候であってもPCR検査または抗体検査で陽性判定を受けたことがある場合は、COVID-19罹患者とした。その結果、568人が罹患者、2,316人が非罹患者(対照群)と判定された。

なお、PCRまたは抗体検査が陽性の場合のみを罹患者とすると、その数は298人に限定された。ただし本研究では症状の有無を重視し、568人を罹患者とした。

COVID-19罹患時の重症度と罹病期間の判定について

罹患者は(n=568)は、以下の基準に基づく本人の回答から重症度が判定された。無症候性、ほぼ無症候性の場合「極めて軽症」、38℃未満の発熱で治療を受けず、咳や呼吸困難、画像所見の異常がない場合「軽症」、発熱や呼吸器症状、肺炎の画像所見が認められた場合は「中等症」、呼吸困難、呼吸数30回/分以上、安静時低酸素飽和度93%未満のいずれかに該当する場合「重症」、人工呼吸管理を要する呼吸不全、集中治療室への入室、ショック、肺外臓器不全に該当する場合「重篤」。ただし今回の調査で「重篤」に該当した者はいなかった。

この重症度分類に基づいて、対象全体を「極めて軽度/軽度」の430人と、「中等症/重症」の138人に二分し、食習慣との関連を解析した。

罹病期間は症状を有した日数とし、無症候性の場合は零日とした。罹病期間中央値が14日だったため、14日以下と14日超で二分し、食習慣との関連を解析した。

食習慣については11種類から選択回答

COVID-19パンデミックの前の過去1年間に、特定の食事療法を行ったかどうかを質問した。選択肢は以下の11項目を用意した。

すべての食品を摂取するが植物性食品中心の食事、ケトン食、ベジタリアン食、地中海食、ペスカタリアン食(魚類は摂食するベジタリアン食)、パレオ食(旧石器時代食)、低脂肪食、低炭水化物食、高タンパク食、その他。

これらのうち、該当者数が100人以上あった食事パターンを評価対象とし、さらに食事摂取量の点で類似している食事パターンを統合した。その結果、すべての食品を摂取するが植物性食品中心の食事とベジタリアン食をまとめて「植物性食品中心の食生活」とすると、254人が該当した。これにペスカタリアン食を加えると、294人となった。一方、低炭水化物食と高タンパク食をあわせ「低炭水化物/高タンパク食」とすると、483人が該当した。

食事パターンとCOVID-19罹患時の中等症~重症となるリスクに有意な関係

これら3種類の食生活パターンと、COVID-19罹患率、重症化率、罹病期間との関連を検討した。検討に際して、結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・身体活動習慣、居住国、基礎疾患〈糖代謝異常、脂質異常症、高血圧、冠動脈疾患、心不全、癌、呼吸器疾患、喘息、自己免疫疾患など〉、従事している医療領域)は調整した。

その結果、中等症以上への重症化リスクについて、食生活パターンとの有意な関連が認められた。具体的には以下のとおり。

植物性食品中心でリスクが有意に低い

植物性食品中心の食生活(すべての食品を摂取するが植物性食品中心+ベジタリアン)は、そうでない人に対して、COVID-19罹患時に中等症以上に重症化するリスクが72%低かった(OR0.28〈95%CI;0.10~0.82〉)。また、これにペスカタリアン食の人を追加した場合も、59%のリスク低下が観察された(OR0.41〈95%CI;0.16~0.99〉)。

低炭水化物/高タンパク食では高リスク傾向

一方、低炭水化物/高タンパク食の人は、OR1.47(95%CI;0.88~2.47)と非有意ながら、重症化リスクが高い傾向が見受けられた。さらに、植物性食品中心の食生活の人との比較では、OR3.86(95%CI;1.13~13.24)と有意な重症化リスクの上昇が認められた。

罹患者を検査陽性者に限定した解析では、罹患率にも有意差

COVID-19罹患率や罹患時の罹病期間と食生活パターンの間には、有意な関連はなかった。ただし、COVID-19罹患をPCR検査または抗体検査が陽性だった人のみに限定した解析では、植物性食品中心の食生活の人で有意な罹患リスクの低下が認められた。

本研究において、植物性食品中心の食事またはペスカタリアン食事を送っていると回答した人は、野菜、豆類、ナッツの摂取量が多く、家禽や赤肉、加工肉の摂取量が少なかった。これらの結果をもとに著者らは、「高品質で植物性食品が豊富な健康的食事が、COVID-19罹患時の重症化予防のために考慮される」と結論付けている。また、「今後の研究では、栄養素ベースでの検討が望まれる」とも述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Plant-based diets, pescatarian diets and COVID-19 severity: a population-based case–control study in six countries」。〔BMJ Nutr Prev Health. 2021 June 7;bmjnph-2021-000272〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group)

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