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プロサッカー選手の睡眠状況を調査 高パフォーマンスと回復を支える睡眠の質

睡眠の質が低いことが、スポーツパフォーマンスを低下させてしまうことを示唆する新たな研究結果が報告された。ギリシャのプロサッカー選手での検討結果だ。成人選手に比べて未成年の選手は、その影響がより大きく表れるという。

プロサッカー選手でも睡眠の質が悪いとボールへの反応が鈍る

睡眠の質は反応時間にどの程度の影響を及ぼすか?

プロのサッカー選手は一般的に、週に1~2回の試合に参加しながら、国内トーナメントまたは国際試合をこなしていく。このスケジュールのなかでパフォーマンスを維持し、怪我のリスクを下げるには、最適な回復戦略が必要で、睡眠はその戦略の中核に位置する。

睡眠不足により、刺激への反応の正確性や速度が低下することが知られているが、これをスポーツパフォーマンスと関連づけて検討した研究は少ない。本論文の著者らは、床に設置された4つのライトを点灯させ、それを足で踏み消灯させるという実験によって反応速度と正確性を評価し、睡眠の質の影響を検討した。

86人の男性プロサッカー選手が参加

検討の対象は、ギリシャのスーパーリーグで活躍する男性プロサッカー選手。研究への参加は任意で、年齢15歳以上35歳未満であり、トレーニング歴4年以上 (最大心拍数比70%以上の強度のトレーニングを週に600分以上)、過去1年以内に怪我をしていないことを適格条件とした。同国の公式リーグ戦が始まる2カ月以上前に募集された。

86人が研究に参加した。主な特徴は、年齢22.7±6.0歳、トレーニング歴9.3±4.9年、体脂肪率10.1±3.3%、BMI22.8±1.7、VO2max58.1±4.9mL/kg/分、最大心拍数193.9±10.1bpm。

ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh sleep quality index;PSQI)を用いての睡眠の質と体組成等の計測に続き、心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise test;CPET)を施行。CPET終了直後に、反応の速度と正確性を評価するテストを行った。

反応の速度と正確性を評価するテストは、前述のように、床に4つのライトを設置し、ランダムにいずれかを点灯させ、それをできるだけ早く視認し足で踏むことで消灯させるという内容。ライトの間隔は80~150cm。1つのライトの点灯時間は2秒で、30秒間連続でテスト。正しく消灯できたライトの数と、反応時間の平均を評価した。

若年層ほど睡眠の質が低下している

データの解析は、18歳以下の若年者と18歳超の成人とに分けて行った。すると、若年アスリートは成人アスリートに比較し、睡眠の質が低かった。例えば、若年群は「夜中または早朝に目が覚める」というスコアが高かった(1.5±1.1 vs 0.6±0.9,t統計量=3.728)。その他、「トイレのために目覚める」「いびきをかく」「暑すぎる」「悪い夢を見る」などの質問の回答も、若年群で該当者が多かった。

睡眠障害ありとする一般的なカットオフ値であるPSQIスコア 5.5点以上で二分すると(PSQIスコアは高いほど睡眠の質が低いことを表す)、睡眠障害に該当するアスリートは睡眠障害のないアスリートよりも年齢が若かった(19.3±4.0 vs 24.3±6.2歳,t統計量=-3.836)。

睡眠の質が低いと、運動負荷からの回復の遅延、反応時間の延長がみられる

若年群でPSQIスコア5.5以上で睡眠障害に該当するアスリートは、心肺運動負荷試験(CPET)終了直後回復期の最初の1分間での心拍数の低下幅が少なかった (28.2±11.7 vs 35.6±9.9bpm,t統計量=2.867)。さらに、PSQIスコア5.5以上のアスリートは、反応時間の遅延が認められた (0.9±0.1 vs 0.8±0.1秒,t統計量=2.277)。

一方、成人群は、PSQIスコアの高低で、これらの指標に有意差はみられなかった。

若年アスリートでは睡眠の質(PSQIスコア)が低いと反応時間が遅延

続いて、PSQIスコアと、反応テストの反応時間、正確性との相関を検討した。

まず、反応時間と正確性との相関をみると、若年群、成人群ともに、反応時間が短いほど正確性が高いことがわかった(若年群:y=-0.0348x + 1.9653,R2=0.9362,p<0.001.成人群:y=-0.031x + 1.8381,R2=0.8726,p<0.001)。反応時間そのものは、若年群と成人群で有意差はなかった。

次に、PSQIスコアと反応時間の相関をみると、若年群ではPSQIスコアが高く睡眠の質が低いアスリートほど、反応に長くかかっているという有意な関連が認められた(y=5.3768x + 0.1151,R2=0.1663,p=0.046)。成人群ではPSQIスコアが高いほうが反応時間が短い傾向がみられたものの、決定係数は低くかった(y=-2.6294x + 4.1389,R2=0.0126)。

回復とパフォーマンスを支えるために、睡眠衛生が重要

まとめると、睡眠の質の低下は主として若年層で、徹底的な運動後の反応時間の遅延と関連していた。著者らは、「持続的な注意、警戒、運動協調性を必要とする知覚能力は、睡眠不足や睡眠の質の低下によって悪影響を受けることがある。睡眠障害が運動負荷からの回復やスポーツパフォーマンスにマイナスの影響を及ぼすことを防ぐために、年齢にかかわりなく、睡眠衛生の重要性をアスリートに伝えるべきと言える」と述べている。

なお、本研究の限界点として、睡眠障害診断のゴールドスタンダードである睡眠ポリグラフ検査を施行していないこと、クロノタイプ(朝型や夜型か)を評価していないこと、男性の8%に存在する色覚の異常を考慮しておらず、ライトの色を視認しにくいアスリートが含まれていた可能性があることを、著者らは挙げている。

文献情報

原題のタイトルは、「Sleep Quality’s Effect on Vigilance and Perceptual Ability in Adolescent and Adult Athletes」。〔J Sports Med. 2021 Apr 11;2021:5585573〕
原文はこちら(Hindawi)

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