スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

新型コロナウイルスがスポーツや運動習慣に及ぼした影響を全国調査、その結果を公開 笹川スポーツ財団

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による運動・スポーツへの影響を全国規模で調査した結果が報告された。公益財団法人笹川スポーツ財団が10月初旬に行ったもので、6月に行った前回調査と比較すると、ゴルフや水泳などの施設を利用したスポーツの実施率が増加するなどの変化が認められた。

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響を全国規模で調査 笹川スポーツ財団

COVID-19パンデミックの影響による変化を継続的に把握可能な調査

COVID-19パンデミックによって、スポーツ活動の機会が奪われている。また、感染抑止のための「三密回避」のために人々の身体活動量が減少することが危惧されている。こうした環境において、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する同財団はパンデミック以降、国民の身体活動・運動の実施状況やスポーツ観戦等のニーズがどのように変化しているのかを把握するための調査を行っている。今回発表されたのは、その第2回目の調査結果。

調査対象は全国の市区町村に居住する18~79歳の男女5,000人で、地区ごとの人口構成比に近似するように抽出されており、インターネットにより実施された。調査期間は10月1日~6日で、パンデミック第二波の期間が含まれる6~9月の運動・スポーツの実施状況等を質問した。なお、第1回調査は6月に実施され、その際にはパンデミック第一波の期間が含まれる2~5月の運動・スポーツの実施状況等が調べられた。

第3回調査(2021年2月調査)の記事はこちら

ウォーキング等の実施率が低下の一方、施設を利用したスポーツの実施率は上昇

第1回調査では「運動・スポーツを行っていない」が49.9%だったが、第2回調査では55.2%と増加していた(表1)。この背景としては、COVID-19パンデミック拡大の影響が考えられるが、報告書では、その他の要因として梅雨が例年より長かったことや残暑が厳しかったことなどの影響も考えられるとしている。

第2回調査における種目別の実施率は、「ウォーキング」が23.1%で1位、以下、「散歩(ぶらぶら歩き)」12.2%、「筋力トレーニング」9.7%、「ジョギング・ランニング」5.5%、「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」4.0%と続いている。これら上位5種目は第1回調査と同様だが、実施率はいずれも減少しており、とくに2位の「散歩(ぶらぶら歩き)」は大きく低下した。

これらの自宅や自宅周辺で行える種目の実施率が減少する一方で、施設を利用して行う種目の実施率は微増していた。具体的には、「ゴルフ(コース)」は3.0%から3.5%、「ゴルフ(練習場)」は2.7%から 3.2%、「水泳」は1.5%から2.2%、「テニス(硬式テニス)」は1.2%から1.4%などへの増加がみられた。この変化は、パンデミック第一波には休業していた施設が 6 月以降、徐々に再開したためと考えられる。

表1 種目別運動・スポーツ実施率

表1 種目別運動・スポーツ実施率

(出典:笹川スポーツ財団)

運動・スポーツを行う人の実施頻度は回復傾向

運動・スポーツを実施した平均日数を前回調査と比較すると、第2回調査では「週に 5 日以上」21.1%が最も高く、「週に3日以上」19.2%、「週に2日以上」17.7%、「週に 1 日以上」18.4%であり、これらはいずれも第1回調査の回答よりも実施頻度が高い(図1)。その一方で、より低頻度の選択肢である「月に1~3日」は14.7%、「3 カ月に1~2日」は4.9%であり第1回調査よりも低い。

また、COVID-19パンデミック以前に実施されていた調査(対象期間は2019年2月~2020年1月)と比較すると、今回の第2回調査の結果はほぼそれに近似している。このことから、前項で紹介したように運動・スポーツの実施率は低下傾向が続いているものの、運動・スポーツを行う人の実施頻度はパンデミック以前の水準に回復しつつあると言える。

図1 運動・スポーツ実施頻度

図1 運動・スポーツ実施頻度

(出典:笹川スポーツ財団)

女性のほうが感染に気を付けながら運動・スポーツを実践

運動・スポーツを実施する際に気を付けていることは、「三密の条件が揃う場所で運動・スポーツを実施しないようにする」が48.0%で最も多く、「人と人との間隔を意識して運動・スポーツを実施する」39.5%、「マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する」35.4%と続いた(図2)。

「気を付けることはない」を除くすべての項目において、男性より女性の割合が高く、女性のほうが感染に気を付けながら運動・スポーツを実施していることがわかる。

図2 運動・スポーツをする際に気を付けていること

図2 運動・スポーツをする際に気を付けていること

(出典:笹川スポーツ財団)

運動・スポーツを行わない理由、8人に1人は「COVID-19の不安」

運動・スポーツを行わなかった人のその理由の上位項目は、「運動・スポーツが嫌いだから」18.3%が最も高く、男性(12.7%)と女性(22.3%)の割合には約10ポイントの差があり、女性のほうが運動・スポーツ嫌いを理由に実施しない人が多い(図3)。一方で「仕事や家事が忙しいから」は全体13.5%、男性16.2%、女性11.6%と男性のほうが4.6 ポイント高い。

「COVID-19への感染が不安だから」は、男性で4位、女性では3位にランクされた。男女合計では12.8%と約8人に1人が選択した。

図3 運動・スポーツを行わなかった最も大きな理由

図3 運動・スポーツを行わなかった最も大きな理由

(出典:笹川スポーツ財団)

第3回調査は2月に実施予定

調査報告書には上記のほかに、性別および年齢層別の運動・スポーツ実施率、COVID-19の影響で変化した運動・スポーツ環境、スポーツの種目別観戦率、スタジアムや競技場の感染対策への評価、パンデミックによる生活や余暇活動の変化などが詳細に記されている。

調査結果について、同財団スポーツ政策研究所の鈴木貴大氏は、「スポーツ環境が戻る過程で人々の意識にも変化がみられ、ゴルフや水泳など施設を利用して行う種目の実施率増加が確認された。一方、全体の実施率は6月に行った前回調査からは減少し、ウォーキングや散歩など比較的気軽に取り組める種目の実施率減が影響していると推察できる。実施率減少の要因など本調査では明らかにできなかった点を含め、2021年2月実施予定の次回調査の結果から新型コロナウイルスと人々のスポーツライフの関係について考察したい」と述べている。

本調査が実施された10月以降、第三波が押し寄せ、感染者数は第二波の数倍に上っている。緊急事態宣言も再度発出された。第3回調査では、これらの影響がどのように現れるかも注視される。

関連情報

新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査(2020年10月調査)「新しい生活様式」が浸透していくなかでスポーツ活動も変化-笹川スポーツ財団
「2020年10月調査」調査報告書(PDF)-笹川スポーツ財団

第3回調査(2021年2月調査)の記事はこちら

この記事のURLとタイトルをコピーする

新型コロナウイルスに関する記事

栄養・食生活

アスリート・指導者・部活動・スポーツ関係者

運動・エクササイズ

もっと見る

志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ