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飲み会での新型コロナ感染事例の研究結果 国立感染研が客と店員向けに提言

2020年11月21日

例年であれば、そろそろ忘年会を企画する時期。今年は大規模、長時間の忘年会は難しいかもしれないが、それでも12月ともなれば、飲み会の機会は増えるだろう。

飲み会での新型コロナ感染事例の研究結果 国立感染研が客と店員向けに提言

こうしたなか、国立感染症研究所から、飲み会の席で集団発生(いわゆるクラスター発生)を防ぐための提言が公開された。同研究所では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター発生事例の調査を進めており、すでに本コーナーでも飲み会以外の会食事の事例調査結果を紹介している。今回の提言は、飲み会でのクラスター事例の調査結果に基づくもので、詳細は同研究所のサイトに公開された。

なお、飲酒とともにカラオケも行われた事例については、別途報告をまとめることを予定しており、今回の報告には含まれていない。

関連記事:
会食時に新型コロナに感染した事例の研究結果「斜め向かい着座などがリスクを下げる可能性」国立感染症研究所

6件中、客から店員への伝播は2例

報告された事例は以下の6件。なお、この調査報告では詳細を述べるよりもまず、これを解釈する際の注意点を掲げているため、本稿でもそれを先に記す。

解釈上の注意点
  • 当該店舗の利用が単一の感染機会か、確定できていない事例が存在する。
  • 主に感染者自身からの聞き取りの結果に基づいており、本人の記憶に依存している。
  • 床面積、換気状況、店内BGMの有無や大小、衛生管理等の店舗内環境や当日の座席位置、人数、会話の頻度、友人関係、マスク着用状況、酒量など、利用の詳細な情報が得られていない事例が存在する。

事例A:客から同グループの客への伝播

発生状況
同じテーブルで発症者に近い4名が感染。一方、対角線上の距離が離れた席の客には感染しなかった。飲み会開催時に、参加者の1名は既に咳症状を呈していた。
推定感染原因
十分な距離を保てない状況での飛沫感染。

事例B:客から同グループの客への伝播

発生状況
店内に窓がなく、換気不良の個室内で、同席した10名程度が全員感染。
推定感染原因
換気不良と、人が密な状態での飲食。

事例C:客から同グループの客および別グループの客への伝播

発生状況
合計15名程度になる複数のグループが飲食。客のうち1名は、座席移動して別グループの客とも一緒に会食。アクリル板が設置されていたが、その効果の実感は薄かった。アクリル板は、客席のテーブル両端に設置されており、高さは30㎝程度。
推定感染原因
座席移動を伴う大人数の飲み会。十分な距離を保てない状況での飛沫感染。

事例D:客から店員および別グループの客への伝播

発生状況
感染者を含む複数名の客と、よく会話をしていた店員1名(マスクは着用)が感染。調理担当の店員は感染しなかった。出入口2カ所を開放し、扇風機を使用して換気を実施していた。
推定感染原因
十分な距離を保てない状況での飛沫感染。

事例E:客から同グループの客への伝播

発生状況
換気不良の個室内の事例。隣席の客と肩がぶつかるほどの距離で、密な状況。マスクを着用していなかった、発症者を除く5名が感染。発症者は席移動も行っていた。
推定感染原因
換気不良。人が密な空間での飲食。発症者の席移動。

事例F:客から同グループの客、別グループの客、店員への伝播

発生状況
店内で10名以上のグループが飲み物を回し飲みし、計7名が感染。客と同じテーブル等に着席し、長時間、客(マスク着用なし)と密接な関わりをした店員(マスク着用状況は不明)が感染。
推定感染原因
飲用容器の共用(回し飲み)。

これらの事例からの考察

これらの調査結果から、以下のような対策が考えられるという。

まず、いわゆる飲み会では客-客間の伝播が多く、十分な距離を保てない状況下での飛沫による伝播、店内の換気不良および人が密な空間での飲食等によって感染したとみられる事例を認めた。

客も店員も全員がマスク着用を

一方、客から従業員への伝播事例は2例のみで、これらの事例はいずれも客と会話を多くしていたり、客と同じテーブル等に着席し、長時間滞在・飲酒をする等、密接な関わりをしており、その他の事例では従業員のCOVID-19の感染はみられなかった。よって、通常の飲み会時において、店員が一般的な咳エチケット(マスク着用等)や適切な手指衛生を行うことによって、客から従業員へ感染する可能性を下げることが推察されるという。

ただし、ケースDでは当該従業員はマスクを着用していたものの、感染者との近距離で会話等を実施したことにより感染した可能性が考えられることから、一方のみのマスクの着用だけでは完全に感染を防ぐことができないことも示唆される。

飲食とは異なる、飲み会ならではの注意点

飲み会での事例として特徴的なこととして、別グループの客-客間の伝播と思われる事例が3例認められた。これら3例では、参加人数が多く人が密集しやすい環境で、席移動が頻繁であり、飲み物の回し飲みなどが行われていた。

アクリル板は機能するように設置する

ケースCでは日本フードサービス協会、全国生活衛生同業組合中央会作成の「外食業の事業継続のためのガイドライン」に従い、テーブル上でアクリル板の設置を行っていた。しかし、高さが十分でなく、テーブルの両端に設置されていたため、対面や隣席同士に座った客からの飛沫を防止する効果は少なかったことが示唆された。

またケースDは、小規模店舗で換気が不良になりやすい条件のため、出入口2カ所を開放し、扇風機を設置し換気を実施していたが、近距離間の会話によって感染伝播した可能性が考えられた。客-客間に十分な距離が保てない小規模の店舗等の場合には、とくに注意を要するものと考えられる。

調査結果からの提言

本報告では、これらの考察のうえで、結論として以下の提言を示している。

「飲酒そのものが感染リスクを上げるわけではないが、飲み会は参加者の多く、時間が長くなりやすいため、接触機会が増加する。一般的な感染対策であるマスク着用、手指衛生、店員の健康管理、身体的距離の確保、店内のこまめな換気の実施等に加え、客側と店員側、両方の立場に対して次のとおり提言することとしたい」。

客への提言

客-客間での感染伝播が主であることから、体調不良者、または少しでも異変を感じる場合はイベントや宴会に参加しない。自らが感染源になるリスクを極力おさえるため、日頃から感染機会(3密)を避け、正しいマスク着用、手指衛生を心掛ける。回し飲み(容器の共用)を行わない。店員や別グループへの不要な接触を避ける。

店員への提言

客同士が密集しないような店内レイアウト・座席配置の工夫(とくに宴会・イベント時)。席移動の制限。

関連情報

いわゆる「飲み会」における集団感染事例について(国立感染症研究所)

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