農水省、新型コロナ対策で日本の牛乳を救う「プラスワンプロジェクト」緊急スタート
COVID-19感染拡大の抑止のため全国に緊急事態宣言が発出された影響で、学校給食や外食産業に利用される牛乳や乳製品の消費の一層の減少が懸念されている。その対策の一環として農林水産省は4月21日、酪農家を支えるため牛乳やヨーグルトを普段より1本多く消費することを促す「プラスワンプロジェクト」を開始した。
乳牛は春先が出産シーズンで、その後1~2カ月が牛乳生産のピーク。このためちょうど今が1年の中で最も生産量が多く、緊急事態宣言による消費の減少のダメージが一層大きくなる。農水省は、6月までの生産のピーク期間に、なんとか消費を刺激したい考え。
メッセージ動画「日本の牛乳を救うプラスワンプロジェクト」
国内の牛乳・乳製品の需給状況
新型コロナウイルス感染症が拡大し、休校による学校給食向け牛乳のキャンセルや商業施設の休業などによる消費減少に対して、生産者団体と乳業メーカーはこれまで、生乳をバターやチーズといった乳製品へと加工することによって、行き場を失う生乳が出ないようにしてきた。しかし、7都府県を対象とする4月7日の緊急事態宣言に伴う休業要請を境に、カフェやレストラン、百貨店などの業務用の需要が大きく落ち込んでいる。さらに、4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国へ広げられた。
今後、生乳生産は6月のピークに向けてさらに増加していく。乳業メーカーの乳製品の製造能力を超え、行き場を失った生乳を廃棄せざるを得ない状況に陥る恐れがある。農水省は6月までの生乳生産のピークを乗り切ることができれば、生乳の廃棄の危機を回避することができるとしている。
熱中症による救急搬送人員数と初診時死亡数の年別推移(6月〜9月)
農水省からの呼びかけ。「消費者の皆さんへのお願い」
生乳生産では、乳牛の病気を防ぐため毎日搾乳し続ける必要がある。工場で生産される産物と違って、生乳の生産量は短期的なコントロールがきかない。このため、生乳の廃棄といった食品ロスを生じる事態や乳牛を減らすことなく、この難局を乗り切るために、買い物の際に牛乳やヨーグルトを普段より1本、とくに育ち盛りの人がいるなら、さらにもう1パック多く購入してもらうことが酪農家の応援につながるとし、同省は「ぜひ、皆様方の御協力をお願いいたします」と呼びかけている。
影響を受ける酪農家、乳業者に対する支援
このほか同省は、新型コロナウイルス感染症で学校給食用牛乳の供給停止への対応として、影響を受ける酪農家、乳業者に対する支援を行っている。
生乳の仕向け変更に対する対策
脱脂粉乳の在庫対策
プレスリリース
日本の牛乳を救う「プラスワンプロジェクト」緊急スタート!(農林水産省)