新型コロナウイルス感染症で外出自粛中の運動・エクササイズ WHOガイダンス
世界保健機関(World Health Organization;WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防のために自宅待機している人向けに、身体活動量を保つためのガイダンス「Stay physically active during self-quarantine」を公表した。
COVID-19症例の発生が続いているため、多くの健康な個人が自宅待機することを強いられている。一部の国ではフィットネスセンターや、ふだん個人が運動しているその他の場所が一時的に閉鎖されたままになっている。長期間家にいることは、身体活動量を保つ上で大きな支障をもたらす可能性がある。座位時間が長く低レベルの身体活動は、個人の健康、幸福、生活の質に悪影響を及ぼす可能性がある。自宅待機はストレスを増大させ、メンタルヘルスに影響するかもしれない。身体活動とリラクゼーションは、この間、市民の健康を維持するのに役立つ貴重な手段となり得る。
WHOは1週間あたり150分間の中等強度の運動または75分間の強強度の身体活動、あるいはその両方を推奨している。これらの推奨事項は、特別な機器がなくスペースが限られた自宅でも実行可能だ。以下は、自宅待機中にアクティブな状態を保ち、座位中心になりがちな行動を減らす方法のアドバイス集。
なお、このガイダンスに関する注意事項として、WHOのサイトには「これは急性呼吸器疾患の症状や診断を受けていない自主的な待機者を対象とするもの。いかなる健康状態の場合でも、医療ガイダンスにとってかわるものではない」と記されている。
WHOではCOVID-19自宅待機中の食品・栄養に関するガイダンスも作成し公表している。本稿で紹介した身体活動のガイダンスとともに一対をなすコンテンツと言える。
家庭での身体活動を維持するヒント
日中は短時間のアクティブな活動を積み重ねる
短時間の集中的な身体活動は、週単位で行う推奨事項である。それに対して日単位で毎日行う身体活動として、例えばダンスをしたり、子どもと遊んだり、掃除や園芸などの家事をしたりすることも、自宅で身体活動を維持するための手段になる。
オンラインツールを活用する
エクササイズプログラムへの参加が推奨される。オンライン上に豊富なエクササイズプログラムがあり、それらを活用可能だ。それらの多くは無料でありYouTubeで見つけることができる。もし、それらが提供している身体活動を、まだあなたが行った経験がなく、初めての場合は自分の限界に注意を。
歩く
狭いスペースでも、歩き回ったり、その場で足踏みすることで身体活動を続けることがでる。例えば電話をしている時も、座って会話するのではなく、話している間、家の中を立ったり歩いたりするとよい。ただし、外に出て歩いたり運動したりする場合は、必ず他の人から1メートル以上離れる※。
立ち上がる
できるだけ立ち上がることによって、座位時間を減らす。理想的には、座位でいる時間とリクライニング時間を30分ごとに中断することを目指すことだ。立ったまま作業を続けるために、高いテーブルを使用するか、本などを積み重ねてスタンディングデスクを設置することを考えてみるとよい。もし余暇時間を座位ですごすのであれば、読書、ボードゲーム、パズルなどの認知刺激的活動を優先することを考慮する。
リラックス
瞑想と深呼吸は、落ち着きを保つのに役立つ。インスピレーションを得るために、リラクゼーションテクニックのいくつかの例を以下に示す(サイト上では「座り瞑想」「足を壁に」などの方法が後述されている)。
身体活動と同様に適切な栄養摂取も大切
上記の解説に続き、WHOのサイト上には「家庭でのエクササイズの例」として、自宅待機中の身体活動をサポートするためのエクササイズ法が12例、写真付きで解説されている。
なお、健康の維持には、健康的な食事と水分補給を忘れないことが重要だ。WHOは、砂糖入り飲料の代わりに水を飲むことを推奨している。成人の場合はアルコール飲料を制限し、未成年、妊娠中や授乳中の女性、またはその他の健康上の理由がある場合は、アルコールを厳格に避けなければならない。多くの果物と野菜を摂取する一方で、塩、砂糖、脂肪の摂取は制限する。精製された食品よりも全粒穀物を摂取する。
文献情報
原題のタイトルは、「Stay physically active during self-quarantine」。
原文:Stay physically active during self-quarantine (WHO)