スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 予防措置を講じた上で定期的な身体活動の維持が大切

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続いている。2月26日には政府からイベント自粛要請が出され、安倍首相の「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要である」との国民向けメッセージも発表された。国際オリンピック委員会(IOC)では東京オリンピックの延期も視野に検討することが報道されている。

新型コロナ(COVID-19)感染症 予防措置を講じた上で定期的な身体活動の維持が大切

こうした中、個人レベルでのCOVID-19への対応について、身体活動の面から考察した見解が「Journal of Sport and Health Science」に掲載された。筆頭著者は上海大学の研究者で、共著者には米国のアリゾナ州立大学栄養学部、ウィラメット大学運動・健康科学科、南デンマーク大学スポーツ学科などのメンバーが名を連ねている。

以下にその要旨をまとめる。なお、患者数などの情報は論文に書かれている数値をそのまま記載しており、最新のものではない。

COVID-19は世界の健康問題となり、パニックや市民の懸念を引き起こしている。1月30日、世界保健機関(WHO)は、新しいコロナウイルス(2019-nCoV)の発生が国際的な公衆衛生上の緊急事態であると宣言した。

COVID-19はすでに武漢市の1,000万人以上の人々に直接的な影響を及ぼし、中国の他の地域にも感染が拡大しており、世界的に未知の脅威となっている。2020年2月8日時点でWHOは3万4,886のCOVID-19確定症例を報告し、うち3万4,589例が中国国内での発生だ。また日本、オーストラリア、ドイツ、米国を含む24カ国で、288の確定症例が報告されている。これらの数値は毎日追加されていくと予想される。COVID-19発生に対し多くの国の政府が迅速かつ感染防御措置を講じた。中国では都市の封鎖、旅行警告・禁止、祝日延長、学校閉鎖なども行っている。

現在、COVID-19の予防・治療ワクチンはない。感染のメカニズム、潜伏期間、リスク評価、治療介入などに関して、ほとんど答えられていない。また医療スタッフの大幅な不足、治療施設の不足、保護用フェイスマスクの不足が報告されている。

COVID-19の拡大が続いているため、保健当局は国民に対し、ウイルスへの暴露を防ぐ基本的な手段として、移動を減らし家にいるよう勧めている。定期的な身体活動や運動を含む野外活動への参加を抑制する指示は、人々の日常的な活動を必然的に混乱させる。

できるだけ早くウイルスを封じ込めることが公衆衛生上の緊急課題だ。しかしそのような状況で、日常の運動や身体活動を維持するために人々ができること、すべきことに関する公衆衛生ガイドラインはほとんど存在しない。家に居続けることはウイルスの伝播を防ぐために恐らく有効な手段ではあるが、そのような努力が身体活動の減少につながる可能性があるため、意図しない負の結果をもたらすことも考えられる。在宅期間の長期化は、座っている、横たわる、または横たわってスクリーニング活動(ゲームをする、テレビを見る、モバイル機器を使用する)に過度の時間を費やすなど、不活発な行動の増加につながるだろう。

空気中の2019-nCoVを回避しながら身体活動量を維持するためには、さまざまな安全で簡単に実装可能な自宅での運動が適している。例として、必要に応じて家の中を歩いたり、食料品を持ち上げたり運んだり、足を交互に前に突き出したり、階段を上ったり、椅子を使い座る/立つという動作を繰り変えしたり、あるいは腹筋運動や腕立て伏せも該当する。さらに、機器を必要としない伝統的な太極拳、気功、ヨガなどはスペースもほとんど必要とせず、いつでも実践できるため考慮に値する。これらは、この重要な期間に身体機能および精神的健康を維持するため実行可能な方法である。

COVID-19危機の存在下で人々の動きを制限する公的な措置は、身体活動を制限する必要があることや、あらゆる形態の運動を完全に排除する必要があることを意味するものではない。運動は、健康な人とさまざまな疾患の患者にとって明確な健康上の利点があることが示されている。毎日少なくとも30分間の中程度の身体活動および/または1日おきに少なくとも20分間の激しい身体活動を行うことを推奨する。

COVID-19が拡大している以上、感染対策と安全対策は不可欠だ。人々が自宅にとどまることは、感染症が広範囲に広がるのを制御する上で基本的な安全対策である。しかし長期の在宅は、不活発につながる行動を増加させ、不安や抑うつにつながる可能性があり、その結果、さまざまな慢性的な健康不良をもたらすことが知られている。安全な家庭環境で身体活動を維持することが、COVID-19危機における健康な生活のための重要な戦略である。

文献情報

原題のタイトルは、「Coronavirus disease (COVID-19): The need to maintain regular physical activity while taking precautions」。〔J Sport Health Sci. 2020 Mar;9(2):103-104〕

原文はこちら(Elsevier)

この記事のURLとタイトルをコピーする

新型コロナウイルスに関する記事

栄養・食生活

アスリート・指導者・部活動・スポーツ関係者

運動・エクササイズ

もっと見る

志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養WEB編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ