コロナ禍の今、栄養士・管理栄養士がすべきこと・できることとは? Webセミナーリポートを「あじこらぼ」で公開
去る3月27日、味の素(株)主催の栄養士・管理栄養士対象Webセミナーが開催された。テーマは「おいしく健康な明日のために~これからの栄養士・管理栄養士に求められること~」。
演者には日本の医療への NST(Nutrition Support Team)の導入を推進するなど、栄養士の職域を大きく広げられた宮澤靖氏と、うま味を活用しておいしく減塩・喫食率向上などの栄養課題解決に取り組まれている巴美樹氏の2名。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という医療者が一団となって解決すべき喫緊の課題における栄養士の役割、そしてこれからの栄養の理想像を探るという内容。
味の素株式会社の栄養士・管理栄養士向け情報サイト「あじこらぼ」では、それら講演の要旨をまとめた記事と、講演後のQ&Aコーナーで取り上げられた話題が番外編として公開された。ここではそれらの一部を紹介する。
第1部の講演2題
講演1「いま改めて考える、食の大切さと栄養士にできること~コロナ禍の現場でみえてきた栄養管理の未来」

講演2「うま味の力! 喫食率UPでQOL改善」

第2部 トークセッション
2題の講演に続き行われたトークセッションでは、事前に募集された質問へ2名の演者が回答するとともに、やはり事前に行われた栄養士・管理栄養士対象アンケートの回答に対してお二人が感想や論評を加えた。また、講演中にチャット経由で寄せられた質問に対しても、演者のお二人が回答した。以下はその抜粋。
――食事療法に無関心な患者、意識が高くない患者へ行動変容を促す方法は?
宮澤氏 本人ができないことを指示しないこと。家庭の食文化を大切にし、一方的な情報伝達にならないことに注意している。
――減塩食では残食が増える。喫食率を高める工夫は?
巴氏 減塩食であるために喫食率が下がっているのであれば、減塩をある程度解除しても良いのではないか。医師とコミュニケーションをとり、薬を加減してたうえで、必要とされる食事量をとっていただくことが大切。
――プロテイン飲料を利用して固形物を食べない人が増えている。食事量の不足や消化機能の低下のリスクはないか?
巴氏 九州女子大学のスポーツ栄養研究所で行った研究では、ベースの食事がきちんとしていなければプロテイン飲料を飲んでも飲まなくてもほとんど変わらない。プロテインだけ摂っていてはビタミンやミネラルが不足するので、食事をしっかり摂ったうえで必要と思われるのであれば、プロテインを摂取するのが良いだろう。
宮澤氏 固形物を摂らないといったことは、若いうちには直ちに問題になることはないかもしれないが、高齢になった時に必ずダメージが現れるだろう。そういった習慣を是正していただくことも我々の役目。
以上はWebセミナーのほんの一部の内容だ。ぜひ以下のリンク先の詳しい情報にアクセスしてほしい。
栄養士さん・管理栄養士さん向け情報サイト「あじこらぼ」
味の素グループ「Ajicollab. -あじこらぼ-」は、栄養士さんや管理栄養士さんの学びをサポートし、双方向の情報コミュニケーションの場を提供します。
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