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スポーツ栄養学を学ぶ学生が水分補給計画の作成を理解するための実習方法

スポーツ栄養学を学ぶ学生に対して、水分補給計画の作成方法を指導するための実験的教育方法を提案する論文が、米国生理学会発行の「Advances in Physiology Education」に掲載された。著者によると、この実習は学生にとって非常にインパクトのある体験となるという。

スポーツ栄養学を学ぶ学生が水分補給計画の作成を理解するための実習方法

適切な水分補給戦略がほとんど教育されていない

スポーツパフォーマンスの低下を防ぐことは、アスリートとともに働くというキャリアを目指している学生にとって極めて重要な事項。スポーツパフォーマンス低下の一因として、運動誘発性の脱水症が該当する。2%を超える水分喪失によりパフォーマンスが低下することから、トレーニング中、および競技中の体重が2%以上減らないことを目指した水分補給戦略が求められる。

トレーニング中や競技中の水分補給と並び、もう一つの重要な脱水予防戦略は、トレーニングや競技後に適切な水分を摂取することだ。一般に、失われた体重の125~150%に相当する水分を摂取することが推奨される。

しかし、本論文の著者によると、「アスリートの大半はスポーツに伴う体液喪失とその補正方法を教えられていない」という。学生アスリートに、「スポーツを行っている際、どの程度の水分をとっているか?」と質問すると、「1回に数口」といったあいまいな回答が多いとのことだ。

著者らは、学生アスリートのこのような反応は、脱水症を予防し活動後の水分補給を理解するために必要な体系的で個別化された水分補給計画が立てられていないことを意味すると述べている。そのうえで、スポーツ栄養学のクラスに参加している学生に対し、以下のような実験的な教育方法を立案し実施した。

二つの実験的指導法で水分喪失と給水量を体感

この実験的教育方法は、二つのパートで構成されている。いずれも学生自身の実体験を伴うもの。一つは運動に伴い、どの程度の水分喪失が生じるのかを理解するパートで、もう一つは口腔内に一度に含むことができる液体の量を知る、つまり「水分ひと口」の量を理解するパートだ。

運動による水分喪失を理解する

まず、運動に伴いどの程度の水分喪失が生じるのかを理解するパートでは、学生自身が40分間のトレッドミル運動を行い、体重減少を測定した。トレッドミルによる負荷は、自覚的運動強度(rating of perceived exertion;RPE)が11~13の中強度と、RPE15超の高強度の2パターンとした。どちらの強度かは、学生本人は選択できないこととした。

このトレッドミル運動を行う当日は、起床・排尿後に体重を測定し、トレーニング開始前の尿色が適切(淡黄色)となるように水分摂取が指示された。40分間の運動セッション中の水分摂取または排尿は禁止した。

運動前後に体重を0.1kg単位で測定。運動後の測定に際しては、汗を吸っている着衣をすべて新しいもの(運動前の測定時に着用していたものと同じタイプ)に着替え、また皮膚に付着している汗はできるだけ乾燥させ、正確な計量を指示した。

これにより、運動による水分喪失の程度を体感してもらった。

「水分ひと口」の量を理解する

口腔内に一度に含むことができる液体の量を理解するパートでは、学生各自がストローの蓋が付いたスポーツボトルを持参。口腔内の唾を繰り返し飲み込むか、繰り返し吐き出すことによってできるだけ唾液を減らした状態で、ひと口分の水分を摂取し、それをメスシリンダーに吐き出して計量した。

唾液に伴う泡のために目盛の正確な読み取りは困難だが、側面から見て泡の部分は無視し、液体表面の目盛を読み取って記録。これを3回繰り返し、ひと口あたりの水分摂取量を理解してもらった。

データ解析

この二つの実験の後、すべての学生のデータ(性別、RPE、運動前の体重、運動後の体重)をスプレッドシートに入力。中強度運動と高強度運動それぞれの体重変化を計算し、相違を比較検討。また、体重の2%に相当する水分を喪失した学生の割合や、平均的なひと口での摂取量を計算。

これらの結果をもとにして、学生各自が、実験の目的、方法、結果、考察、結論および参照した情報を含むレポートをまとめた。

水分喪失を補正するのに、水を何口飲む必要があるか?

この実験的講義の主目的は、「スポーツ栄養学を学ぶ学生では、中強度または高強度のトレッドミル運動を40分間行った後、適切な水分補給をするために、何口の水分を飲む必要があるか」という質問に答えることだった。この質問に答えるには、0.1kgの体重の減少が100mLの水分の喪失に等しいと仮定して、40分間の中強度または高強度運動で失われた水分の量(平均±SD)を決定。体重1キログラム減に対して1.25~1.5Lの補給のために、1口あたり平均摂取量で除すという計算法となる。

この試算を終えた学生はほぼすべて、必要とされる水分を飲むために、何回のどを鳴らすことになるかという答に驚きを表すという。

著者は、この実験的講義を「脱水症状を理解するために運動中の体重減少を測定することと、必要な水分摂取量を理解するためにひと口の水分量を測定することの組み合わせは、スポーツ栄養学の学生にとって非常に効果的な体験だった」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「How much water is in a mouthful, and how many mouthfuls should I drink? A laboratory exercise to help students understand developing a hydration plan」。〔Adv Physiol Educ. 2021 Sep 1;45(3):589-593〕
原文はこちら(American Physiological Society)

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