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ビタミン、オメガ3脂肪酸等のサプリで女性のCOVID-19リスク低下の可能性 3カ国45万人の調査

一部のサプリメントを摂取している女性では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクが有意に低いことが報告された。英国、米国、スウェーデンの一般住民、約45万人を対象とする調査で明らかになった。

マルチビタミン、オメガ3脂肪酸等のサプリでCOVID-19リスク低下の可能性 3カ国45万人の調査

欧州と米国で普及している「COVID-19 Symptom Study」アプリを利用

この研究では、まず、「COVID-19 Symptom Study」というスマートフォンアプリケーションベースのデータを用いて英国で解析が行われ(解析対象者数37万2,720人)、次にその結果の再現性を、米国(同4万5,757人)およびスウェーデン(2万7,373人)のアプリユーザーのデータで検証するという手法で行われた。

「COVID-19 Symptom Study」アプリは、英国やスウェーデンの大学、医療機関から提供された情報を基に開発されたアプリケーションで、英語、スペイン語、スウェーデン語版が配布されている。18歳以上ならだれでも登録可能で、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(新型コロナウイルス.SARS-CoV-2)感染に関連する自己申告情報を登録できる。登録時には、居住地域、年齢、主要な健康リスク因子を記録し、その後は症状の変化、医療機関の受診、SARS-CoV-2検査の結果、および受診した場合は受療医療の内容、隔離状況にあるか、ヘルスケアを必要としている状況かなどを毎日記録していく。明らかな症状のない人にもこのアプリを使用することが奨励されている。

研究参加者には、逆転写PCR(reverse transcription PCR)または血清学的検査によるCOVID-19の検査を受けたか否かと、その判定結果を確認し解析を行った。

英国のデータの解析結果:約半数がサプリ使用

英国のデータ解析対象者37万2,720人は、66.8%が女性で、BMIは26.8±5.6であり、過半数が肥満だった。このうち、COVID-19パンデミック以降、「定期的にサプリメントを使用している」と自己申告したのは、17万5,652人(47%)であり、この割合は英国の一般的な人口のサプリ利用率と一致している。

マルチビタミンで-13%、ビタミンDで-9%などのリスク低下が示される

マルチビタミンを摂取している人は、SARS-CoV-2検査が陽性となるリスクが13%、有意に低いことが明らかになった(OR0.87,95%CI;0.84~0.90)。また、ビタミンD摂取者は9%(OR0.91,95%CI;0.88~0.94)、プロバイオティクスで14%(OR0.86,95%CI;0.81~0.92)、オメガ3脂肪酸で12%(OR0.88,95%CI;0.84~0.92)、それぞれ有意にリスクが低かった。

年齢、性別、BMI、登録時の健康状態、民族、併存疾患(2型糖尿病、癌、喘息、心疾患、湿疹、花粉症、腎疾患、肺疾患)、喫煙、剥奪指数、および医療従事者または介護者か否かという因子で調整後も、前記のサプリ摂取との関連はすべて有意なままだった。一方、亜鉛、ビタミンC、ニンニクのサプリは、有意な関連がなかった。

なお、食事の質とサプリメントの摂取量には正の相関があり(r=0.07,p<0.0001)、推奨に近い食生活を送っている人ほどサプリメントを摂取している可能性が高いことがわかった。ただし、食事の質を調整しても結果は変わらず、サプリ使用者のSARS-CoV-2感染リスクが低いという関連は、食事の質の影響から独立していることが示唆された。

性別、年齢層別、BMI別の解析では、男性の一部でリスク上昇

次に、性別、年齢層、BMIのカテゴリー別に層別解析を行った。

その結果、プロバイオティクス、オメガ3脂肪酸、マルチビタミン、ビタミンDを利用している女性は、年齢層、BMIカテゴリーにかかわらず、感染リスクが低いことが明らかになった(60歳以上でのプロバイオティクスのみ非有意)。

その一方で男性については、サプリによる保護作用はほとんど認められなかった。ただし、40歳未満の群、および適正体重群でマルチビタミンを摂取している男性が低リスクであり、40~60歳でオメガ3脂肪酸を摂取している男性も、感染リスクが低かった。

また男性では、サプリ利用が感染リスクが高いことと関連しているカテゴリーも一部存在した。例えば60歳以上群ではビタミンCと亜鉛のサプリ利用が感染リスクの高さと有意に関連しており、過体重(BMI25~30。日本では肥満に該当)の群ではビタミンCサプリの利用が感染リスクの高さと有意に関連していた。

米国とスウェーデンのコホートでの再現性の確認

英国のコホートから得られた結果について、米国(4万5,757人)とスウェーデン(2万7,373人)のアプリユーザーのデータを用いて再現性を確認した。なお、米国コホートは女性67.8%、BMI27.3±5.9、スウェーデンのコホートは女性68.6%、BMI26±4.7。

その結果、女性については、米国でプロバイオティクス、スウェーデンでオメガ3脂肪酸が、感染リストの関連が非有意となり、英国コホートと異なっていた。男性については、米国でプロバイオティクスとビタミンDが、スウェーデンにおいてはプロバイオティクス、オメガ3脂肪酸、マルチビタミン、ビタミンDの摂取がいずれも、感染リスクが低いことと有意に関連し、英国と異なっていた。

3カ国の男性・女性、全年齢層での解析では、プロバイオティクス、オメガ3脂肪酸、マルチビタミン、ビタミンDのサプリの摂取と、SARS-CoV-2感染リスクが低いことが有意に関連していた。

著者らは、「パンデミック下でのサプリメントへの社会的な関心の強さを考慮すると、サプリメントによる保護効果と起こりうる副作用を検証する大規模なランダム化比較試験が必要」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Modest effects of dietary supplements during the COVID-19 pandemic: insights from 445 850 users of the COVID-19 Symptom Study app」。〔BMJ Nutr Prev Health. April 19, 2021〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group)

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