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日光曝露またはサプリ等によるビタミンD摂取は、新型コロナウイルスの重症化を予防するか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するビタミンDの有効性を指摘する報告が増えているが、ビタミンDの感染症リスク抑制作用はCOVID-19パンデミック以前から研究されていた。それらの研究や、ごく最近の未査読論文も対象としてレビューし得られた知見をまとめた論文を紹介する。

日光曝露またはサプリ等によるビタミンD摂取は、新型コロナウイルスの重症化を予防するか?

COVID-19によるARDSとビタミンD

COVID-19関連死の原因として最も重要な病態は、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)である。ビタミンD欠乏とARDSリスクとの間には有意な相関が確認されており、COVID-19患者のARDSをビタミンDにより抑制可能であれば、COVID-19の重症化リスクと死亡率を低下させ得る。

ビタミンDは、体外からの摂取という外因性経路のほかに、皮膚への紫外線照射により内因的にも合成されるセコステロイド。ビタミンDレベルの低下は、肥満、糖尿病、心血管疾患、自己免疫性肝疾患などの多くの疾患リスクと関連することが報告されている。

本レビューは、Google Scholar、PubMed、Scopus、Web of Scienceという従来からある文献データベース、および、未査読論文のデータベースであるMedrevixを使用して行われた。なお、科学的エビデンスは通常、査読システムのあるジャーナルに発表された論文から構築されていくが、研究のスピードが重視される場合は未査読論文であっても重要な情報源として参照すべきとしてCOVID-19パンデミックという現状況下では、Medrevixなどの新規データベースが注目されている。

検索対象は過去20年間に報告された論文とし、キーワードとして、「ビタミンDとヒトの健康」、「ビタミンDとCOVID-19」、「ビタミンDと急性気道感染症(acute respiratory tract infection (ARTI)/ARDS」などを用いた。ヒットした論文を基に、「COVID-19の症状」「ビタミンD研究」「ARTI/ARDSにおけるビタミンDの影響」「ビタミンDレベルの地理・民族・年齢による違い」「ビタミンDとCOVID-19」「感染管理におけるビタミンDの役割」「十分なレベルのビタミンDを得る方法」という10項目について述べられている。これらの中から要旨をまとめて紹介する。

現在のビタミンD値のカットオフ値は、感染症リスクとの関連が考慮されていない

COVID-19で急性肺損傷 (acute lung injury;ALI) やARDSが生じるメカニズムは、まだ完全に解明されたわけではない。ARDS発症後は管理が困難であり、発症前の予防または早期介入が重要とされる。この点においてビタミンDは、COVID-19パンデミック発生以前から既に、多くの知見が得られている。ARDS、重症肺炎、敗血症、炎症反応の亢進/CRP高値などのいずれともビタミンDレベルは逆相関することが知られている。実際に 免疫細胞の多くにビタミンD受容体が存在し、またマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞はビタミンD(25ヒドロキシビタミンD)の影響を受ける可能性がある。

一方、現在のところ血清ビタミンDレベルのカットオフ値は、20ng/mL未満を欠乏、20~30ng/mLは不足、30ng/mL超を十分なレベルとすることが多いが、この値はカルシウムの恒常性と骨代謝という点で議論されてきた結果、得られたコンセンサスである。つまり、ビタミンDのもつ免疫調節能は考慮されていない。ビタミンDが免疫能を左右することを示すエビデンスが次々に報告されている今日、ビタミンDレベルのカットオフ値の再検討が必要と言えよう。

ビタミンDレベルと地理的背景、感染症リスクの季節性・日照時間

COVID-19パンデミック以前より、気道感染症は季節的な周期をもって流行し、毎年、数百万人の死者を発生させている(2010年は280万人)。これら気道感染症の多くは冬季に流行する。これは日照時間が少ないことによるビタミンDレベルの低下が免疫能を低下させるという仮説を支持する現象として取り上げられることが多い。

COVID-19に目を向けると、パンデミック第一波は欧州や米国に比較し、アジアやアフリカではパンデミック拡大速度が緩やかだった。これは、一般に感染症の伝播が人口密度と相関することと相違している。欧州と米国の高緯度地域に居住する住民の40%がビタミンDが不足していることが、これを説明するのかもしれない。

中国の武漢、イラン、トルコ、イタリア、英国、フランス、スペイン、米国など、初期にパンデミックが生じた地域は、ほぼ同様の気候条件、より具体的には同緯度であることに注目したい。この緯度レベルに該当する地域では、住民の血清ビタミンDレベルが類似している可能性がある。ただし、緯度によるCOVID-19パンデミックの状況の差異は、人口密度の影響によって徐々に消失へと向かうと予測される。

欧州の中でも北欧諸国の国民は地中海岸の国民に比較し、ビタミンDレベルが高いようだ。その理由は、脂肪分の多い魚介類の摂取、サプリメント、栄養強化食品の摂取量が多いためとする見解もある。

確かなエビデンスの確立を待つべきか?

COVID-19を含む呼吸器感染症患者の多くが、ビタミンD不足状態にあるとする報告もみられる。ビタミンD不足に対して日光への暴露はビタミンDレベルを高める有効な手段であるが、高い紫外線曝露レベルと皮膚癌のリスクが相関することに注意が必要だ。

身体が必要とするビタミンDの50~90%を日光曝露により確保し、残りは経口摂取により確保すると良いという主張もみられる。ビタミンDレベルを高める戦略として、以下の三つが考えられる。

ビタミンDレベルを高める戦略

  1. 皮膚を日光に当てる。
  2. 卵黄、タラ肝油、マグロ、サバ、ニシン、イワシ、サケ、キノコなどのビタミンDが豊富な食品、およびビタミンDを強化した乳製品・ジュース等を摂取する。
  3. ビタミンDサプリメントを定期的に服用する(健康上のリスクがある場合は、医学的管理下での摂取を推奨)。

ビタミンDが感染症抑止に有用であることを示唆する報告は近年、急速に増加している。そうではあるが、COVID-19を含む感染症の予防や治療にビタミンDレベルの向上を医学的に推奨するには、適切にデザインされたプラセボ対照無作為化比較試験によるエビデンスが求められる。

ただし、現在、連日何万人もの人々がCOVID-19を含むウイルスに屈している状況において、確固たるエビデンスの確立を気長に待ち続けることも許されない。

文献情報

原題のタイトルは、「Can Optimum Solar Radiation Exposure or Supplemented Vitamin D Intake Reduce the Severity of COVID-19 Symptoms?」。〔Int J Environ Res Public Health. 2021 Jan 16;18(2):740〕
原文はこちら(MDPI)

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