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新型コロナウイルスが未成年アスリートに与えた精神・身体・QOLへの影響 米国で1万3,000人を調査

全米の未成年アスリート1万3,000人以上を対象として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに伴う学校閉鎖やスポーツ活動中止による精神状態や身体活動、QOL(Quality of Life.生活の質)への影響を調査した結果が報告された。男性より女性、個人競技より団体競技、および貧困率が高い地域に居住する未成年アスリートで、パンデミックの影響がより強く表れているという。

新型コロナウイルスの精神・身体・QOLへの影響 米国の未成年アスリート1万3,000人を調査

学校閉鎖により未成年アスリートはどのような影響を受けたのか

この調査は、2020年5月に、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアを通じて実施された。回答したのは、米国の未成年アスリート(学年のグレード9~12、13~19歳)。

調査項目は、メンタルヘルス、身体活動、健康関連QOLに関連する69項目。このうちメンタルヘルスの評価には、全般性不安障害尺度(General Anxiety Disorder 7-Item;GAD-7)と患者健康質問票(Patient Health Questionnaire 9-Item;PHQ-9)を、身体活動の評価には機能的活動スケール(Hospital for Special Surgery Pediatric Functional Activity Brief Scale;PFABS)を、健康関連QOLの評価にはPediatric Quality of Life Inventory 4.0(PedsQL)を用いた。

回答者の背景

回答は全米46州から寄せられ、計1万3,002人。年齢は16.3±1.2歳、女性52.9%、男性47.0%。大半(1万1,334人、87.2%)は公立学校の生徒だった。15.1%が貧困地区に居住していた。

行っているスポーツ競技の種目数は、4,064人(33.6%)は1種目で、他は2種目以上の競技に参加していた。個人競技では陸上(4,386人、33.5%)が最も多く、団体競技ではバスケットボール(3,593人、27.6%)が多かった。

性・学年・競技種目・貧困との関連を検討

ここから論文では調査回答を属性別に比較した結果をまとめているが、それを紹介する前に全体の傾向を述べておく。

まず、メンタルヘルスのGAD-7は0~21点で評価され、点数が高いほど不安の程度が強いことを表す。本調査の平均は7.6点(95%CI:7.3~7.9)だった。31.5%は不安なしと評価され、31.8%が軽度の不安、20.1%が中等度の不安があり、重度の不安があると評価された生徒は16.6%だった。

またPHQ-9は0~27点で評価され、点数が高いほどうつの程度が強いことを表す。本調査の平均は8.7点(8.4~9.0)だった。29.6%はうつ症状なしと評価され、30.9%が軽度のうつ、20.0%が中等度のうつがあり、重度のうつ症状があると評価された生徒は5.9%だった。

身体活動のPFABSは0~30点で評価され、点数が高いほど身体活動量が多いことを表す。本調査の平均は12.1点(11.7~12.5)だった。

健康関連QOLのPedsQLは0~100点で評価され、点数が高いほど健康関連QOLが高いことを表す。本調査では、身体面の平均が80.3(79.5~81.0)、精神面の平均が74.8(74.0~75.6)で、総合評価の平均が76.7(76.0~77.5)だった。

では、論文の記述に従い、属性別に比較した結果を紹介する。

性別の比較:女性は不安やうつレベルが高く、身体活動量が少ない

GAD-7(不安)

女性のGAD-7スコアは平均8.5(8.3~8.8)、男性は6.3(6.0~6.6)であり、女性は男性よりも不安レベルが高かった。不安レベルが中等度以上の割合は、男性が25.4%であるのに対して女性では42.3%に上った。

PHQ-9(うつ)

同様に、女性のPHQ-9スコアは平均9.7(9.4~10.0)、男性は7.3(7.0~7.7)であり、女性は男性よりもうつレベルが高かった。うつ症状が認められる割合は女性が75.7%、男性が59.7%であり、中等度以上のうつ症状は女性の43.7%、男性の28.2%に認められた。

PFABS(身体活動)

女性のPFABSスコアは平均11.0(10.6~11.4)、男性は13.7(13.3~14.1)であり、女性は男性よりも身体活動量が少なかった。

PedsQL(健康関連QOL)

PedsQL総合評価スコアは、女性が平均74.6(73.8~75.4)、男性は79.8(79.0~80.6)だった。

学年での比較:高学年で不安やうつ、健康関連QOLが高く、低学年は低い

グレード12(最高齢学年)の生徒はグレード9~11の生徒と比較し、GAD-7スコア(不安)が強く、中等度以上の不安がある割合が高かった。同様に、グレード12の生徒はPHQ-9スコア(うつ)が高く、中等度以上のうつ症状がある割合が高かった。

反対にグレード9(最若齢学年)の生徒はGAD7スコアとPHQ-9スコアが最も低く、また中等度以上の不安やうつ症状のある割合が最も低かった。

PFABSスコア(身体活動)はグレード11の生徒が最も低く、グレード9の生徒が最も高かった。PedsQLスコア(健康関連QOL)は、グレード9の生徒が最も高く、グレード12の生徒が最も低かった。

個人競技と団体競技の比較:団体競技の参加者のほうが不安やうつが強い

過去12カ月間に生徒が参加していた競技によって、全体を以下の3タイプに分類して比較した。個人競技(ボウリング、クロスカントリー、ダイビング、ゴルフ、体操、水泳、テニス、陸上、レスリング)の参加生徒2,252人、団体競技(野球、バスケットボール、スポーツチア、フィールドホッケー、サッカー、ラクロス、アイスホッケー、ラグビー、ソフトボール、バレーボール)の参加生徒6,257人、個人競技と団体競技の双方への参加生徒4,493人。

団体競技の参加生徒はGAD-7スコア(不安)が最も高く、中等度から重度の不安のある割合が最も高かった。反対に個人競技の参加生徒は、GAD7スコアが最も低く、中等度から重度の不安のある割合が最も低かった。また、団体競技の参加生徒はPHQ-9スコア(うつ)が最も高く、中等度から重度のうつ病のある割合が高かった。

PFABSスコア(身体活動)に関しては、個人競技と団体競技の双方に参加していた生徒が最も高く、団体競技に参加していた生徒は最も低かった。

PedsQLスコア(健康関連QOL)に関しては、個人競技に参加していた生徒、および個人競技と団体競技の双方に参加していた生徒はほぼ同等に高く、団体競技に参加していた生徒は低かった。

貧困との関連:貧困率の高い地域の生徒は不安やうつレベルが高い

生徒が居住している地域の貧困率をもとに、全体を三分位に分類して比較した。第1三分位群の貧困率は2.5~10.0%で該当する生徒は4,296人、第2三分位群は同10.9~17.7%で4,442人、第3三分位群は17.7~44.5%で4,264人。

第3三分位群の生徒はGAD-7スコア(不安)とPHQ-9スコア(うつ)が最も高く、中等度以上の不安およびうつのある割合が最も高かった。第1三分位群と第2三分位群の生徒のGAD-7スコアとPHQ-9スコアは、ほぼ同等だった。

このような傾向はPFABSスコア(身体活動)とPedsQLスコア(健康関連QOL)に関しても同様であり、第3三分位群の生徒はPFABSスコアとPedsQLスコアが最も低く、第1三分位群と第2三分位群の生徒のPFABSスコアとPedsQLスコアは、ほぼ同等だった。

未成年アスリートの属性に応じた配慮が必要

以上の結果から著者らは、「COVID-19パンデミックに伴う学校閉鎖とスポーツ活動中止による未成年アスリートへのメンタルヘルス、身体活動、および健康関連QOLへの影響は、性別、学年、参加している競技のタイプ、および貧困のレベルによって異なる。COVID-19のパンデミック抑制のための政策を進めるに際し、これらの違いを考慮する必要がある」とまとめている。

また、「COVID-19によるこれらの影響が、スポーツや運動の機会を確保することで改善される可能性があるかどうかを評価する必要がある」とも記している。

文献情報

原題のタイトルは、「Mental Health, Physical Activity, and Quality of Life of US Adolescent Athletes During COVID-19-Related School Closures and Sport Cancellations: A Study of 13 000 Athletes」。〔J Athl Train. 2020 Dec 8〕
原文はこちら(National Athletic Trainers' Association)

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