新型コロナウイルスによる休校・休園・外出自粛が、子どもの生活と外遊びに及ぼす影響
4月7日に東京とその近県、大阪、兵庫、福岡に、16日には全都道府県に新型コロナウイルス感染症(COVIT-19)の感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された。現在、全国的に、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請されており、成人はテレワーク、子どもたちは通園・通学をせず、外で遊ぶこともままならず家庭内で過ごす時間が増えている。このような状況は子どもにストレスとなるであろうと考えられるが、具体的にどのような影響が及んでいるのかはまだ明確になっていない。
一方、全国に先駆け2月28日に緊急事態宣言が出された北海道では、その社会的な影響に関する研究も一歩進んでいる。4月10日には、北海道大学大学院農学研究院と、こども環境学会・こども環境研究会北海道の有志による「新型コロナウィルスによる子どもの生活と遊び状況を調査」の結果が公表された。
この調査はWebを通じて行われ、3月19日~4月1日に集まった回答を集計した結果が、中間報告として公表された。回答者は923人(道内838人、道外85人)。
外出自粛で屋内での遊び、家族との会話が増え、友達との交流は減少
休校・休園や外出自粛中のお子さんの過ごし方の変化についてうかがいます。以下の時間は変わりましたか?
8割以上の保護者が「子どもには外遊びが必要」と回答
休校・休園や外出自粛中であっても、お子さんには外遊びが必要だと思いますか?
屋外で安心して遊ばせる場所、学習方法、外出に関する情報が不足
休校・休園や外出自粛中、お子さんの過ごし方について、どのような情報が欲しいと思いますか?
屋外での遊びについて、困っていること、悩んでいること
- 手洗いうがいするだけで本当によいのかと不安
- ついてあげられない時は外遊びができない
- 友達がいないので長時間外で遊んでいられない
- 人数が多いと気になり外へ行かせられない
- 公園などで遊ばせてもいいのかわからない
- 外に連れ出した時の周囲の視線が気になる
考 察
以上の結果から、緊急事態宣言下で子どもたちが自宅で過ごす時間が増えたことに伴い、テレビやビデオ、インターネット、ゲームの時間が増え、外での遊びや友達と会う機会は減少し、体力や健康の維持、精神的健康への影響も少なくなく、多くの保護者は近所の公園や散歩、自宅の庭などへの外出や遊びを戸惑いながら行っている状況が明らかになった。本調査を行った研究者らは、「外出する際の留意事項、近所で安心して遊べる公園はどこにあるかなど、保護者への適切な情報提供や各家庭での工夫を明らかにすることは、今後の休園・休校、外出自粛が続く地域や災害発生時などに向け有用な知見となる」としている。
なお、休校・休園が全国規模に広がり継続していることから、本調査は期間を当初予定より延長して実施されており、引き続き回答の協力を呼び掛けている。
プレスリリース
新型コロナウィルスによる子どもの生活と遊び状況を調査(北海道大学、PDF)