スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

新型コロナウイルスのパンデミック中でも安全に運動する方法 米国心臓協会が提言

昨年末に中国・武漢から始まった新型コロナウイルス「SARS-CoV2」による感染症「COVID-19」は、パンデミック(感染爆発、世界的流行)となり世界各地の医療はもとより経済にも深刻な影響を及ぼしている。東京オリンピック・パラリンピックの延期も決まった。政府や自治体の外出自粛要請(国や地域によっては外出禁止)が出され、ふだんどおりにスポーツや運動を続けることは、世界中で困難となっている。

こうした中、世界の循環器疾患領域に強い影響力をもつ米国心臓協会(American heart association;AHA)が3月17日、このような状況においても安全性を確保しながら運動を継続することの重要性を訴える記事をWeb掲載した。以下はその要約。

新型コロナウイルス発生時の安全なトレーニング法

新型コロナウイルスのパンデミック中でも安全に運動する方法 米国心臓協会が提言

コロナウイルスの蔓延を防ぐという目的のため、人々は家にいるように勧められている。人々が集うべき場所・施設もそれが許されなくなり、その場所の制限リストが増加するにつれて、スポーツジム通いをしていた人も継続不可能になりつつある。しかしそれは、人々がフィットネスを完全にあきらめなければいけないことを意味するものではない。

仮にエクササイズができそうな場所を見つけた人も、そこがウイルス感染のリスクがない場所なのかどうかを知りたいと思うだろう。自分を守るための対策は自分で講じなければならない。

まず最初に理解しておくことは、高齢者や心臓病、糖尿病、肺疾患のある人は、コロナウイルスによる深刻な合併症のリスクが高まるという点だ。疾病対策センター(centers for disease control and prevention;CDC)は、これらが該当する人々は他の人との距離を保ち、可能な限り家にいる必要があると述べている。COVID-19パンデミックを起こしているコロナウイルスは、潜在的には致命的となる可能性もある呼吸器疾患である。CDCは、COVID-19の感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスが密接に接触している人々の間を飛散すると考えている。

CDCは、「あらゆる規模のイベントは、脆弱な集団を守る手段をとり、手指衛生や人と人の距離を守るというガイドラインを遵守し実行できる場合にのみ、継続すべき」と述べ、イベント主催者に対しては、可能であればイベントを仮想的手段に変更するように提案している。また公衆衛生当局は、10名以上の集まりを避けるように勧告している。一部の州では、スポーツジム、カフェ、レストランを閉鎖するよう求めている。他の地域では既に一部のスポーツジムが一時的に閉鎖されている。

オハイオ州インディペンデンスにあるケント州立大学のMark Dalman氏は、スポーツジムのウイルス・細菌汚染の可能性を研究している。同氏は16のフィットネスセンターで黄色ブドウ球菌の存在を調査し、テストした表面の38%以上でそれを発見した。

もちろん細菌は、SARS-CoV2のようなウイルスと同じではない。しかしウイルスもまたスポーツジムの機器に潜んでいる可能性を否定できない。同氏によると「ウイルスは食べ物や日光を必要としないので、細菌より長く活性を持続することができる」という。同氏の研究では、スポーツジムで最も汚染が少ないのは、バスルームのレバーとドアハンドルであり、一方「木材、革、多くの手袋、そのような多孔質のものはウイルス粒子が付着している可能性がかなり高い」という。また、「懸念の1​​つは、自分の目、顔、口に触れることだ」としている。

ノースカロライナ大学ウィルミントン校のSteven Zinder氏は、「スポーツジムに行くにあたり、他の誰かの保護を頼りにすべきではない」と話す。全米アスレチックトレーナー協会のガイダンスの執筆協力者でもある同氏は、「使用前にマシンを拭くことができない理由はない。また、自分のタオル、自分の水筒、自分のヨガマットをスポーツジムに持ち込むことができない理由はない」と語っている。そして、運動直後に石鹸を用いてシャワーを十分に浴び、清潔な服を、運動器具とは別のバッグに入れておくことで、細菌の繁殖を防ぐことができるとしている。

多くのスポーツジムは、クリーニング作業を強化することでコロナウイルスに対応してきた。CDCも「適切に処理されたプールが危険なはずはない」と述べている。しかしそれでも多くの市民がスポーツジムの中を再び見られるようになるまでに数週間かかるかもしれない。

「スポーツジムに行けないからといって、運動をやめるべきではない」とZinder氏は言う。「自宅で運動する方法を見つけるのは簡単なこと。また屋外での運動も、推奨されている他人との距離を保っている限り、散歩、ジョギング、サイクリングが可能だ」としている。

そして、「自宅でワークアウトする際の唯一の制限要因は、創造性だ」と同氏は力説する。「さらに最近は、創造的である必要さえない。インターネットに接続するだけだ。そこからダウンロードできるビデオやプログラムがたくさんある」。

もちろん、オンラインのプログラムを介さずとも、運動したり家の中で活動的に過ごす方法もある。アトランタ地域の運動生理学者で健康コーチであるSteve Collett氏は、トレーナーとの人間関係があるのであれば、連絡を取り合うことを提案している。

「トレーナーがあなたのそばに行くことができない場合でも、少なくとも彼らは電話またはテキストベースの連絡で、運動やトレーニングが必要な人々の存在を認識できる。我々トレーナーには、我々を必要としている人々を、困難な状況下でも引き続きサポートしていく責任がある」。

過去にフィットネススタジオを経営していたことのあるCollett氏は、屋外や駐車場の所有者と協力して、現在の環境に適応し始めている。彼のクライアントのほとんどすべてが、彼ら自身のルーチントレーニングを続けている。同氏はそれが最善のことだと思っている。

変わっていないことが1つある。同氏は30年のキャリアを通し、基本的な力、十分な栄養、十分な睡眠、定期的な運動の重要性を説き、免疫システムを強化する必要性を強調している。「強い免疫機能を持っている人は、これらの原則に従わない人よりも、あらゆるタイプの病気やウイルスを撃退する可能性がはるかに高い」。

文献情報

原題のタイトルは、「Working out while staying safe during the coronavirus outbreak」。

原文はこちら(American Heart Association)

この記事のURLとタイトルをコピーする

新型コロナウイルスに関する記事

栄養・食生活

アスリート・指導者・部活動・スポーツ関係者

運動・エクササイズ

もっと見る

志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ