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ウルトラマラソン走行中の食品・水分摂取量をリアルタイム評価 計画どおりに摂取されない理由を検討

2019年にフランスで開催された、24時間走世界選手権大会の参加アスリートを対象に、レース走行中に摂取した食品と水分をリアルタイムで把握し、それらがレース前に計画されていたプログラムどおりに摂取された否かを検討するという研究が行われた。また、プログラムどおりに摂取されなかった場合は、その理由の探索も実施されている。要旨を紹介する。

ウルトラマラソン走行中の食品・水分摂取量をリアルタイム評価 事前の計画から逸脱する理由を検討

24時間ウルトラマラソン参加者が摂取するものをリアルタイムで把握

走行距離が42.195km超のウルトラマラソンでは、レース中の水分とエネルギー摂取が成績を左右する一つの鍵となる。一方で、長時間ランニングによる消化管への機械的ストレスにより、十分なエネルギー摂取が困難になるという課題がある。これまでの観察研究からは全体的な傾向として、レース中の摂取量はレース前に想定された摂取量より少ないことが多く、完走者より非完走者(途中棄権者)のほうが摂取量は少なく、成績の良いランナーよりそうでないランナーのほうが摂取量が少ない。

ただ、レース中のアスリートの水分やエネルギー源の摂取に関するこれまでの研究の多くは、レース後にレースを通じて摂取された総量を評価しており、長時間に及ぶレースのどの段階で摂取量が減る傾向があるのかという詳細な検討はなされていない。これに対して本論文の研究者らは、選手が摂取したものをリアルタイムで把握し、レース前の計画からの逸脱の程度を把握した。

研究の手法と研究参加者の特徴

この調査は、2019年10月26~27日にかけてフランスで開催された24時間ウルトラマラソン世界選手権で実施された。ロードが全体の75%、トラックが25%を占める1.491kmの周回コースを、24時間でできるだけ多く走るというレースで、片道のルートであることの多い一般的なウルトラマラソンとはやや異なるスタイル。ルート沿いには各国のチームテントが設置され、その前を通過する際に飲食物を手にすることができた。気温は10~25℃の範囲で、降雨や風のない穏やかな環境だった。

研究参加者は、フランス代表チームの12人(男性・女性が各6人)で、年齢46±7歳、身長170±9cm、体重61.1±9.6kg、体脂肪率13.5±6.5%。各選手はレース参加前に、どのタイミング(何ラップ目)で何を口にしたいかをスタッフに伝えた。12人中4人はオリジナルの飲食物を要求した。

レース中には、各選手が事前に示した計画にそって飲食物がテントに配置されるとともに、計画にないラップでも必要に応じて手にとれるように、何らかの飲食物が用意された。よって選手は事前計画を立てたものの、レース中にはそれにとらわれず、ほぼ1.5kmごとに、自由に飲食物を選択することができた。

自覚症状の評価

選手はレース前に、彼らが来し得る症状のリスト(関節や筋肉の痛みと、消化器症状〈嚥下困難、げっぷ、酸逆流、胸やけ、吐き気、嘔吐、腹痛、膨満感、排便衝動、下痢、便秘〉など)を示され、レース中にリアルタイムで記録された。その記録はレース後に、選手本人と研究者とでクロスチェックされた。

また、100mmのビジュアルアナログスケールにより、以下の質問の回答を得た。「自分のスポーツ栄養に関する知識のレベルはどれくらいか?」、「栄養プログラムはパフォーマンスに影響を与えるか?」、「プログラムに則して摂取できたか」。このほか、「どの時点でプログラムのフォローをやめたか?」、「プログラムのフォローをやめた理由は?」といった質問も行った。

消化器症状などのために事前計画どおりの摂取は困難

最後の6時間に走行速度低下に伴い摂取量が減少

24時間を6時間ごと4つに区分し比較すると、最後の6時間に、水分・食物ともに摂取量が減少していた。例えば水は16時間目までに比べて16時間以降は有意に少なく(p=0.024)、水以外の液体も含めた総水分摂取量(p=0.022)、炭水化物(p=0.009)、および摂取エネルギー量(p=0.042)のすべてが、16時間以降に有意に減少していた。

ただし、選手がチームテントの前を通過した回数で補正をすると、この有意差は消失した。つまり、摂取量の減少は、選手の走行スピードが後半に落ちて、水分や食物のアイテムを手にする機会が減った結果であるとの解釈が可能と考えられた。

2段構えの用意が必要

また選手は、ラップを重ねるごとに、事前の摂取プログラムから乖離し、用意されたものを手にしなくなった。しかし、計画外のものを摂取することによって補われ、レース中の総摂取量は事前プログラムと一致していた。

アンケートから把握された、事前プログラムと実際の摂取状況との乖離の理由は、「消化器症状」と回答したアスリートが64%であり、最も大きな理由として挙げられた。そのほかには、計画されていたアイテムの魅力の欠如、および、計画されていなかったアイテムの魅力が、それぞれ27%だった。

著者らは、「24時間ウルトラマラソンでは、アスリートが事前に計画した摂取計画をフォローできないことを予期したうえで、計画されたとおりの食品と水分に加え、その他の食品と水分も用意するという2段構えの多様性が必要」との結論を述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Fluctuations in food and fluid intake during a 24-h World Championship: analysis of the deviation from nutritional programs」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2022 Mar 30;19(1):92-109〕
原文はこちら(Informa UK)

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