新型コロナ発生以降、経済的理由で生理用品を購入できない女性は8%、20代以下は13% 厚生労働省が初の調査
経済的な理由のために生理用品の入手に苦労した経験がある女性の割合が、8.1%に上ることがわかった。厚生労働省が行った調査の結果であり、生理用品の購入に支障を来した経験のある女性は、メンタルヘルスの評価指標が低いこともわかった。また、年齢層別では、20代以下の若年層で、入手に苦労している割合が高いという。新型コロナのパンデミックの経済的な影響が、女性により大きく表れていると言われるなかで実施された、同省初の調査。
この調査は、令和4年2月3~6日にインターネットを用いて実施された。回答者は、国内の18~49歳の女性で、過去1年以内に生理があった人、3,000人。全国を8ブロックに分け、人口・年齢構成に応じて割り付けられている。
若年世代と収入が限られている人で、入手困難の経験者が多い
まず、「新型コロナウイルス感染症発生後(2020年2月頃以降)から現在までの間に生理用品の購入・入手に苦労したこと」について、回答者全体では、「一度もない」が多く71.5%だが、「よくある」「ときどきある」の合計も8.1%を占めた。年齢層別では、20代以下でその割合が高く、13%近くを占めていた。
図1 【年代別】新型コロナウイルス感染症発生後から現在までに生理用品の購入・入手に苦労したこと
そして、世帯収入が低い人で、生理用品の入手困難の経験ありの人が多いこともわかった。
図2 【世帯収入別】新型コロナウイルス感染症発生後から現在までに生理用品の購入・入手に苦労したこと
他の方法の代用などのために、かぶれ、かゆみを来す女性も
生理用品の購入・入手に苦労したことが「よくある」「ときどきある」と回答した8.1%(244人)に、そのようなときの対処方法を尋ねたところ、「生理用品を交換する頻度や回数を減らす(長時間利用する等)」については50.0%の回答者が「ある」と回答した。また、「トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用する」が43.0%、「タオルやガーゼ等の布で代用する」が24.6%だった。
これらの3つの選択肢を「経験がある」と回答した151人に対して、生理用品を購入・入手できないときに経験したことのある症状を質問。すると、「かぶれ」や「かゆみ」などを来したことのある女性が少なくないことが明らかになった。
図3 生理用品を購入・入手できないときに経験した症状
生理用品の入手困難を経験したことのある女性は、うつ・不安リスクが高い可能性
うつ病・不安障害などのスクリーニングに用いる尺度である「K6」※1スコアとの関連を検討したところ、生理用品の入手困難の経験ありの女性は、K6スコアが高い(うつや不安のリスクが高い)ことが明らかになった。
※1 K6:K6はうつ病・不安障害などの精神疾患をスクリーニングすることを目的に、Kesslerら(2003)によって開発された尺度。日本語版はFurukawaら(2008)。「神経過敏に感じましたか」「絶望的だと感じましたか」「そわそわ、落ち着かなく感じましたか」「気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか」「何をするのも骨折りだと感じましたか」「自分は価値のない人間だと感じましたか」の6つの設問について、過去30日間の状況を5段階〔まったくない(0点)、少しだけ(1点)、ときどき(2点)、たいてい(3点)、いつも(4点)〕で点数化し、合計得点が高いほど精神的な不調が深刻な可能性があるとされている。
具体的には、全体の平均が6.9点であるのに対して、生理用品の購入・入手に苦労したことが「よくある」「ときどきある」と回答した人は13.1点であり、一方、「あまりない」「一度もない」と回答した人は6.4点だった。
図4 生理用品を購入・入手に苦労した経験の有無別の精神的な健康状態
生理用品の入手困難による外出控えも
生理用品の購入・入手に苦労したことがあると回答した244人に、社会生活への影響を尋ねたところ、「プライベートのイベント、遊びの予定をあきらめる」といった影響が生じている人も少なくないことがわかった。
図5 新型コロナ発生後(2020年2月ごろ以降)に、生理用品を購入・入手できないことが理由で経験したこと
調査の詳細
「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」の結果(厚生労働省)
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