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食事・栄養面からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 WHO
世界保健機関(World Health Organization;WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する栄養面からの予防戦略をまとめた「COVID-19アウトブレイク中の成人への栄養アドバイス(Nutrition advice for adults during the COVID-19 outbreak)」を公表した。
まず冒頭で、感染症のリスクを下げるために免疫系を整えるために、バランスのとれた食事の重要性を解説。「ビタミンやミネラル、食物繊維、タンパク質、抗酸化物質をとり入れるために、毎日多くの新鮮な未加工食品を食べるべき」とし、また、十分な水を飲むという基本戦略を掲げた上で、より詳細な推奨事項を示している。一部、国内の現状と食い違う情報もあるが、以下に紹介する。
毎日、新鮮で加工されていない食品を食べる
- 果物、野菜、豆類、ナッツ類、全粒穀物、および肉、魚、卵、牛乳などの動物性食品を摂取する。
- 軽食には、砂糖、脂肪、塩分の多いものではなく、生野菜と新鮮な果物を選ぶ。
- 野菜や果物には手を加えすぎない(重要なビタミンが失われてしまうことがあるため)。
- 缶詰や乾燥野菜、ドライフルーツは、塩や砂糖が添加されていないタイプを選ぶ。
毎日、十分な水を飲む
- 水は生命にとって不可欠。血液中の栄養素や諸成分を運搬し、体温を調整し、老廃物の除去などにかかわり、関節のクッション機能にも関与する。
- 毎日8~10カップの水を飲むようにする。
- 摂取するのは水が最適だが、レモンジュース(水で希釈した無糖タイプ)、紅茶、コーヒーなどの飲み物、または果物や野菜をジュースとして飲むのも良い。ただし、過剰にカフェインを摂取しないよう注意する。また、甘味料で加工されたフルーツジュース、シロップ、濃縮果汁、炭酸飲料など、砂糖を含んでいる飲み物も避けること。
脂肪分は適量を摂取する
- 飽和脂肪ではなく、不飽和脂肪を摂取する。飽和脂肪は、脂肪の多い肉、バター、パーム油、ココナッツオイル、クリーム、チーズ、ギー、ラードなどに含まれる。不飽和脂肪は、魚、アボカド、ナッツ、オリーブオイル、大豆、ヒマワリ油、コーンオイルなどに含まれている。
- 赤身の肉ではなく、低脂肪の白身の肉(例えば家禽)と魚を選ぶ。
- 加工肉は脂肪や塩分が多いため避ける。
- 牛乳や乳製品については、なるべく低脂肪タイプを選択する。
- 工業的に生産されたトランス脂肪を避ける。トランス脂肪は、加工食品、ファーストフード、菓子、フライ、冷凍ピザ、パイ、クッキー、マーガリン、スプレッド(パンなどに塗るもの)などに多い。
塩や砂糖を控えめにする
- 料理の際、塩および高ナトリウム調味料(例えば醤油、魚醤)を使いすぎない。
- 1日の塩分摂取量を5g(小さじ約1杯)未満として、ヨード添加塩(注1)を使用する。
- 塩分と砂糖が多い食品(菓子など)は避ける。
- ソフトドリンクやソーダ、およびその他の砂糖を多く含んでいる飲料(フルーツジュース、濃縮果汁、シロップ、フレーバーミルク、ヨーグルトドリンクなど)の摂取を制限する。
- 間食をとるなら、クッキー、ケーキ、チョコレートなどの甘いもののかわりに、新鮮な果物を選択する。
外食を避ける
- 家で食事をすることで、他人と接触する確率を抑制でき、COVID-19に曝される可能性が低下する。咳やくしゃみをしている人の間には1メートル以上(注2)の距離を保つべきだが、レストランやカフェのような混雑した環境では、それが可能とは限らない。
- 感染している人からの飛沫は、店舗スタッフや他の来店客の手、ものの表面に付着する可能性がある。多くの人々が行き来している混雑した環境においては、そこにいる人々の手やものの表面が十分に洗浄・消毒されているとは限らない。
カウンセリングと心理社会的サポート
- 適切な栄養と水分補給は健康と免疫力を向上させる。しかしそれらは完璧な効果を発揮する「魔法の方法」ではない。COVID-19の感染が疑われたり、感染が確認された人の中で慢性疾患のある人は、メンタルヘルスや食事療法の支援が必要になる場合がある。ヘルスケアの専門家や、身近にいるカウンセラー、あるいは信頼のおける人に、心理的・社会的なサポートを求めることも大切。
文献情報
Nutrition advice for adults during the COVID-19 outbreak(WHO)
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