文科省・学校保健統計(1)身長―5歳から17歳の平均身長、親世代との比較
文部科学省は3月23日、令和元年度(2019年度)「学校保健統計」の結果を公表した。裸眼視力1.0未満の生徒が小・中・高校で過去最多となり、また耳疾患と判定された生徒は高校で過去最多となった。さらに鼻・副鼻腔疾患と判定された生徒は、中・高校で過去最多だった。身長・体重はほぼ横ばいが続いている。より詳しいデータを3回に分けて紹介する。
学校保健統計とは? 調査方法
学校保健統計は、学校における幼児・児童・生徒の発育と健康の状態を明らかにすることを目的に毎年、文科省が実施している調査。調査対象は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校などで、調査実施校に在籍する満5~17 歳の幼児・児童・生徒。調査項目は「発育状態」(身長、体重)と、「健康状態」(栄養状態、脊柱・胸郭・四肢の疾病、視力、聴力、眼の疾病、耳鼻咽頭疾患、歯・口腔の疾病、心臓の疾病などの有無)に大別される。
令和元年度では、幼稚園1,645カ所、小学校2,820校、中学校1,880校、高校1,410校、計7,755校の児童・生徒を対象とし、「発育状態」は69万5,600人、「健康状態」は37万1,982人を調査した。まず「発育状態」の結果をまとめる。
身長は、ほぼ横ばい
身長の平均値は、平成6年度から13年度あたりをピークに、その後横ばい傾向だ。より詳しくみてみよう。
年 齢 | 令和元年度 | 平成30年度 | 前年度差 | 平成元年度 (親の世代) | 世代間差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
幼稚園 | 5歳 | 110.3 | 110.3 | 0.0 | 110.8 | -0.5 |
小学校 | 6歳 | 116.5 | 116.5 | 0.0 | 116.7 | -0.2 |
7歳 | 122.6 | 122.5 | 0.1 | 122.5 | 0.1 | |
8歳 | 128.1 | 128.1 | 0.0 | 127.9 | 0.2 | |
9歳 | 133.5 | 133.7 | -0.2 | 133.3 | 0.2 | |
10歳 | 139.0 | 138.8 | 0.2 | 138.3 | 0.7 | |
11歳 | 145.2 | 145.2 | 0.0 | 144.3 | 0.9 | |
中学校 | 12歳 | 152.8 | 152.7 | 0.1 | 151.3 | 1.5 |
13歳 | 160.0 | 159.8 | 0.2 | 158.6 | 1.4 | |
14歳 | 165.4 | 165.3 | 0.1 | 164.4 | 1.0 | |
高等学校 | 15歳 | 168.3 | 168.4 | -0.1 | 167.8 | 0.5 |
16歳 | 169.9 | 169.9 | 0.0 | 169.6 | 0.3 | |
17歳 | 170.6 | 170.6 | 0.0 | 170.5 | 0.1 |
年 齢 | 令和元年度 | 平成30年度 | 前年度差 | 平成元年度(親の世代) | 世代間差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
幼稚園 | 5歳 | 109.4 | 109.4 | 0.0 | 110 | -0.6 |
小学校 | 6歳 | 115.6 | 115.6 | 0.0 | 116 | -0.4 |
7歳 | 121.4 | 121.5 | -0.1 | 121.8 | -0.4 | |
8歳 | 127.3 | 127.3 | 0.0 | 127.3 | 0.0 | |
9歳 | 133.4 | 133.4 | 0.0 | 133.1 | 0.3 | |
10歳 | 140.2 | 140.1 | 0.1 | 139.5 | 0.7 | |
11歳 | 146.6 | 146.8 | -0.2 | 146.1 | 0.5 | |
中学校 | 12歳 | 151.9 | 151.9 | 0.0 | 151.4 | 0.5 |
13歳 | 154.8 | 154.9 | -0.1 | 154.8 | 0.0 | |
14歳 | 156.5 | 156.6 | -0.1 | 156.4 | 0.1 | |
高等学校 | 15歳 | 157.2 | 157.1 | 0.1 | 157.1 | 0.1 |
16歳 | 157.7 | 157.6 | 0.1 | 157.6 | 0.1 | |
17歳 | 157.9 | 157.8 | 0.1 | 157.8 | 0.1 |
平均身長の推移
男子の身長は、7歳、10歳、12~14歳では前年度よりわずかに高く、9歳、15歳では前年度よりわずかに低くなっている。その他の年齢は前年度と変化なし。
男子の平均身長の推移
女子の身長は、10歳、15~17歳で前年度よりわずかに高く、7歳、11歳、13~ 14歳ではわずかに低くなっている。その他の年齢は前年度と変化なし。
女子の平均身長の推移
親世代の身長との比較
令和元年度の身長を親の世代(30年前の平成元年度の数値)と比較すると、最も差がある年齢は、男子では12歳で1.5㎝、女子では10歳で0.7㎝それぞれ高い。なお、男子、女子ともに昭和23年度以降、身長が伸びる傾向が続いていたが、平成6年度から13年度あたりにピークを迎え、その後はおおむね横ばい傾向。
平成13年度生まれ(令和元年度に17歳)の年間発育量をみると、男子では11歳時と12 歳時に発育量が著しく、11歳時に最大の発育量を示している。女子では、9歳時と10 歳時に発育量が著しく、10歳時に最大の発育量を示している。最大の発育量を示す年齢は、女子のほうが男子に比べ1歳早い。
この発育量を親の世代(平成元年度に17歳)と比較すると、男子では発育量が最大となる時期は親の世代より1歳時早く、女子では親の世代と同じ10歳。
男 子 | 女 子 | ||||
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年 齢 | 平成13年度生まれ (令和元年度17歳) | 昭和46年度生まれ (親の世代の17歳) | 平成13年度生まれ (令和元年度17歳) | 昭和46年度生まれ (親の世代の17歳) | |
幼稚園 | 5歳 | 6.0 | 5.4 | 6.0 | 5.3 |
小学校 | 6歳 | 5.9 | 5.5 | 5.9 | 5.8 |
7歳 | 5.6 | 5.7 | 5.7 | 5.8 | |
8歳 | 5.3 | 5.2 | 6.1 | 5.7 | |
9歳 | 5.4 | 5.2 | 6.6 | 6.4 | |
10歳 | 6.1 | 5.8 | 6.7 | 6.9 | |
11歳 | 7.5 | 6.9 | 5.0 | 5.6 | |
中学校 | 12歳 | 7.3 | 7.7 | 3.1 | 3.6 |
13歳 | 5.4 | 6.2 | 1.6 | 1.9 | |
14歳 | 3.0 | 3.8 | 0.6 | 0.8 | |
高等学校 | 15歳 | 1.7 | 1.9 | 0.5 | 0.4 |
16歳 | 0.7 | 0.9 | 0.3 | 0.3 |
関連情報
令和元年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について(文部科学省)
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