文科省・学校保健統計(3)虫歯は改善傾向、視力は年々悪化、アトピーは中学で過去最高
令和元年度「学校保健統計」について、前2回は、「発育状態」(身長、体重)についてみてきたが、今回は「健康状態」の結果を紹介する。
疾病や異常の割合をみると、幼稚園と小学校では「齲歯(虫歯)」の割合が最も高く、次いで「裸眼視力1.0未満の者」の順。中学、高校では「裸眼視力1.0未満の者」の割合が最も高く、次いで「虫歯」の順。
裸眼視力 1.0未満の者 | 眼の疾病・ 異常 | 耳疾患 | 鼻・副鼻腔 疾患 | むし歯 (う歯) | ||
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幼稚園 | 平成21年度 | 24.87 | 2.10 | 2.91 | 3.98 | 46.50 |
26 | 26.53 | 1.76 | 2.27 | 3.13 | 38.46 | |
27 | 26.82 | 2.03 | 2.23 | 3.57 | 36.23 | |
28 | 27.94 | 1.87 | 2.83 | 3.58 | 35.64 | |
29 | 24.48 | 1.60 | 2.25 | 2.86 | 35.45 | |
30 | 26.68 | 1.55 | 2.31 | 2.91 | 35.10 | |
令和元年度 | 26.06 | 1.92 | 2.57 | 3.21 | 31.16 | |
小学校 | 平成21年度 | 29.71 | 5.27 | 5.47 | 12.57 | 61.79 |
26 | 30.16 | 5.24 | 5.70 | 12.31 | 52.54 | |
27 | 30.97 | 5.55 | 5.47 | 11.91 | 50.76 | |
28 | 31.46 | 5.38 | 6.09 | 12.91 | 48.89 | |
29 | 32.46 | 5.68 | 6.24 | 12.84 | 47.06 | |
30 | 34.10 | 5.70 | 6.47 | 13.04 | 45.30 | |
令和元年度 | 34.57 | 5.60 | 6.32 | 11.81 | 44.82 | |
中学校 | 平成21年度 | 52.54 | 4.90 | 3.35 | 10.83 | 52.88 |
26 | 53.04 | 5.32 | 4.00 | 11.21 | 42.37 | |
27 | 54.05 | 4.87 | 3.63 | 10.61 | 40.49 | |
28 | 54.63 | 5.12 | 4.47 | 11.52 | 37.49 | |
29 | 56.33 | 5.66 | 4.48 | 11.27 | 37.32 | |
30 | 56.04 | 4.87 | 4.72 | 10.99 | 35.41 | |
令和元年度 | 57.47 | 5.38 | 4.71 | 12.10 | 34.00 | |
高等学校 | 平成21年度 | 59.37 | 3.70 | 2.01 | 9.61 | 62.18 |
26 | 62.89 | 3.76 | 2.05 | 8.72 | 53.08 | |
27 | 63.79 | 3.84 | 2.04 | 7.34 | 52.49 | |
28 | 65.99 | 3.43 | 2.30 | 9.41 | 49.18 | |
29 | 62.30 | 3.54 | 2.59 | 8.61 | 47.30 | |
30 | 67.23 | 3.94 | 2.45 | 9.85 | 45.36 | |
令和元年度 | 67.64 | 3.69 | 2.87 | 9.92 | 43.68 |
せき柱・胸郭・ 四肢の状態(※1) | アトピー性 皮膚炎 | ぜん息 | 心電図異常 (※2) | 蛋白検出 の者 | ||
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幼稚園 | 平成21年度 | (0.47) | 3.11 | 2.15 | ― | 0.62 |
26 | (0.16) | 2.37 | 1.85 | ― | 0.74 | |
27 | (0.11) | 2.52 | 2.14 | ― | 0.76 | |
28 | 0.28 | 2.39 | 2.30 | ― | 0.65 | |
29 | 0.16 | 2.09 | 1.80 | ― | 0.97 | |
30 | 0.23 | 2.04 | 1.56 | ― | 1.03 | |
令和元年度 | 0.16 | 2.31 | 1.83 | ― | 1.02 | |
小学校 | 平成21年度 | (0.33) | 3.31 | 3.99 | 2.51 | 0.81 |
26 | (0.46) | 3.22 | 3.88 | 2.34 | 0.84 | |
27 | (0.54) | 3.52 | 3.95 | 2.35 | 0.80 | |
28 | 1.83 | 3.18 | 3.69 | 2.44 | 0.76 | |
29 | 1.16 | 3.26 | 3.87 | 2.39 | 0.87 | |
30 | 1.14 | 3.40 | 3.51 | 2.40 | 0.80 | |
令和元年度 | 1.13 | 3.33 | 3.37 | 2.42 | 1.03 | |
中学校 | 平成21年度 | (0.73) | 2.58 | 2.96 | 3.28 | 2.46 |
26 | (1.04) | 2.52 | 3.03 | 3.33 | 3.00 | |
27 | (1.02) | 2.72 | 3.00 | 3.17 | 2.91 | |
28 | 3.43 | 2.65 | 2.90 | 3.30 | 2.57 | |
29 | 2.41 | 2.66 | 2.71 | 3.40 | 3.18 | |
30 | 2.40 | 2.85 | 2.71 | 3.27 | 2.91 | |
令和元年度 | 2.12 | 2.87 | 2.60 | 3.27 | 3.35 | |
高等学校 | 平成21年度 | (0.61) | 2.43 | 1.88 | 3.33 | 2.88 |
26 | (0.70) | 2.14 | 1.93 | 3.25 | 3.14 | |
27 | (0.74) | 2.05 | 1.93 | 3.33 | 2.95 | |
28 | 2.46 | 2.32 | 1.91 | 3.39 | 3.29 | |
29 | 1.49 | 2.27 | 1.91 | 3.27 | 3.52 | |
30 | 1.40 | 2.58 | 1.78 | 3.34 | 2.94 | |
令和元年度 | 1.69 | 2.44 | 1.79 | 3.27 | 3.40 |
歯・口腔の疾病
虫歯は減少傾向
虫歯のある児童・生徒の割合(処置完了者を含む)は、幼稚園31.16%、小学校44.82%、中学校34.00%、高校43.68%で、すべての学校段階で前年度より減少しており、中学校、高校では過去最低だった。幼稚園では昭和45年度、小・中・高校では昭和50年代半ばにピークを迎え、その後は減少傾向にある。
虫歯のある児童・生徒の割合の推移
未処置歯のある児童・生徒の割合は、すべての学校段階で昭和23年度の調査開始以降、過去最低となった。
虫歯のある児童・生徒の割合を年齢別にみると、8歳が51.05%と最も高い。また処置完了者の割合は、8歳以降では未処置歯のある児童・生徒の割合を上回っている。
年齢別にみた虫歯のある児童・生徒の割合
12歳時点の虫歯の本数は過去最低
中学校1年(12歳)のみを調査対象としている平均虫歯等数(喪失歯と処置歯数を含む)は、前年度より0.04本減少して0.70本となり、昭和59年度の調査開始以降ほぼ毎年減少し、過去最低となった。
12歳時点の虫歯の被患率等の推移
喘息は減少傾向
喘息の患児の割合は、前年度と比較すると幼稚園、高校では増加しているが、小・中学校では減少している。昭和42年度以降、各学校段階において増加傾向にあったが、平成22~25年度にピークを迎えた後はおおむね減少傾向にある。
学校種別にみた喘息の患児の推移
年齢別にみると、6~11歳の各年齢で3%を超えており、6歳が3.58%と最も高い。12歳以降は年齢が高くなるにつれて、おおむね減少傾向にある。
年齢別にみた喘息の患児の割合
裸眼視力は年々悪化
裸眼視力1.0未満の児童・生徒の割合は、幼稚園26.06%、小学校34.57%、中学校57.47%、高校67.64%。前年度と比較すると、小・中・高校で増加しており、過去最高となった。幼稚園では減少しているものの、前年度と同様の高い割合。
裸眼視力1.0未満の児童・生徒の割合の推移
裸眼視力0.3未満の児童・生徒の割合は、幼稚園0.60%、小学校9.38%、中学校27.07%、高校38.98%で、小学校では過去最高となった。
視力非矯正者(眼鏡やコンタクトレンズを使用していない者)のうち、裸眼視力0.7未満の児童・生徒の割合は、幼稚園6.50%、小学校14.36%、中学校19.58%、高校17.22%。
その他の疾病・異常
耳疾患
耳疾患(中耳炎、内耳炎、外耳炎等)のある児童・生徒の割合は、幼稚園2.57%、小学校6.32%、中学校4.71%、高校2.87%で、前年度と比べると小・中学校では減少しているが、幼稚園、高校では増加し、高校では過去最高となった。
鼻・副鼻腔疾患
鼻・副鼻腔疾患(蓄膿症、花粉症等のアレルギー性鼻炎等)のある児童・生徒の割合は、幼稚園3.21%、小学校11.81%、中学校12.10%、高校9.92%で、前年度と比べると小学校では減少しているが、幼稚園、中学校、高校では増加し、中学校、高校では過去最高となった。
脊柱・胸郭・四肢の疾病や異常
脊柱・胸郭・四肢の疾病および異常のある児童・生徒の割合は、幼稚園0.16%、小学校1.13%、中学校2.12%、高校1.69%で、前年度と比べると幼稚園、小学校、中学校では減少しているが、高校では増加している。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎(眼瞼皮膚炎等)のある児童・生徒の割合は、幼稚園2.31%、小学校3.33%、中学校2.87%、高校2.44%で、前年度と比べると幼稚園、中学校では増加し、中学校では過去最高となった。小学校、高校では減少している。
心電図異常(6歳、12 歳、15歳時のみ)
心電図異常の割合は、小学校(6歳)2.42%、中学校(12歳)3.27%、高校(15 歳)3.27%で、前年度と比べると小学校では増加しているが高校では減少した。中学校は変化なし。
尿蛋白が検出された児童・生徒
尿中に蛋白が検出された児童・生徒の割合は、幼稚園1.02%、小学校1.03%、中学校3.35%、高校3.40%で、前年度と比べると幼稚園では減少しているが、小・中・高校では増加している。
関連情報
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