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文部科学省「学校保健統計調査(令和元年度 速報)」 視力1.0未満が過去最多

2019年12月26日

文部科学省「学校保健統計調査」の令和元年度速報値が公表された。同調査は、学校における幼児・児童・生徒の発育や健康状態を明らかにするため、昭和23年度から毎年実施されている。

文部科学省「学校保健統計調査(令和元年度 速報)」 視力1.0未満が過去最多

今年度調査の特徴的な変化として、裸眼視力1.0未満の者が小学~高等学校で過去最多となり、耳疾患と判定された者が高等学校で過去最多、鼻・副鼻腔疾患と判定された者が中学校および高等学校で過去最多となった。一方、齲歯(むし歯)と判定された者は中学校および高等学校で過去最少となった。

以下に結果の一部を紹介する。

発育状態

身 長

男子・女子ともに昭和23年度以降、身長が伸びる傾向にあったが、平成6~13年度あたりにピークを迎え、その後はおおむね横ばい傾向。

令和元年度の身長を親の世代(30年前の平成元年度の数値)と比較すると、最も差がある年齢は、男子は12歳で1.5㎝、女子は10歳で0.7㎝高い。

平成13年度生まれ(令和元年度に17歳)の年間発育量をみると、男子は11歳時、女子は10歳時に最大の発育量を示し、女子のほうが男子より1歳早い。この発育量を親の世代(平成元年度に17歳)と比較すると、男子は発育量が最大となる時期が親の世代より1歳早く、女子は親の世代と同じ。

体 重

男子・女子ともに昭和23年度以降、体重が増加傾向にあったが、平成10~18年度あたりにピークを迎え、その後は横ばいもしくは減少傾向。

令和元年度の体重を親の世代と比較すると、最も差がある年齢は、男子は11歳および12歳で0.8㎏、女子は17歳で0.4㎏重い。

平成13年度生まれ(令和元年度に17歳)の年間発育量をみると、男子は11歳時、女子は10歳時に最大の発育量を示し、女子のほうが男子より1歳早い。この発育量を親の世代(平成元年度に17歳)と比較すると、男子は発育量が最大となる時期が親の世代より2歳早く、女子は1歳早い。

肥満傾向児および痩身傾向児の出現率

肥満傾向児、痩身傾向児の出現率はともにこの10年間おおむね横ばいもしくは増加傾向にある。 前年度と比較すると、肥満傾向児の出現率については、男子で16歳を除いた各年齢、女子では6歳および15歳を除いた各年齢で増加している。痩身傾向児の出現率については、男子では7~10歳および16歳の各年齢、女子では5~9歳、11、14、16歳の各年齢で減少している。

なお、平成17年度までは性別・年齢別に身長別平均体重を求めその平均体重の120%以上を肥満傾向児、80%以下を痩身傾向児としていたが、18年度からは性別・年齢別・身長別標準体重から肥満度を算出し、肥満度20%以上を肥満傾向児、-20%以下を痩身傾向児としている。

男女別痩身傾向児出現率の推移

男女別痩身傾向児出現率の推移-男子

男女別痩身傾向児出現率の推移-女子

(出典:文部科学省)

健康状態

令和元年度の「むし歯」の者の割合(処置完了者を含む。以下同)は、幼稚園31.16%、小学校44.82%、中学校34.00%、高等学校43.68%で、全ての学校段階で前年度より減少し、特に中学校および高等学校では過去最低。中学校1年(12歳)のみを調査対象としている平均むし歯等数(喪失歯および処置歯数を含む)は、前年度より0.04本減少して0.70本。昭和59年度の調査開始以降ほぼ毎年減少し、過去最低となった。

「ぜん息」の者の割合は昭和42年度以降、各学校段階において増加傾向にあったが、平成22~25年度にピークを迎えた後はおおむね減少傾向。令和元年度は前年度と比較すると幼稚園では増加しているが、小学校、中学校では減少している。

「裸眼視力1.0未満の者」の割合は、幼稚園26.06%、小学校34.57%、中学校57.47%、高等学校67.64%で、前年度と比較すると小学校、中学校および高等学校では増加し過去最高。「裸眼視力0.3未満の者」の割合は、幼稚園0.60%、小学校9.38%、中学校27.07%、高等学校38.98%で、小学校では過去最高。

令和元年度の「耳疾患」(中耳炎、内耳炎、外耳炎等)の者の割合は、幼稚園2.57%、小学校6.32%、中学校4.71%、高等学校2.87%で、前年度と比べると小学校および中学校では減少しているが、幼稚園および高等学校では増加し、特に高等学校では過去最高となった。

副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(花粉症等)の「鼻・副鼻腔疾患」の者の割合は、幼稚園3.21%、小学校11.81%、中学校12.10%、高等学校9.92%で、前年度と比べると小学校では減少しているが、幼稚園、中学校および高等学校では増加し、特に中学校および高等学校では過去最高。

「脊柱・胸郭・四肢の疾病および異常」の者の割合は、幼稚園0.16%、小学校1.13%、中学校2.12%、高等学校1.69%で、前年度と比べると幼稚園、小学校および中学校では減少しているが、高等学校では増加。

「アトピー性皮膚炎(眼瞼皮膚炎等)」の者の割合は、幼稚園2.31%、小学校3.33%、中学校2.87%、高等学校2.44%で、前年度と比べると幼稚園および中学校では増加しているが、小学校および高等学校では減少。中学校では過去最高となった。

6、12歳および15歳時のみに調査を行う「心電図異常」は、小学校(6歳)で2.42%、中学校(12歳)で3.27%、高等学校(15歳)で3.27%で、前年度と比べると小学校では増加しているが、高等学校では減少、中学校では変化なし。

「尿蛋白検出の者」の割合は、幼稚園1.02%、小学校1.03%、中学校3.35%、高等学校3.40%で、前年度と比べると幼稚園では減少、小学校、中学校および高等学校では増加した。

なお、本報告は速報値で、確定値は令和2年3月に公表予定。

関連情報

学校保健統計調査ー令和元年度(速報値)の結果の概要(文部科学省)

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