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炭酸水の摂取で脳血流速度が増加し、暑熱環境下の気分が改善 非炭酸水とのクロスオーバー試験

炭酸水の摂取後には非炭酸水を摂取した後よりも、中大脳動脈の血流速度が増加し、暑熱環境下の気分が有意に改善するというデータが報告された。筑波大学体育系の藤井直人氏らがアサヒ飲料(株)の橋本秀紀氏と行った共同研究の結果であり、「Physiology & Behavior」に論文が掲載された。

炭酸水の摂取で脳血流速度が増加し、暑熱環境下の気分が改善 非炭酸水とのクロスオーバー試験

17人を対象にクロスオーバー法で検討

炭酸の入っている飲み物を飲むと、スカッとする。とくに夏場の暑熱環境にいるときは、炭酸水で生き返ったような気持ちになれる。ただ、炭酸水の摂取がヒトにどのような生理的な反応をもたらすのかという点では、明らかになっていないことも多い。 藤井氏らは、炭酸水と非炭酸水を摂取後の血圧、中大脳動脈血流速度、発汗、温熱的知覚、眠気、気分などの変化を、無作為化クロスオーバー法により比較検討した。

対象は健康な若年成人17人であった(うち女性8人)。年齢は25±5歳、BMIは23.0±4.1であり、全員が非喫煙者であった。なお、女性に関しては、月経周期による体水分量への影響を考慮し、初期卵胞期に検討を行った。また、先入観の影響を排除するため、研究目的は知らせずに参加してもらった。

37°Cの暑熱環境でテスト

試験開始の48時間前からはサプリメントの摂取、前日からは激しい運動、12時間前からはカフェイン、アルコールの摂取を禁止し、2時間前に200mLの水を摂取してもらい、その後は絶食とした。研究室到着後、採尿に続き、37°C、相対湿度50%の実験室内で60分間の座位安静を保った。その後、4°Cに冷やされた炭酸水(ウィルキンソン)または非炭酸水(天然水)を、男性は150mL、女性は100mL、30秒以内に飲んでもらい、摂取から15分後まで、後述の評価指標の変化を把握した。なお、研究室到着時に測定された尿比重は1.014±0.004であり、脱水でないことが示された。

心血管反応、体温調節反応、知覚・気分の変化などを評価

研究参加者全員に対して、炭酸水、非炭酸水を摂取する試験を2回ずつ、計4回の試行を行った。試行順序はランダム化した。

評価項目は、心血管反応(心拍数、平均動脈圧、中大脳動脈の血流速度など)、体温調節反応(胸部と前腕部の発汗量・皮膚血流量、皮膚温、直腸温など)、呼吸反応(酸素摂取量、呼気終末二酸化炭素分圧など)、知覚・気分の状態(温熱感覚、爽快感、眠気、腹部膨満感、モチベーションなど)。このうち知覚・気分の状態は、ビジュアルアナログスケール(VAS)による自覚的評価で把握した。

中大脳動脈の平均血流速度などが、炭酸水条件と非炭酸水条件で有意差

それでは結果をみていこう。

心血管反応

水分摂取後には、双方(炭酸水と非炭酸水)の条件で中大脳動脈の平均血流速度が上昇し、この反応は炭酸水条件のほうが大きく(p=0.022)、摂取時と摂取1分後の値に有意差がみられた。平均動脈圧も同様であり(p=0.005)、摂取時には炭酸水条件のほうがより高値だった。心拍数は双方の条件で上昇し、変化量は条件間で有意差がなかった。

知覚・気分の変化

口や全身の爽快感

水分摂取後には双方の条件で口腔内の爽快感が上昇し、この反応は炭酸水条件のほうが大きく(p=0.003)、摂取1分後の値に有意差がみられた。また、全身の爽快感については、やはり摂取後に双方の条件で上昇し、かつ炭酸水条件のほうが上昇幅が大きく(p=0.003)、摂取1分後と6分後の値に有意差が存在した。

眠気やモチベーション

摂取後には双方の条件で眠気が低下し、非炭酸水よりも炭酸水条件のほうが抑制の幅が有意に大きかった(p=0.001)。モチベーションは双方の条件で上昇し、非炭酸水よりも炭酸水条件のほうが上昇幅が有意に大きかった(p=0.026)。

口腔への刺激感、腹部膨満感

炭酸水摂取後には口腔への刺激感が上昇し、摂取1分後の値は非炭酸水よりも有意に高値だった(p<0.001)。腹部膨満感は摂取後に双方の条件で上昇し、この反応は非炭酸水よりも炭酸水条件のほうが大きかったが、条件間の差は有意水準に至らなかった(p=0.080)。

今後の研究課題は、連続的に摂取した場合の影響など

このほかの評価項目である温度感覚や温熱快適性については、条件間に有意な差は認められなかった。また、体温調節反応と呼吸反応も条件間の有意差がなかった。

まとめると、暑熱環境下において炭酸水の摂取は、非炭酸水を摂取した場合よりも脳血流量指標、爽快感およびモチベーションを上昇させ、眠気を抑制することが示された。一方、体温調節反応や温熱的知覚は、非炭酸水と有意差がないこともわかった。

上記の結果を踏まえ著者らは、「炭酸水の摂取により気分を向上させることで、暑熱環境下で起こる作業効率の低下が改善する可能性がある」と述べている。ただし、本研究で示された非炭酸水との有意差は、摂取後の比較的短時間の一過性変化でのみ認められたことから、連続摂取した場合の影響を今後の研究で検討する必要があるとしている。

文献情報

原題のタイトルは、「Ingestion of carbonated water increases middle cerebral artery blood velocity and improves mood states in resting humans exposed to ambient heat stress」。〔Physiol Behav. 2022 Oct 15;255:113942〕
原文はこちら(Elsevier)

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