6月の熱中症による救急搬送数は昨年の3.3倍で過去最高に 7月は第1週で既にそれに匹敵
消防庁が7月27日に発表した「令和4年6月の熱中症による救急搬送状況」によると、今年の6月の熱中症による救急搬送人員が、調査を開始した平成22年以降、6月として最多だったことが明らかになった。昨年6月の救急搬送人員は4,945人だったが、今年は1万5,969人であり、1万1,024人多い約3.3倍となった。
現在、新型コロナパンデミック第7波による患者数が急増中のため、救急搬送が困難な事案が発生しているといい、同庁では、コロナ対策としてこまめな換気を促すとともに、屋外でマイクの必要のない場面ではマスクを外すよう呼び掛けている。
年齢区分別の救急搬送人員
熱中症による救急搬送者を年齢別にみると、高齢者(65歳以上)が最も多く半数以上(54.8%)を占め、次いで成人(18~65歳未満)が3割強、少年(7~18歳未満)が約1割、乳幼児(生後28日~7歳未満)が1%弱となっている。
令和3年6月 | 令和4年6月 | |||
---|---|---|---|---|
新生児 | 0人 | 0.00% | 1人 | 0.00% |
乳幼児 | 45人 | 0.90% | 133人 | 0.80% |
少 年 | 678人 | 13.70% | 1,847人 | 11.60% |
成 人 | 1,424人 | 28.80% | 5,230人 | 32.80% |
高齢者 | 2,798人 | 56.60% | 8,758人 | 54.80% |
合 計 | 4,945人 | 100% | 15,969人 | 100% |
医療機関での初診時の重症度
医療機関での初診時の重症度は、軽症(外来診療)が最も多く約6割、次いで中等症(入院診療)が3割強、重症(長期入院)が約3%で、死亡が0.1%(19人)だった。
令和3年6月 | 令和4年6月 | |||
---|---|---|---|---|
死 亡 | 7人 | 0.14% | 19人 | 0.12% |
重 症 | 110人 | 2.22% | 450人 | 2.82% |
中等症 | 1,692人 | 34.22% | 5,411人 | 33.88% |
軽 症 | 3,092人 | 62.53% | 10,029人 | 62.80% |
その他 | 44人 | 0.89% | 60人 | 0.38% |
合 計 | 4,945人 | 100.00% | 15,969人 | 100.00% |
発生場所
発生場所は住居が最も多く約4割、次いで道路2割弱、公衆(屋外)1割などが続いている。
令和3年6月 | 令和4年6月 | |||
---|---|---|---|---|
住居 | 1,730人 | 34.98% | 6,259人 | 39.19% |
仕事場① | 472人 | 9.54% | 1,667人 | 10.44% |
仕事場② | 174人 | 3.52% | 314人 | 1.97% |
教育機関 | 470人 | 9.50% | 1,184人 | 7.41% |
公衆(屋内) | 305人 | 6.17% | 1,211人 | 7.58% |
公衆(屋外) | 527人 | 10.66% | 1,719人 | 10.76% |
道路 | 950人 | 19.21% | 2,914人 | 18.25% |
その他 | 317人 | 6.41% | 701人 | 4.39% |
合計 | 4,945人 | 100.00% | 15,969人 | 100.00% |
7月は1週間でほぼ6月の救急搬送数に匹敵
今回、救急搬送者数が「確定値」として発表されたのは6月26日までの数値だが、7月10日までの数値も「速報値」として示されている。それによると、6月27日~7月3日の1週間の熱中症による救急搬送者数は1万4,434人であり、1週間で既に6月の1カ月間の搬送者数に近づいている。
図 令和4年・週ごとの熱中症による救急搬送数
コロナの影響で搬送困難なケースが増加中
同庁によると、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、救急搬送が困難な事案が増加している」という。そして、コロナ対策と熱中症予防対策の両立のための情報をアナウンスしている。
具体的には、「熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能。新型コロナウイルス感染症対策としての『新しい生活様式』における熱中症予防行動のポイントを心がけてほしい」と呼びかけている。「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントは以下の通り。
- 涼しい服装、日傘や帽子で暑さを避ける。
- のどが渇いていなくてもこまめに水分補給する。
- 部屋の温度に注意し、エアコンや扇風機を上手に使う。また、こまめに換気する。
- 熱中症警戒アラート発令中は外出をできるだけ控え暑さを避ける。
- 屋外では、人との距離(2m以上を目安)が確保できる場合や、距離が確保できなくても、会話をほとんど行わない場合は、マスクを外す。
出典元
関連情報
シリーズ「熱中症を防ぐ」
熱中症・水分補給に関する記事
- 日本の蒸し暑さは死亡リスク 世界739都市を対象に湿度・気温と死亡の関連を調査 東京大学
- 重要性を増すアスリートの暑熱対策 チームスタッフ、イベント主催者はアスリート優先の対策を
- 子どもの体水分状態は不足しがち 暑くない季節でも習慣的な水分補給が必要
- すぐに視聴できる見逃し配信がスタート! リポビタンSports Webセミナー「誰もが知っておきたいアイススラリーの基礎知識」
- 微量の汗を正確に連続測定可能、発汗量や速度を視覚化できるウェアラブルパッチを開発 筑波大学
- 【参加者募集】7/23開催リポビタンSports×SNDJセミナー「誰もが知っておきたいアイススラリーの基礎知識」アンバサダー募集も!
- 暑熱環境で長時間にわたる運動時の水分補給戦略 アイソトニック飲料は水よりも有効か?
- 子どもたちが自ら考えて熱中症を予防するためのアニメを制作・公開 早稲田大学・新潟大学
- 真夏の試合期の脱水による認知機能への影響は、夜間安静時には認められず U-18女子サッカー選手での検討
- 2040年には都市圏の熱中症救急搬送社数は今の約2倍になる? 医療体制の整備・熱中症予防の啓発が必要