気候変動がスポーツの持続可能性を脅かす? 環境省が特設ページ「気候変動×スポーツ」を公開
気候変動は全世界レベルの環境問題であり、スポーツへの影響も無視できない。例えば、昨夏の東京オリンピックでは、暑熱対策のため、マラソンや競歩の開催地が東京から札幌に移り、さらにスタート時間を早朝に変更するなどの対策を必要とした。その一方で、ウインタースポーツでは雪不足に悩まされる地域も現れている。スポーツのサステナビリティ(持続可能性)を考慮するとき、気候変動の影響は最優先課題の一つとも言えよう。
こうしたなか、環境省が「スポーツ」を切り口に気候変動問題に対する危機意識の醸成や行動変容を図るため、「気候変動×スポーツ」という特設ページを公開した。公開された場所は、同省が脱炭素社会の実現に向けて、一人ひとりの市民が賢い選択をすることを促す取り組みである「COOL CHOICE」の公式サイト内だ。
特設ページ「気候変動×スポーツ」では、環境省サステナビリティ広報大使の武井壮さん、公益財団法人日本オリンピック委員会常務理事の小谷実可子さん、そのほか、各競技を代表する日本のトップアスリートからメッセージが寄せられている。また、スポーツの現場における気候変動の影響、アスリート自身やヴァンフォーレ甲府・埼玉西武ライオンズなどのプロスポーツチームの脱炭素に向けた取り組み、スポーツを応援する人々ができることなどを、動画等のコンテンツでわかりやすく紹介している。
特設ページ公開の背景
東京2020オリンピック・パラリンピックや北京2022冬季オリンピック・パラリンピックでは、スポーツが人々の心を揺り動かし、困難を乗り越え前進するためのパワーを与えてくれることが改めて確認された。その一方で、気温上昇による夏のスポーツの競技時間の変更や冬のスポーツにおける雪不足など、目に見えるかたちで気候変動の影響が出てきている。また、国際オリンピック委員会は、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックからCO2排出量を実質ゼロにする取り組みを進めており、スポーツでの脱炭素化も不可欠となりつつある。
これを背景として環境省では、「いつまでもスポーツを楽しめる環境を守るためにも、私たち一人ひとりが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素型のライフスタイルへ転換していきましょう」と訴えている。特設ページには、公益財団法人日本オリンピック委員会等が協力し、スポーツ界全体での脱炭素化に向けた取り組みの促進や一人ひとりができることなどを紹介する動画『「気候変動×スポーツ」 ONE EARTH, ONE TEAM ~この地球を守る、一つのチームへ~』を公開。同省では、「この活動の趣旨に賛同していただき、スポーツの試合会場や練習会場、気候変動に関する授業や研修など、さまざまな場面で動画を活用していただきたい」と述べている。
主な内容
『「気候変動×スポーツ」ONE EARTH, ONE TEAM ~この地球を守る、一つのチームへ~』の監修は、国立研究開発法人国立環境研究所・気候変動適応センターの岡 和孝氏と、気象庁・気象研究所の川瀬宏明氏。
主なコンテンツは以下のとおり。
「気候変動×スポーツ」ONE EARTH,ONE TEAM~この地球を守る、一つのチームへ~フルバージョン(14:07)
Chapter1:トップアスリートが語る気候変動×スポーツ(4分55秒)
Chapter2:身近にある気候変動のスポーツへの影響(2分59秒)
Chapter3:私たちができること(3分51秒)
Chapter4:地球を守る一つのチームとして(2分20秒)
環境省 関連情報
シリーズ「熱中症を防ぐ」
熱中症・水分補給に関する記事
- 運動前の水分補給のメリットとデメリット パフォーマンス、心拍数、体温、有害事象のレビュー
- アスリートの日焼け対策、知識は豊富だが実際の行動が伴っていない? ナラティブレビュー
- 暑熱環境における内部冷却の効果を検証 パフォーマンス、自覚的・生理学的指標への影響
- 暑熱環境での試合では、ハーフタイムに腕を冷水に浸すと後半のパフォーマンスが向上する
- 女性アスリートの暑熱馴化の効果に関するメタ解析と、その結果からの推奨事項
- 【参加者募集】仕事につなげるための公認スポーツ栄養士キャリアアップ講習会2023「熱中症予防・水分補給編」
- 熱中症警戒アラートが発出された時の人々の行動や対策などを3カ国60カ地点で調査
- 競技中の首や頭部の冷却戦略でパフォーマンスアップ ナラティブレビューで推奨
- 相対湿度ではなく絶対湿度が一定なら、高気温のパフォーマンスへの影響はそれほどでもない
- 【参加者募集】大塚製薬×SNDJ無料Webセミナー「カラダの水分量を適切に保つ水分管理の最前線!」