牛乳を飲もう! 冬の牛乳はおいしくて栄養たっぷり!! 年末年始の牛乳消費拡大に各所でキャンペーン
農林水産省は年末年始に牛乳需要の落ち込みが予測され、処理不可能な生乳の発生が懸念されることに対応し、消費拡大に向け「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」を開始した。また、関連団体では、さまざまなキャンペーンを実施している。さらに、岸田文雄首相は12月21日の記者会見で、国民に向けて消費を促すコメントを発した。
農水省プロジェクトの背景
例年、寒さとともに牛乳の消費量は減少する。また、冬休みには牛乳消費量の1割を占める学校給食用牛乳の供給が休止することなどから、年末年始は特に牛乳の消費量が減る。さらに現在は、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響で落ち込んでいた、お土産需要をはじめとする牛乳乳製品への需要がまだ回復しきっていない。
乳牛は、病気を防ぐため毎日搾乳する必要があり、工場で生産される産物と違い、消費量の変動にあわせて生産量をコントロールすることは困難。これまで、行き場のない生乳が発生しないよう、乳業メーカーは保存のきくバターやチーズへの利用を進めてきているが、今年の年末年始は例年以上に需給が緩和し、処理不可能な生乳の発生が懸念される状況にある。
NEW(乳)プラスワンプロジェクト~毎日牛乳をモ~1杯。冬でも牛乳をモ~1杯。~
昨年にも、緊急事態宣言の発出に伴う学校の一斉休校やカフェなどの営業自粛により牛乳消費が落ち込んだ。その際には、消費者に牛乳をいつもよりもう1杯、もう1本多い消費を促す「プラスワンプロジェクト」を実施し、処理不可能乳の発生を避けることができたという。(詳細はこちら)
今回のプロジェクトはその新しいバージョンということで、頭に「NEW(乳)」をつけ、「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」とされた。副題として「毎日牛乳をモ~1杯。冬でも牛乳をモ~1杯。」とつけられてる。
今年の年末年始は、昨年のパンデミックに伴う消費の落ち込みよりも、さらに厳しい状況が予想されることから、同省では、率先して牛乳の消費を拡大すべく、吉本芸人と牛乳乳製品課職員とのコラボや、牛乳を使った和食「乳和食」の推進等と併せて、職員による積極的な牛乳の購入を行うとしている。
年末年始の牛乳消費拡大に向けて「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」開始!(農林水産省)
よしもともニッポンフードシフト(吉本芸人と農林水産省のコラボ動画)
一般社団法人Jミルク
一般社団法人中央酪農会議
「ミルクボーイ・牛乳を、飲んで応援してください」篇 ロングver.
年末年始に牛乳が余ってしまう理由や、冬の牛乳がおいしくて、栄養が豊富な理由をわかりやすく教えてくれる。
岸田首相も牛乳消費拡大要請
また、岸田首相は12月21日の記者会見で、同月6日の所信表明演説の後に政策の方針や実行面で進展があった7項目について説明。その4番目に挙げた項目の中で、以下のように、国民に向けて年末年始に牛乳の消費を促すコメントを述べている。
「新型コロナによる直接的な影響以外にも、ガソリン価格の高騰、軽石や赤潮による被害、米価下落など、国民生活に大きな影響を与えています。政府は、こうした問題にもきめ細かく対応してまいります。足元では、生乳の需要減少が大きな問題になっています。生乳の大量廃棄を防ぐため、特に需要が減少する年末年始に、牛乳をいつもより1杯多く飲んでいただく、料理に乳製品を活用いただくなど、国民の皆さんの御協力をお願いいたします。」
牛乳はこんなにすごい! 牛乳とスポーツ栄養に関するトピックス
1日1杯の牛乳が脳卒中を予防する? 岩手県北地域コホート研究10年の追跡からの知見
牛乳摂取頻度と脳卒中発症リスクとの間に有意な関連があることがわかった。岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座の研究グループが、岩手県北地域コホート研究の10年間の追跡データを解析した結果であり、「Nutrients」に論文が掲載されるとともに同大学のサイトにニュースリリースが掲載された。1日コップ1杯程度の牛乳摂取が、女性の脳卒中発症を抑制する可能性が示された。
乳製品によるカルシウムとタンパク質の摂取で、高齢者の転倒と骨折が減少
高齢者介護施設の居住者は転倒や骨折のリスクが低くないが、栄養介入によりそのリスクを抑制可能とするエビデンスが報告された。ポイントは、乳製品を利用してカルシウムとタンパク質の摂取量を増やすことだという。オーストラリアで行われたクラスターランダム化比較試験の結果だ。
牛乳摂取量が多い女子中学生は栄養素摂取量が適切な生徒が多い 国立健康・栄養研究所
牛乳摂取量が多い女子中学生ほど、推定平均必要量(EAR)を満たしている栄養素が多いことが報告された。国立健康・栄養研究所の松本麻衣氏らの研究の結果であり、「Nutrients」に論文が掲載された。著者らは、「骨量の増加が著しく、この時期の栄養素の十分な摂取が後年の身体的健康にも影響を及ぼすことが報告されている中学生の女子においては、牛乳が重要な栄養源となり得る可能性が高い」と述べている。一方、牛乳の摂取量は飽和脂肪酸過剰摂取のリスクと関連がある可能性も示されている。
高齢者が継続可能な低~中強度運動+少量の乳蛋白摂取で、筋肉量が増加する
高齢者でも継続の負担とならない強度の運動、および少量の乳蛋白の摂取を長期間継続することで、筋肉量が有意に増加するという研究結果が報告された。実行可能性の高い介入法として期待される。株式会社明治研究本部の中山恭佑氏らと帯広畜産大学の村田浩一郎氏、浦島匡氏の共同研究によるもので、「European journal of nutrition」に論文掲載されるとともに、同社および同大学のサイトにニュースリリースが掲載された。
牛乳の健康効果を科学的に考察 国や食習慣、年齢、病態により異なる影響
牛やその他の人間以外の哺乳類の乳製品は、古くから摂取されてきており、骨折リスクの軽減などのためにも摂取が推奨されている。ただし、乳製品を多く摂取することによる健康上の利点は確立されているとは言い切れず、悪影響か存在する可能性についての検証も十分ではない。こうした背景から、本論文では牛乳摂取と健康の関連を、成長、骨代謝、肥満、心血管疾患、糖尿病、がん、アレルギー、死亡率、環境への影響などの観点で考察している。
牛乳が試合後の回復を助ける可能性 アイルランドの団体球技女性選手での検討
牛乳がスポーツの試合からの回復を促すとの研究結果がアイルランドから報告された。筋肉機能の低下や心理的ストレスを減少させる可能性があるという。