8月の熱中症による救急搬送は3万1,526人 住居での発生が最多、高齢者が全体の55%を占める
消防庁は先ごろ、本年8月の熱中症による救急搬送人員の確定値を発表した。8月の全国の熱中症による救急搬送人員は3万1,526人で、調査を開始した平成20年以降で5番目に多く、5~8月の累計では過去2番目だという。
結果の概要
全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別では高齢者が最も多く約55%、初診時における傷病程度別では入院が必要(中等症・重症)な人が約36%、発生場所別では、住居(約37%)が最も多く、次いで道路(約20%)、駅(屋外ホーム)等の不特定者が出入りする屋外の場所(約14%)、道路工事現場・工場・作業所等の仕事場(約11%)の順。
なお、5~8月までの救急搬送人員の累計は9万744人と、5月からの調査を開始した平成27年以降で2番目に多かった。
結果の詳細
総数
令和7年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は3万1,526人だった。これは、8月の調査を開始した平成20年以降、8月としては5番目に多い搬送人員。
図1 8月における熱中症による救急搬送人員数(年別)
内訳
年齢区分別の救急搬送人員
高齢者(満65歳以上)が最も多く1万7,273人(54.8%)、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)1万1,487人(36.4%)、少年(満7歳以上満18歳未満)2,641人(8.4%)、乳幼児(生後28日以上満7歳未満)125人(0.4%)の順。
図2 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【年齢区分別(構成比)】
医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員
軽症(外来診療)が最も多く1万9,936人(63.2%)、次いで中等症(入院診療)1万741人(34.1%)、重症(長期入院)717人(2.3%)の順。
図3 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【初診時における傷病程度別(構成比)】
発生場所別の救急搬送人員
住居が最も多く1万1,579人(36.7%)、次いで道路6,288人(19.9%)、公衆(屋外)4,250人(13.5%)、仕事場(1)3,472人(11.0%)の順。
図4 令和7年8月の熱中症による救急搬送人員【発生場所別(構成比)】
5~9月の累計では過去最高になる?
前述のように、5~8月までの救急搬送人員の累計は、過去2番目の多さとなった。
以下のグラフを見ると、過去最高だった昨年を8月までの累計としては上回っており、今年の残暑の厳しさから9月の搬送数は昨年と同程度だったかもしれず、5~9月の累計では過去最高を更新することも考えられる。
図5 平成20年〜令和7年の熱中症による救急搬送人員の推移
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