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豪州スポーツ研究所がサプリメントを総括 カフェインやクレアチンなど6種のエルゴジェニック効果や生理学的影響をレビュー

オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)のスポーツサプリメント分類で、カテゴリーAに位置づけられているサプリメントについて、そのエルゴジェニック効果と生理学的な影響をレビューしたスペインの研究者らの論文が発表された。

豪州スポーツ研究所がサプリメントを総括 カフェインやクレアチンなど6種のエルゴジェニック効果を整理

オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)のABCD分類のカテゴリーAのエビデンス

スポーツサプリメントは多くの国で「食品」として扱われているため、医薬品に課せられているような厳格な臨床試験を経ずに市場に流通している。現在、アスリートのスポーツサプリ利用率は、報告により40~100%とされており、インターネットを利用した購入の台頭によってさらに身近な存在になってきている。これを背景に、安全性、有効性、流通の慣行等の評価がより重要となりつつある。

スポーツサプリの有効性等を判断する一つの基準として、オーストラリア国立スポーツ研究所(Australian Institute of Sport;AIS)のABCD分類が挙げられる。このABCD分類では、有効性を示すエビデンスのあるものをA、有効性のエビデンスはあるもののカテゴリーAほどには強固でないものをB、エビデンスが十分でないものをC、禁止物質をDとしている。今回取り上げる論文の研究では、これらのうちカテゴリーAに該当する、カフェイン、クレアチン、β-アラニン、硝酸塩/ビート根ジュース、重炭酸ナトリウム、グリセロールについて、それらのエルゴジェニック効果と生理学的な影響を総括することを目的としたレビューが行われた。

2015年以降のエビデンスの総括

PubMedを用いて、2015年以降に報告された、スポーツサプリの効果を検討したメタ解析、スポーツサプリに言及している、英語またはスペイン語で執筆されたポジション/コンセンサスペーハーなどの文献を収集した。2015年以降に限定した理由は、最近の10年間でアスリートに対する栄養の推奨事項が大きく変化してきたため。2名の研究者が独立して、事前に設定されたテンプレートに沿って採否を検討し、採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により解決した。データ抽出に際しては、主として実用的かつエルゴジェニックなアウトカムを重視している文献に絞り込んだ。

最終的に、7件のシステマティックレビューと5件のポジションスタンドを抽出。論文ではこれらについて、詳細な解説とともに、摂取方法、適用されている競技、期待される効果、流通形態などを一覧表にまとめている。ここではその一覧表の内容を抜粋して紹介する。

カフェイン

一般的な摂取量
3~6mg/kg
エビデンスのある競技
持久系競技、断続的なスポーツ、団体競技、水泳、ボート、筋力スポーツ
摂取プロトコル
運動の60分前に摂取
有効性のエビデンス
有酸素運動と無酸素運動のパフォーマンスを向上。運動中に要する努力の自覚を軽減する。持久力を高める
流通形態
カプセル、飲料、ジェル、ショット、チューインガム、粉末

クレアチン

一般的な摂取量
ローディング期;1日20~30gまたは体重あたり0.3gを5~7日間、主食中に4回に分けて摂取。維持期;1日3~5gまたは体重あたり0.03g
エビデンスのある競技
持久系競技、断続的なスポーツ、団体競技、水泳、ボート、筋力スポーツ
摂取プロトコル
クレアチン一水和物として、トレーニング前またはトレーニング後に50gのタンパク質・炭水化物と一緒に摂取
有効性のエビデンス
スポーツパフォーマンスの向上。短期間の高強度運動を継続的に行うことで身体能力が向上する。毎日クレアチンを摂取すると、55歳以上の成人の筋力トレーニングの効果が向上する
流通形態
カプセル、錠剤、粉末

β-アラニン

一般的な摂取量
1日4~6gを分割摂取する
エビデンスのある競技
短時間スポーツ、断続的なスポーツ、団体競技
摂取プロトコル
4~10週間摂取
有効性のエビデンス
スポーツパフォーマンスの向上
流通形態
錠剤、粉末、カプセル

硝酸塩/ビート根ジュース

一般的な摂取量
300~600mgまたは5~8mmol
エビデンスのある競技
持久系スポーツ、断続的なスポーツ、団体競技、持続時間が40分未満のスポーツ
摂取プロトコル
運動の2~3時間前に摂取
有効性のエビデンス
スポーツパフォーマンスの向上
流通形態
粉末、ジェル、ショット、液体、錠剤、カプセル

重炭酸ナトリウム

一般的な摂取量
体重あたり0.2~0.4g
エビデンスのある競技
持久系スポーツ、断続的なスポーツ、団体競技、水泳、体重階級のある競技、短時間スポーツ
摂取プロトコル
運動の60~120分前に1回摂取。競技の2~4日前に1日3~4回に分けて摂取
有効性のエビデンス
スポーツパフォーマンスの向上
流通形態
粉末、錠剤

グリセロール

一般的な摂取量
1~1.2g/kgを25mL/kgの液体と一緒に摂取する
エビデンスのある競技
持久系スポーツ、長期スポーツ、高温条件でのスポーツ
摂取プロトコル
運動の1~2時間前に摂取
有効性のエビデンス
スポーツパフォーマンスの向上。脱水症状の予防
流通形態
粉末

文献情報

原題のタイトルは、「Ergogenic and Physiological Effects of Sports Supplements: Implications for Advertising and Consumer Information」。〔Nutrients. 2025 Aug 21;17(16):2706〕
原文はこちら(MDPI)

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