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16〜18歳の身体活動に関する認識の横断調査 野菜摂取量と運動量の相関などが明らかに 英国

十代後半の青年の9割が身体活動の推奨量を満たしておらず、8割が野菜や果物の摂取推奨量を満たしていないことが、英国での研究から明らかになった。野菜や果物の摂取量と身体活動量が正相関することもわかった。著者らは、この結果から「これらのリスクのあるグループに向けて、大学において身体活動を指向する健康介入を実施することで、青年期の肥満と将来の心血管転帰の改善につながる可能性がある」と述べている。

16〜18歳の身体活動に関する認識の横断調査 野菜摂取量と運動量の相関などが明らかに

16〜18歳の青年への身体活動の指導介入のための基礎的調査

16〜18歳の青年期は、保護者に依存する小児期から独立した青年期への移行期にあたり、ライフスタイルが変化しやすい。そしてこの期間を不健康なライフスタイルで送ってしまうと、成人後にそれが定着してしまいやすいことが知られている。しかし、この年齢の青年の身体活動量や、身体活動量に影響を及ぼす因子は十分には検討されていない。

この研究は、英国のノースケント大学とファーンバラ工科大学で2018~19年に行われた。検討対象の適格基準は、大学生活を始めてから2年以内の16~18歳の学生とし、身体活動が制限される筋骨格系の疾患を有する学生は除外した。

対象者の特性や生活習慣

414名のボランティアがこの条件に該当した。200名(48.3%)が男性、年齢16.9±0.77歳で、大半(401名、96.9%)が欧州の出身だった。

BMIは22.6±4.18で、86名(20.8%)は25以上の過体重または肥満、47名(11.4%)は18.5未満で低体重だった。過体重・肥満の割合を性別にみると、男性24.0%、女性17.8%で、男性のほうが有意に高かった(p=0.0038)

18歳の学生(108名)の参加者を対象とした飲酒に関する質問からは、71人(65.7%)がアルコールを摂取しており、摂取量は男性5.9±11.85ユニット/週(1ユニットはエタノール換算で8g)、女性5.4±9.24ユニット/週だった。

身体活動量と、それに関連する因子:推奨量より大幅に少ない身体活動時間

では次に、身体活動量とその関連因子をみてみよう。

性別、BMI、喫煙習慣で有意差

身体活動にあてる時間は、男性3.23±2.70時間/週、女性2.27±2.62時間/週であり、英国のガイドラインの推奨を大きく下回っていた。英国のガイドライン(National Physical Activity Guidelines;NPAG)では、5~18歳の場合、1日あたり60分(7時間/週)の身体活動を推奨している。NPAGの推奨を満たしていたのは男性13.5%、女性9.9%といずれも低値だったが、男性は女性よりもその割合が有意に高かった(p=0.0202)。

BMIカテゴリー別の比較では、低体重では2.18±2.60時間/週、普通体重では3.00±2.95時間/週、過体重・肥満では2.30±2.42時間/週で、過体重・肥満者は普通体重者に比較し有意に少なかった(p=0.0038)。喫煙習慣の有無別の比較では、喫煙者2.8±2.83時間/週、非喫煙者2.6±2.55時間/週であり、やはり有意差がみられた(p=0.0413)。

果物・野菜の摂取量と身体活動時間が相関

次に、食習慣をみると、10人に1人に相当する10.1%(42名)の学生は、果物や野菜をほとんど摂取していないことが明らかになった。2人に1人の学生(209名、50.5%)は1日あたりの果物・野菜摂取量が1〜2ポーションで、82名(19.8%)は3〜4ポーションであり、81名(19.6%)は1日あたり5ポーション以上摂取していた。

果物・野菜の摂取量と身体活動時間との間に、正の相関が認められた。

摂取量が1〜2ポーション/日の人の身体活動時間は2.3±2.66時間/週、摂取量が3〜4ポーション/日では3.2±2.60時間/週、5ポーション/日以上では3.3±2.84時間/週であり、果物・野菜をほとんど摂取しない人は身体活動時間が1.9±2.39時間/週と最小だった。

スクリーンタイムや睡眠時間の状況

138名(33.3%)の学生が1に日4時間以上を座位で過ごし、性別では女性(28.0%)よりも男性(39.0%)の方がその割合が高かった(p=0.0065)。また、ゲームや映像鑑賞などの時間(スクリーンタイム)が1日3時間以上であることは、身体活動量が少ないことと有意に関連していた。

対象者の半数以上(226名、54.6%)は、睡眠時間が7時間/日未満で推奨より少なかった。ただし身体活動時間との相関はみられなかった。

何が身体活動を妨げているのか?

半数以上の学生が、自分自身の身体活動量が少ないと感じていた(227名、54.8%。男性45.0%、女性64.0%)。この自己認識は、実際の身体活動時間と相関していた。

身体活動量が不足する理由としては、「時間がない」または「行いたくない」が大半(91.1%)を占めた。その他、「施設がない」(8.5%)、「金銭的な余裕がない」(0.4%)が挙げられた。

文献情報

原題のタイトルは、「Recognition of 16-18-Year-Old Adolescents for Guiding Physical Activity Interventions: A Cross-Sectional Study」。〔Int J Environ Res Public Health. 2020 Jul 11;17(14):5002〕
原文はこちら(MDPI)

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