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特集「女性アスリートの三主徴(トライアド)2025年コンセンサスステートメント」
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5.エネルギー状態の連続体の診断、DEとEDのスクリーニング・診断・治療のアップデート

昨年末に「Sports Medicine」に2報の論文として掲載された、女性アスリートの三主徴(トライアド)の国際コンセンサスステートメントの内容を、数回に分けて取り上げている。ここまで、連載の第1回から4回にかけて、イントロダクション、改訂のポイント、食事・栄養関連のトピック、および、1報目の論文に掲げられているステートメントという順番に取り上げてきた。

今回からは2報目の論文について紹介していく。2報目の論文は、トライアドのスクリーニング、診断、治療、競技復帰のためのガイドラインであり、1報目をベースとした実践的な内容。エネルギー状態の連続体の診断のアップデート、乱れた食行動(disordered eating;DE)と摂食障害(eating Disorders;ED)のスクリーニング・診断・治療のアップデート、生殖機能に関する連続体に関する診断と治療のアップデート、骨の健康に関する診断と治療のアップデート、トライアドからの回復と競技復帰のためのリスク評価、および推奨事項のまとめなどで構成されている。

これらのうち今回は、食事・栄養に関連の深いパートを中心に一部を紹介し、ステートメントと推奨事項のまとめは次回紹介する。なお、このコンセンサスステートメントで定義された、「エネルギー欠乏」や「代謝補償」などの用語については、これまでの連載ですでに取り上げているため、ここでは再度解説しない。

エネルギー状態の連続体の診断のアップデート

エネルギー欠乏のスクリーニングと診断に関する推奨

エネルギー欠乏の理想的なマーカーは、正確かつ客観的に測定でき、慢性的なエネルギー欠乏に対する代償的代謝適応を反映するものである。さらに、生殖機能の抑制、骨量減少、骨ストレス傷害、スポーツパフォーマンスの低下などを予測できるものが望ましい。しかし、そのような完璧なマーカーは存在しない。

エネルギー欠乏のリスクの検出を目的とする質問票が複数開発されているが、妥当性に限界がある。重要なこととして、1報目の論文(本連載においては3回目)で解説したように、利用可能エネルギー(energy availability:EA)の閾値の設定(例えば30kcal/kg FFM/日)は推奨されない。エネルギー欠乏の程度は、トレーニング要求や競技シーズンにおけるピリオドによって変化することが示されており、介入の推奨事項はそれらの因子に依存する可能性がある。また、摂食障害(ED)や乱れた食行動(DE)でみられるエネルギー欠乏のすべてが、ED/DEによって説明できるわけではないことに注意を要する。

なお、論文ではこれらのトピックごとに、エビデンスに基づくステートメントが掲げられているが、本連載では次回まとめて紹介する。

食行動・態度の評価は、エネルギー状態の代理マーカーとして使用できる可能性がある

実験室で得られるエネルギー状態の測定値の代わりに、さまざまな手法で食態度や食行動を把握することが、エネルギー欠乏の有用な代理マーカーとなり得る。例えば、過剰なやせ願望や食事制限といった行動が認められる場合、摂食障害(ED)に伴う認知的な症状の可能性があり、女性アスリートでは安静時代謝量(resting metabolic rate:RMR)や総トリヨードサイロニン(total triiodothyronine;TT3)と有意に関連することが示されている。

とはいえ、エネルギー欠乏につながるすべての経路に、乱れた食行動(DE)が関与するわけではない。DEまたはEDは、エネルギー欠乏の要因の中に含まれるものと位置づけて考慮すべきである。また、トレーニングによる食欲の低下、十分な食事にアクセスできない状況なども、自覚されない低摂取(inadvertent undereating)につながり得る。さらに、競技への準備段階の意図的な減量も、エネルギー欠乏の一因として考慮すべきだろう。

なお、1日の中でエネルギー欠乏状態が長時間持続することは、代謝補償の徴候と関連することが報告されている。

DEとEDのスクリーニング・診断・治療のアップデート

アスリートのDEやEDのスクリーニングに推奨される戦略

アスリートの乱れた食行動(DE)や摂食障害(ED)に特化したスクリーニングツールとして、摂食障害調査票(Eating disorder examination questionnaire;EDE-Q)やストレスと摂食の簡易型自記式食事歴法(Brief Assessment of Stress and Eating;BASE-10)などがあり、広く利用可能で有効なツールである。このほかにも、対象を若年アスリートに特化した質問票などが開発されている。ただしそれらは比較的新しいため、妥当性の検証が必要とされる。

DE、月経異常、骨の健康というトライアドのより包括的なスクリーニングとして、医師や診療看護師(nurse practitioner)などによる競技参加前身体評価(preparticipation physical evaluation;PPE)が挙げられる。米国のスポーツ医学関連組織が共同開発したPPEには、DEやED、月経異常、骨の健康に関するいくつかの質問が含まれており、回答を基に累積リスクを評価し介入の判断に用いることができる。ただし、累積リスクの評価は医師が行うべきである。

競技参加前身体評価(PPE)に含まれる質問項目

DE/ED;体重を気にしているか/体重を増やそう(または減らそう)としているか、または減らすように誰かに勧められたか/特定のダイエットをしているか、または特定の食品の摂取を避けているか/摂食障害を患ったことがあるか

月経異常;これまで月経があった時期はあるか/初めて月経が来たのは何歳の時か/最近の月経はいつか/過去12カ月間に何回月経があったか

骨の健康;疲労骨折や骨・筋肉・靭帯・関節・腱の損傷により、トレーニングや試合に参加できなかったことがあるか/骨・筋肉・靭帯・関節・腱の損傷を抱えているか

DEやEDの疑いがあるアスリートの評価

DEやEDの疑いがあるアスリートは、医師による包括的な評価を受ける必要がある。その評価の結果、外来で治療可能か、より高度なケアが必要か判断される。

また、食事に関連する態度、信念、行動、ボディーイメージに関する懸念をより深く理解し、併存する精神疾患を評価するために、スポーツ栄養士とメンタルヘルスの専門家によるさらなる評価を行う必要がある。

栄養評価

管理栄養士、可能であればスポーツ栄養士が、DEやEDのリスクがありスクリーニングを受けたアスリートの包括的な栄養評価を実施すべきである。その際、体重は評価対象となる指標の一つではあるが、体重中心のアプローチは避けるべきである。アスリートは体重が安定している、または適切な量の脂肪量を有していたとしても、慢性的にエネルギー不足になっている可能性がある。

DEまたはEDを有するアスリートの治療

DE/ED患者に対する治療は、医師、管理栄養士、メンタルヘルス専門家を含む多職種連携によるケアがゴールドスタンダードである。EDケアのトレーニングと経験を有する専門家によって実施されるべきであり、さらに対象がアスリートの場合には、スポーツ参加に関連するリスクの知識を有する専門家によって実施される必要がある。

DE/EDアスリートのケアチームに加わるメンバーの役割と責任

医師(理想的にはスポーツ医学の専門医);身体的・精神的健康状態の評価/薬剤処方/アスリートケアチームと連携したケアの提供/回復と競技再開の意思決定

管理栄養士(理想的にはスポーツ栄養士);食事摂取量の評価/必要とされるエネルギー量と栄養素の決定/食に対する態度と行動を評価/食事プランの作成と提供

メンタルヘルス専門家;メンタルヘルス状態の評価/心理療法の提供/食習慣・行動、その他の潜在的なED症状(例えば自己誘発性嘔吐、体重/体型への懸念による運動)の評価/エビデンスに基づいた治療(家族ベースの治療、EDに強化した認知行動療法など)

アスレチックトレーナー;医師の指示のもと、アスリートの状態を日々評価する/代替トレーニングの支援(必要な場合)/競技への復帰を支援

理学療法士;骨ストレス傷害からのリハビリテーションを処方し、モニタリングする/筋肉のアンバランスや歩行メカニズムの問題を評価し治療する

6.トライアドのスクリーニング・診断・治療・競技復帰に関するガイドラインの推奨

文献情報

〈論文1〉

原題のタイトルは、「2025 Update to the Female Athlete Triad Coalition Consensus Statement Part 1: State of the Science and Introduction of a New Adolescent Model」。〔Sports Med. 2025 Dec 31〕
原文はこちら(Springer Nature)

〈論文2〉

原題のタイトルは、「2025 Update to the Female Athlete Triad Coalition Consensus Statement Part 2: Clinical Guidelines for Screening, Diagnosis, Treatment, and Return to Play for Adolescents and Adults」。〔Sports Med. 2025 Dec 31〕
原文はこちら(Springer Nature)

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SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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