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eスポーツ選手のドーピング調査 約1割が身近にWADA禁止薬物を使用している人がいると回答 

eスポーツアスリートにおけるドーピングの実態を調査した結果が報告された。選手の大半がエルゴジェニック効果のある合法物質を使用していること、約1割の選手は自分の身近で世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の定める禁止物質が使用された事例を認識していることなどが明らかになったという。

eスポーツ選手のドーピング調査 約1割が身近にWADA禁止薬物を使用している人がいると回答 

eスポーツアスリートは1日平均5.28時間トレーニングを行っている

eスポーツは1972年に行われたトーナメントが最も古い記録であり、1990年代後半から爆発的に増加し、現在では世界中で大会が開催され、その成績上位者に渡される賞金も莫大な金額になっている。また、オリンピックの競技に盛り込むという案も、しばしば話題に上る。

eスポーツの大会において選手は長時間の集中力を必要とされる。例えば、リーグ・オブ・レジェンド(LoL)というゲームの試合の1試合あたりの最長時間は95分という記録があり、大会参加者は勝敗の流れ次第で、そのような長時間の試合を5回ほどこなさなくてはならない。また大会を離れてもeアスリートは1日平均5.28時間トレーニングを行っていると報告されており、日常の精神的または身体的な負荷も相当なものと考えられる。

このような負荷に耐えるため、eスポーツアスリートの多くがカフェインなどのエルゴジェニック作用のある物質を利用していると考えられる。さらに、世界アンチ・ドーピング機関(World Anti-Doping Agency;WADA)の定める禁止物質を利用しようとする、または利用している選手がいるかもしれない。しかし、eスポーツがスポーツの枠組みの中に位置づけられるには当然ながら、通常の競技アスリートと同様に、大会に参加する選手にはドーピング規定を遵守すべきであるという考え方が生まれる。それは、競技の公平性の確保とともに、選手の健康被害を防ぐためでもある。

これまでeスポーツにおいて、大会での八百長行為やハッキング行為に対して、失格または永久追放などの処分が下されるなど、健全なスポーツとしていくための自浄作用が働いていることを示す報告もある。ただし、eスポーツアスリートのドーピングの実態は、現状では明らかにされていない。今回紹介する論文は以上を背景に、ポーランドでのオンライン調査として実施された研究の報告。

eスポーツにドーピング問題は存在するか?

この調査は2018年11月に実施された。世界的に人気の高い対戦型ゲームである、リーグ・オブ・レジェンド(LoL)とカウンターストライク:グローバルオフェンシブ(CS:GO)という2種類のゲームプレーヤーに対して、Facebookを通じて調査への回答を呼びかけた。得られた回答のうち、質問に十分答えていないものや質問の主題から外れた答が記されたものなどを除外し、241人を解析対象とした。

解析対象者のおもな特徴は、年齢が平均19.8歳(中央値は18歳)で男性が91.7%であり、自己認識に基づくプロが14.5%、アマチュアが85.5%だった。69.3%はトーナメント参加経験があり、14.1%はそれを収入源としていた。

「eスポーツにドーピングの問題はある?」という質問の最多の回答は「答えにくい」

続いてドーピングについての質問の答をみていくと、まず「eスポーツにドーピングの問題はあると思うか?」に対しては、「はい」「いいえ」「答えにくい」という選択肢の中で、「答えにくい」が39.0%と最も多く選択され、続いて「いいえ」が35.7%、「はい」が25.3%であり、少なくてもeスポーツアスリートの4人に1人以上はドーピング問題の存在を明確に認識していた。

次に、身近な人における合法物質の使用状況を尋ねると、最多の回答は「多くの人(many people)が使用している」で47.3%とほぼ半数に及んだ。その他は、「わずかな人(few people)が使用している」が24.5%、「使用していない」が20.7%、「答えにくい」が7.5%だった。具体的に挙げられた合法物質は、エナジードリンクが97.8%と大半を占め、次いでコーヒーが81.6%、ビール29.7%、ハーブ15.7%であり、「入手可能な薬剤」も15.1%を占めていた。

上記の物質はeスポーツ以外の競技でも、メンタル系競技の一部を除いて必ずしも禁止物質ではないが、「それらの物質の一部は禁止すべきか?」と問うと58.5%と6割近くは「いいえ」と否定、「はい」との賛成意見は21.6%だった。他の19.9%は「答えにくい」。

WADA禁止物質を大会中に使用した事例を「聞いたことがある」が過半数

ここからは、合法物質ではなく、コカイン、アンフェタミン、アデロールなどのWADAが禁止している、または違法の物質の使用についての質問と回答をみてみよう。

競技会にやいてそれらの禁止物質を使用したという事例を耳にしたことがあるかという質問に対しては、55.2%と過半数が「はい」と回答した。さらに、より身近な人がそれらの禁止物質を使用した事例を知っているかとの質問に対しても、10.8%と1割以上が「はい」と回答した。

eスポーツにもアンチ・ドーピング措置を適用すべきか?

「eスポーツでのアンチ・ドーピング措置を強化すべきか?」との質問には、「はい」が44.4%と多数を占めた一方で、「いいえ」も28.2%を占めていた。27.4%は「答えにくい」だった。

一方、eスポーツにおいてドーピング行為の拡大につながると考えられる因子を選択してもらったところ、「いかなる犠牲を払っても勝利をつかみ取る」という姿勢が84.6%と最多であり、ほかには「アンチ・ドーピングのシステムが存在しないこと」(28.2%)、「eスポーツにおいてはドーピングが非難に値するとは一般に認識されていないこと」(22.4%)などが多く選択された。

論文の結論には、「本研究の結果は、eスポーツと他の伝統的なスポーツとの重要な違いと類似点を認識することの重要性を強調している」と記されている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Prevalence and Outlook of Doping in Electronic Sports (Esports): An Original Study and Review of the Overlooked Medical Challenges」。〔Cureus. 2023 Nov 8;15(11):e48490〕
原文はこちら(Cureus)

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