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子どもの肥満リスク改善に重要なのは摂取エネルギー量と食事時間、運動量、睡眠時間

肥満の専門的な治療を受けてる子どもたちを対象に、食習慣、栄養素摂取量、身体活動量、睡眠習慣を調査した結果がスペインから報告された。摂取エネルギー量の過多よりも、食事の時間帯が遅いこと、夕食に分布が偏っていることなどのほうが、肥満の重症度への影響が大きい可能性があるという。また、野菜摂取量や身体活動量との関連も示されている。

子どもの肥満リスク改善に重要なのは摂取エネルギー量と食事時間、運動量、睡眠時間

世界中で増加している小児肥満

過去数十年で小児肥満は世界的に増加しており、各国の公衆衛生上の問題となっている。1975年から2016年の間に、5~19歳の肥満有病率は女子では0.7%から5.6%に上昇し、男子では0.9%から7.8%に上昇したとするデータがある。本研究が行われたスペインでも、この年齢層の4%が重度肥満に該当するという。

肥満は、摂取エネルギー量と消費エネルギー量の不均衡の結果ではあるが、その不均衡の生じやすさに影響を与える因子が明らかになってきている。例えば、食事を1日の前半に摂取するよりも後半に摂取した場合に、エネルギー出納がプラスになりやすい可能性が示されている。また、睡眠習慣や身体活動習慣などと出納の不均衡との関連も明らかになっている。とはいえ、これらの知見の多くは成人で認められたもので、小児肥満と生活習慣因子の関連については不明点が残されている。

食事、運動、睡眠と体重関連指標との関連を検討

この研究は、マドリードの大学病院で治療を受けている6~18歳の肥満患者(BMIが+2標準偏差を上回る)を対象に行われた。ステロイドが治療に用いられる慢性疾患患者や、メンタルヘルス関連疾患、てんかんの患者は除外されている。178人に食事・運動・睡眠習慣などに関するアンケート協力を依頼し、137人(女子54%)から有効回答を得た。

主な特徴は、年齢12.19歳で、BMIは30.11、体脂肪率39.34%であり、Tanner分類による発育過程は男子の44.2%がステージ1(思春期前期)、45.9%がステージ2~4で、9.9%がステージ5(成人期)、女子は20%がステージ1、28.6%がステージ2~4、51.4%がステージ5。

なお、アンケートに回答した群としなかった群との間に、これらの指標の有意差は認められなかった。

食事の摂取量や摂取時刻・エネルギーの分布と、体組成との関連

摂取エネルギー量の平均は1,635kcalであり、主要栄養素のエネルギー比率はタンパク質20.1%、炭水化物48.1%、脂質31.02%だった。全体の52.38%が単糖類から摂取エネルギー量の10%以上を摂取しており、単糖類のエネルギー比が5%未満の子どもは、わずか4.76%だった。食物繊維摂取量は14.39gだった。

食事の回数は、1日2食が21%、3食が33.6%、4食が49%、5食が1.5%であり、75.2%は食間に間食を摂る習慣があった。

1日の中での摂取エネルギー量の分布は、朝食20.47%、午前中の間食5.66%、昼食36.91%、午後の間食11.37%、夕食24.33%、その他1.21%。朝食のエネルギー比は体脂肪率と有意な負の相関関係があり(r=-0.245)、夕食のエネルギー比はBMIzスコアと正の相関関係があった(r=0.195)。

また、食品の摂取頻度との関連をみると、野菜の摂取頻度が少ないほどBMIzスコアが高くなるという有意な傾向性が認められた。

食事の時間帯は、朝食が8時82分、午前中の間食は11時43分、昼食は14時40分、午後の間食は17時74分、夕食は21時20分。これらの時間帯とBMIzスコアとの関連をみると、夕食の時間帯が遅いほどBMIzスコアが高いという有意な関連が認められた(r=0.20)。

睡眠習慣や身体活動量と体組成との関連

子どもたちの睡眠時間は、平日が8.77時間、週末は10.17時間であり、平日と週末の差は1.51時間だった。休日と週末の睡眠時間は、BMIzスコア(r=0.225)、体脂肪率(r=0.234)ともに、有意な正相関が認められた。つまり、睡眠時間のばらつきが大きい子どもほど、肥満のリスクが高いと考えられた。

身体活動時間は、学校の授業によって2.11時間/週、課外活動で1.91時間/週だった。全体の46.7%は課外活動による身体活動時間が0(ゼロ)だった。身体活動時間とBMIzスコアは逆相関する傾向があったが、有意ではなかった(p=0.083)。

小児肥満の是正には摂取エネルギー量だけでなく、生活習慣への介入が不可欠

著者らは本研究について、「解析に用いたデータがアンケートによって収集された主観的なものであること、正常体重の対照群との比較をしていないことなどの限界点がある」としたうえで、「子どもたちの肥満の程度と食事時間、睡眠時間、および運動量の間には密接な関係が認められた。小児肥満の治療に際しては、摂取エネルギーに焦点をあてるのみではなく、食事、運動、睡眠に関するより詳細な情報を把握したうえで、是正すべき点を探る必要がある」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Relationship between eating habits, sleep patterns and physical activity and the degree of obesity in children and adolescents」。〔Endocrinol Diabetes Nutr. 2023 Sep;70 Suppl 3:10-17〕
原文はこちら(Elsevier)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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