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審美的職業(アスリート、モデル、ダンサー)の心血管骨代謝・メンタルヘルス状態の実態

アスリート、モデル、ダンサーという審美的な要素が重要な領域で活動している若年女性の心身の健康状態を横断的に調査した結果が、ブラジルから報告された。心血管代謝マーカーはいずれの職業でも基準値内だったが、骨密度の低下が顕著であり、かつメンタルヘルスに関しては全員が高い抑うつレベルにあると判定されたとのことだ。

審美的職業(アスリート、モデル、ダンサー)の心血管骨代謝・メンタルヘルス状態の実態

ブラジルの若年女性を対象に横断的検討

体型が潜在的な評価ポイントに含まれることの多い女性の職業は、しばしば小児期から技を磨くためにトレーニングが開始される。そして身体的・精神的成長にとって重要な時期に、そのトレーニングに加えて「ボディーラインの美しさ」を追究する努力がなされる。それらの負荷が、身体やメンタルヘルスへ悪影響を及ぼす可能性が指摘されているが、実態は明らかでない。それを背景として本論文の著者らは、審美性が要求される女性の3つの職業と、比較対照群として大学生の集団を置き、横断的研究を行った。

研究対象と評価項目について

研究対象は、ブラジル国内のモデルエージェンシー、スポーツチーム、ダンススクール、および大学に所属する14~24歳の41名の女性で、各群の人数は以下のとおり。モデル11名、バレエダンサー11名、アスリート8名、大学生11名。

評価項目は、体重や体組成、心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise test;CPET)、両側膝伸筋と両側肘屈筋の1RM(repetition maximum)、60%1RMでの筋持久力、柔軟性、採血による糖・脂質代謝や炎症マーカー、および抑うつレベルの自己評価尺度(the center for epidemiologic studies depression scale;CES-D)など。

このほか、3日間(平日2日と休日1日)の食事記録から食事摂取状況を把握した。

評価項目の主な結果

まず、年齢やキャリアなどについてみると、4群で最も若い集団はアスリートの16.38±3.02歳(p=0.002)、続いてバレエダンサーが18.09±3.21歳、モデルが20.82±2.52歳で、対照群の大学生は21.91±2.30歳だった。アスリート群の3人は初経発来前だった(p=0.004)。キャリアはバレエダンサーが最も長く147.27±65.97月、次いでアスリートが132±44.44月、モデルが56.73±36.04月(p=0.001)。

大学生群の5人、モデル群の7人、バレエダンサー群の2人、アスリート群の6人が栄養カウンセリングを受けており、同順に、7人、4人、5人、6人が心理カウンセリングを受けていた。

体重や体組成

体重(kg)
各群の平均が50.91~58.16の範囲であり、有意差はなかった
身長(m)
モデル1.73、大学生1.66、アスリート1.60、バレエダンサー1.59で、後二者は前二者より有意に低かった
BMI(kg/cm2)
大学生20.9、バレエダンサー20.5、アスリート19.8、モデル18.1で、モデル群は大学生群やバレエダンサー群より有意に低値だった。平均値は全群ともに、性・年齢別の基準範囲内だったが、全体で14人(34%)が基準値を下回っていた
ウエスト/身長比
アスリート0.44、大学生とバレエダンサーは0.43、モデルは0.39で、モデル群は他の3群より有意に低値だった。全群ともに、心血管疾患予防上のカットオフ値(0.5)より低値だった
体脂肪率(%)
アスリート23.36、モデル28.35、バレエダンサー29.01、大学生29.60で、アスリート群は他の3群より有意に低値だった
除脂肪量(FFM.kg)
各群の平均が35.74~40.20の範囲であり、有意差はなかった
骨密度(BMD.g/cm2)
各群の平均が1.108~1.176の範囲であり、有意差はなかった。ただし、全体で26人(63%)が基準値を下回っていた

身体パフォーマンス

VO2peak(mL/kg/分)
バレエダンサー43.80、モデル44.28、大学生45.13、アスリート50.08で、アスリート群はモデル群および大学生群より有意に高値だった
膝伸筋の1RM(kg)
バレエダンサー68.00、モデル78.09、アスリート79.94、大学生90.18で、大学生群とバレエダンサー群との間に有意差が認められた
肘屈筋の1RM(kg)
バレエダンサー13.91、モデル16.73、アスリート17.63、大学生19.82で、バレエダンサー群は他の3群より有意に低値だった
持久力(回)
各群の平均が膝伸筋は9.64~10.25、肘屈筋は6.82~9.00の範囲であり、有意差はなかった
柔軟性(cm)
座位で前方に手を伸ばし1秒間維持できた最高値で評価した柔軟性は、モデル31.32、大学生36.41、バレエダンサー45.77、アスリート50.38で、前二者と後二者の間に有意差が認められた。全体で4人(10%)が、性・年齢別のカットオフ値を満たしていなかった

栄養素摂取状況

3日間(平日2日と休日1日)の食事記録から算出した摂取エネルギー量(kcal/日)や主要栄養素の摂取量(%エネルギー)は、以下のとおりであり、有意な群間差はなかった。

摂取エネルギー量炭水化物タンパク質脂質
アスリート1,684.2kcal52.0%19.6%28.2%
バレエダンサー1,713.9kcal49.8%20.8%28.1%
モデル1,926.2kcal50.8%19.4%29.7%
大学生2,003.0kcal49.1%20.3%29.5%

抑うつレベル(CES-D)

60点満点で評価する抑うつレベルの自己評価尺度(CES-D)の平均は、アスリート36.30、大学生39.00、バレエダンサー41.60、モデル42.00であり、群間に有意差はなかった。ただし、15点をカットオフ値とした場合、対象の全員(100%)がこれを超える抑うつレベルを示していた。なお、全体の53.6%は心理カウンセリングを受けていた。

血液検査値

血液検査で把握した、心血管代謝マーカー(血清脂質〈HDL-C、LDL-C、TG、TC〉、空腹時血糖・インスリン)、炎症マーカー(CRP)については、いずれについても各群の平均値が基準範囲内であり、群間に有意差はなかった。

骨密度とメンタルヘルス上の課題が浮き彫りに

上記の評価項目について、性・年齢別の基準範囲(またはカットオフ値)から逸脱した対象者の割合をまとめ、逸脱率が低い項目から並べると以下のようになる。

ウエスト/身長比、体脂肪率、VO2peak、LDL-C、空腹時血糖は全員が基準範囲内だった。

HDL-Cは基準範囲から逸脱した対象者が2%、柔軟性は10%、TCは15%、TGとインスリン値は22%、CRPは31%、BMIは34%であり、骨密度は63%、抑うつレベルは100%だった。

これらを基に結論では、「審美的職業は、若年女性の体力や心血管代謝状態に影響を及ぼしていないようにみえる。ただし、これらの職業はメンタルヘルスや骨代謝にダメージを及ぼす可能性があることが明らかになった。将来の健康問題を回避するために、これらの職業に就く女性の健康状態をモニタリングする必要があるだろう」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Cardiometabolic health profile of young girls with aesthetic professions」。〔BMC Womens Health. 2022 Jan 16;22(1):15〕
原文はこちら(Springer Nature)

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